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舞台照明のデザインのこと その2 このnoteの概要

時間と空間にトラップをしかけること

実際に照明をデザインしていくという時に、僕がすることは作品の中で重要だと考える場面をピックアップする。これはある舞台上の状態での止まった画を抜き出す作業である。
ある瞬間のある状態を印象付けたいと考える場所を選んでいくことを中心にしている。

ある場面の俳優やダンサーの動きに合わせて照明が変化していくだけでなく、先に必要な場所に必要な明かりをつけていようなことが必要になってくる。

ある時点から必要な時点までの間に、照明で俳優やダンサーを捕まえられるようなトラップをしかけていくのか。ということである。
空間全部が明るくなってしまうと、ピックアップするような明かりを用意しても機能しない。明るい中に明るいものを置いても見えないからだ。

僕の中では、各場面と場面をどういう照明の構成になるのか。そして、それを連続させたときに違和感がなく、見せることが出来るのかということが重要だと考えている。(これには、あえて違和感を作ることも含めている。)

スタッフの仕事は作品に補助線を引くこと

舞台照明という仕事は、劇作家、演出家、俳優、および他のスタッフのすることを受けて、作品に対しての共感性を観客に喚起していく仕事だと考えている。

最終的に作品を深く理解してもらうために出来ることを、各スタッフが行うことで、舞台作品の制作過程を通じて積み上げてきたものを体験として、観客に伝えるための理解の補助線を引くことだと思っている。
例えば、照明であれば、ある瞬間の俳優をピックアップすることで観客ののフォーカスを集めることで、その場面において一番観てほしいものに意識を向けさせる。というようなことである。

もちろん、これは自分だけの観点だけで成立するものではなく、劇作家や演出家、俳優や他セクションの考えや出来ることを飲み込みつつ、照明のデザインで解決できることを解決していくことだ。

当然ながら、自分なりの作品解釈やデザインをしていくための骨子というものがある。照明をデザインしていく上で、その作品にあった明るさや色の使い方だけでなく、最初から最後まで透徹したものが必要になる。

画面構成だけを作る仕事ではない

舞台照明のデザインは画面構成をする仕事ではなく、むしろ決まった画面から何をピックアップしていくのかということだと考えている。
舞台面の全面をどのようにコントロールして見せるのかという照明デザインはライブの照明の手法としては効果的だと考えているけれど、ここで扱うのは、あくまでも演劇、ダンスの舞台照明ということなので、ここでは除外する。

舞台面全体をどう見せていくのかということが、まったく必要ではないとは言わない。一方で、必要な時に必要な暗さや明るさをコントロールできるようにしていくには、画面構成だけに気を取られていてはいけないと思う。

具体的なデザインについては次回から

本当にこの続きを書くかどうかについては、考えてしまうところではあるけれども気が向いて、時間があれば続きを書こうと思う。

具体的なデザインについては、
明かりの角度について
明かりの色について
明かりの明るさについて
シーンという概念について
キューという概念について
シーンとキューの組み合わせについて
照明をデザインしていくためのフックについて
最小限の照明について

というような章立てで書いていこうと思う。

長文になってしまったのに、読んでくれてありがとうございました。

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