夕遊

信州生まれ。現在、大阪暮らし。仕事は書くこと、教えること。著書は『誰も知らない『西遊記…

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信州生まれ。現在、大阪暮らし。仕事は書くこと、教えること。著書は『誰も知らない『西遊記』―玄奘三蔵の遺骨をめぐる東アジア戦後史』(龍渓書舎)ほか。https://amzn.to/478Widn いつも、旅したい場所、読みたい本やマンガ、見たい映画をさがしています。

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    ひと仕事終わって、おいしい珈琲や紅茶を片手に読みたい本。仕事で読む本。とにかく、たくさん読みたい、楽しみたい私の本棚をご紹介します。

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大好きな人たちと見たい映画『バジュランギおじさんと、小さな迷子』2015年、インド。

数年前にものすごく評判がよかったので名前は知っていたけれど、劇場に行く時間がなくて未見だったインド映画。今週末から1ヶ月くらいの間、日本各地で再上映されることになったようなのですが、フォローしている映画詳しいアカウントから一斉に、「絶対見て!」メッセージであふれてきたので、久しぶりに夫と映画館デートしてきました。 ストーリーの基本は単純。迷子の女の子を、お人好しのおじさんが送り届ける話。予告編だけは見たことあったので、イランの有名なキアロスタミ監督の『友達のうちはどこ?』み

    • とうもろこしも神様。特別展『古代メキシコ マヤ、アステカ、テオティワカン』

      子どもの頃に見た、アニメ『アンデス少年ペペロの冒険』。「黄金のコンドルよ~♪」のオープニングソングと、ラストの黄金のとうもろこしエピソードは、なぜか強烈に印象に残っています。特別展『古代メキシコ』。ようやく行くことができました。 とはいえ、今のメキシコっぽいイメージは、大好きな岩本ナオさんの『マロニエ王国の七人の騎士』の動物の国。ここでジャガー王と対面できる期待に、わくわくして出かけました。 アメリカ大陸で、独自に発展した「もう一つの文明」メキシコ。ヨーロッパとはまったく

      • 「14億分の10憶」のリアル『中国農村の現在』田原史起

        読む前から、間違いなく田原先生の本なら面白いだろうなと期待させられる本。そして、実際隅から隅まで面白かったです。タイトルは、シンプルですが、サブタイトルは習近平を書いた、こちらの本を意識したものですね。 田原先生が中国関係の仕事を初めた頃、中国は8割が農民人口だと言われた発展途上国。今では都市化率60%以上とも言われますが、都会に住んでいても実家や戸籍が農村にある人は70%くらいでざっと10憶人。そんなわけで、中国を知るには農村社会を知ることは重要。 都会はそれなりに、ど

        • 耽美をめぐる社会情勢と魅力『BLと中国』周密

          以前から興味を持っていた分野なので、すごく読みたかった本ですが、発売前から重版がかかるほどとは。ドラマ『陳情令』の原作『魔道祖師』や『天官賜福』の作者・墨香銅臭さんのインタビューが掲載されていた『すばる』2003年6月号もすごかったですから、当然といえば当然なのかも。 さて、周密さんの『BLと中国』は、日本でいわゆる「BL」とされる物語が、中国では「耽美」(Danmei)と呼ばれている、その語源からたどります。日本が新しいもの=外来語を使って付加価値つけて表現するのに対して

        大好きな人たちと見たい映画『バジュランギおじさんと、小さな迷子』2015年、インド。

        • とうもろこしも神様。特別展『古代メキシコ マヤ、アステカ、テオティワカン』

        • 「14億分の10憶」のリアル『中国農村の現在』田原史起

        • 耽美をめぐる社会情勢と魅力『BLと中国』周密

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          台湾の伝奇ミステリー『守娘』小峱峱

          表紙の美麗さに、迷うことなく入手した台湾のコミック。水墨画のようで、ちゃんとマンガだけど、アーティスティックな線描写がとてもステキです。時代は清朝。日本でいうと、江戸時代。日本の植民地になる前のお話。 台南の杜家の娘・潔娘(ゲリョン)はやさしい兄に可愛がられて育ちました。当時としてはめずらしく、読み書きができて、纏足をしない。これだけ聞くと客家っぽいですが、周りの親戚はそれをよく思っていないのが少し謎。どういう家族&親戚設定なのか、日本語版だとイマイチわかりません。原作だと

          台湾の伝奇ミステリー『守娘』小峱峱

          【鳥取】はわい温泉を堪能する

          怒涛のお仕事月間で、疲れ果てる年度末。本当なら帰省して、故郷の温泉に浸かりたいのですが、今の状態で長距離移動は無理。そんなわけで、近所の銭湯をはしごしつつ、昨年9月のはわい温泉の写真で自分を慰めようと思います。 倉吉からはわい温泉行きの路線バスに乗って、民宿鯉の湯さんへ。冬のお料理が有名みたいですが、9月だったので季節外れかな?と思った私は、朝食のみで予約。秘湯のジュリエッタさんの記事をマネて、おしゃれなレストランのテイクアウトしようと思った素人が痛い目に合いました。なんと

