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夕遊の台湾小冊

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大好きな台湾に関するものを集めました。
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記事一覧

歩いてみたくなる古都の風景『台湾の歴史と文化』大東和重

最近、台湾について読みやすくて専門的な本が入手しやすくなりました。読者としては単純にうれ…

夕遊
2週間前
36

南の島の生命力と詞の世界。『雨の島』呉明益(及川茜訳)

台湾の呉明益さんの小説は、日本語訳がいくつかあります。現実とフィクション、現在と過去が行…

夕遊
2週間前
22

南からみた衝突と融合の三〇〇年『越境の中国史』菊池秀明

日本に来る中国人観光客が増えても、日本人には中国と台湾、香港の区別が難しいです。ましてや…

夕遊
10か月前
32

台湾の伝奇ミステリー『守娘』小峱峱

表紙の美麗さに、迷うことなく入手した台湾のコミック。水墨画のようで、ちゃんとマンガだけど…

夕遊
1か月前
31

知らなかった日本のタイル文化。『和製マジョリカタイル―憧れの連鎖』INAXライブミュ…

先日、台湾の彩色タイルの本を買って、ちょっとづつ楽しみながらパラパラめくって読んでいたら…

夕遊
3か月前
42

ポップな懐かしさ。『台湾 和製マジョリカタイルの記憶』康鍩錫

台湾の裏通りや下町を歩いていると、レトロな建物や壁、看板があって、歩きながらみているだけ…

夕遊
4か月前
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「中国」との相克の戦後史。『台湾のアイデンティティ』家永真幸

タイトルを見たときは、現代台湾事情を中心にビギナー向けにまとめた本なのかなと思いました。家永さんといえば、やはりデビュー作『パンダ外交』のイメージが強くて、身近な話題をきっちりした資料と分析で、政治や歴史の枠にまとめるのが上手という印象だから、よけいに現代にシフトした話だと思ったのかもしれません。 でも、実際の内容は、サブタイトルの「「中国」との相克の戦後史」。台湾や日本の歴史について、ある程度の基礎知識があるか、読書慣れしている人向け。読んでいる途中、家永さんは読者をどの

ダサいけど無視できない。『戦狼中国の対日工作』安田峰俊

今から50年ほど前、当時国交のなかった中国と交渉するために訪中した田中角栄は、ホテルの部…

夕遊
5か月前
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あまりにも台湾的な探偵物語。『台北プライベートアイ』紀蔚然(船山むつみ訳)

最近は、評判のいい中国語の本がガンガン翻訳されて、読むのが追いつかない、嬉しい悲鳴の日々…

夕遊
8か月前
37

傷ついたからこそ、美しく輝く。台湾ドラマ『茶金 ゴールドリーフ』2021年

出張先の夜に一気見。評判以上のすばらしいドラマでした。植民地時代の日本語、台湾の人たちの…

夕遊
8か月前
39

台湾グルメと鉄道の旅と百合。『台湾漫遊鉄道のふたり』楊双子(三浦裕子訳)

予告されたときから、すごく楽しみにしていた本。『台湾漫遊鉄道のふたり』というタイトルもそ…

夕遊
9か月前
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楽しすぎる中国語の世界。『SNSで学ぶ推し活はかどる中国語』はちこ

『中華オタク用語辞典』がすごくよかった、はちこさんの待望の(!?)続編。待ちに待った『SN…

夕遊
1年前
50

上質な仙侠ミステリーでファンタジーで人間ドラマで群像劇。『天官賜福』墨香銅臭、1…

少し前から、中国で取締をめぐる経緯なんかを多少チェックしていて知った本ですが、実際に読む…

夕遊
1年前
58

書かれた女学生と書く女学生の百年。『少女中国』濱田麻矢

アニメにも実写にもなった『ムーラン』(木蘭)。彼女は中華圏では戦う少女のアイコンだけれど、ヨーロッパに実在したジャンヌ・ダルクと違うのは、父親の変りに男装して従軍したことと、軍隊を抜けたあと同僚と結婚したこと。そういう意味では、シンデレラみたいなハッピーエンドです。 でも、この木蓮(ムーラン)のハッピーエンドは、男装して女性の枠を飛び出すけれど、最終的には結婚して伝統的な女性の役割に戻るもの。決して、女性の社会的規範を脅かすものではありません。 20世紀の中国女性たちの一