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          『東洋の至宝を世界に売った美術商ーハウス・オブ・ヤマナカ』朽木ゆり子

          京都の泉屋博古館にいくと、とんでもなく古い青銅器がたくさんあって、しかもそのうちのいくつかは、世界で2つか3つのうちの1つだとか学芸員さんに教えてもらって腰を抜かします。そんなものが、なんで日本にあるのかと驚くのですが、よくよく考えると清朝末期に多くの国宝が流出したことは映画『ラスト・エンペラー』でも、陳舜臣さんの直木賞を受賞した小説『青玉獅子香炉』でもおなじみでした。 あとは、何気なく読んでいたラノベ『宝石商リチャード氏の謎鑑定』では、古美術のオークションがあって、古美術

          『東洋の至宝を世界に売った美術商ーハウス・オブ・ヤマナカ』朽木ゆり子

          金沢の「和」を堪能する女子旅

          今、旅行をするなら、やはり金沢。阪神淡路大震災体験者としては、些少なりとも復興支援に協力したいし、サンダーバードは金沢まで行けるもの最後になるし、和菓子大好きだし。ということで、2月下旬、友だち&娘の3人で「古都」を堪能してきました。 さて、私のおめあては菓子木型美術館。行ってみると、和菓子の加賀藩御用菓子司森八さんの2階にあって、かなりプライベート空間なことにびっくり。でも、ものすごく見応えありました。 年度末の怒涛の仕事を無理やりやり繰りしての金沢女子旅。楽しすぎまし

          金沢の「和」を堪能する女子旅

          春を呼ぶ鯛めし

          春を呼ぶ鯛めし

          ノスタルジー上海。『長恨歌』王安憶(飯塚容訳)

          予備知識ゼロで手に取った、王安憶の長編『長恨歌』。白居易の『長恨歌』と同じ名前の現代小説なんて、一体どんなだろうと読み始めたのですが、独特な文体にあっという間に引き込まれました。彼女の文体は、中国で「評論叙事文体」と名付けられたそうです。 凝った表現や、美麗な修辞でもなくて、一文、一文はシンプルで短いのに、それが一つ、また一つと連ねられると、他の誰とも違う雰囲気を醸し出す不思議。例えば、冒頭はこんな感じに始まります。 本書は、1945年の上海という都市の複雑に入り組んだ町

          ノスタルジー上海。『長恨歌』王安憶(飯塚容訳)

          ホームドラマみたいなドキュメンタリー映画『◯月◯日、区長になる女』2024年。

          たまたまSNSで宣伝見つけて、家族で見に行きました。久しぶりの大阪十三の第七藝術劇場は、別の映画の監督さんの舞台挨拶があったせいか、エレベーターフロアに人だかりで身動きとれないほど。『夢見る給食』のオオタヴィン監督の舞台挨拶だったそうです。 そういえば、日本のだし文化と、素材を生かした料理のすばらしさを撮ったドキュメンタリー映画『千年の一滴』もこの映画館で見たんでしたっけ。 さて、この『◯月◯日、区長になる女』は、実際に2022年6月、東京都杉並区で行われた区長選挙のドキ

          ホームドラマみたいなドキュメンタリー映画『◯月◯日、区長になる女』2024年。

          知らなかった日本のタイル文化。『和製マジョリカタイル―憧れの連鎖』INAXライブミュージアム

          先日、台湾の彩色タイルの本を買って、ちょっとづつ楽しみながらパラパラめくって読んでいたら、ふと似たようなタイトルの本が目にとまりました。それが、本書『和製マジョリカタイル――憧れの連鎖』。愛知県常滑にあるINAXライブミュージアムというところが出版したもので、本というより博物館の展示の図録に近いです。 「和製マジョリカタイル」というのは、大正初めから昭和10年代に日本で生産された多彩色タイルのことで、イギリスのヴィクトリアンタイルを真似したもの。タイルメーカーのミントン社が

          知らなかった日本のタイル文化。『和製マジョリカタイル―憧れの連鎖』INAXライブミュージアム

          【香港島】天官賜福。筲箕湾の道教寺院(廟祠)めぐり。

          2023年夏、仕事ででかけた香港島。せっかくの機会に、飛行機までの半日を観光しないわけにはいきません。早朝から、トラムに乗って香港島を横断して、終着点の筲箕湾の道教の廟めぐりをしてきました。目的はなく、単純にトラムにのって散策したかったので。 ちょっと想定外だったのは、地下鉄に比べて(当たり前だけど)2階建ての路面電車トラムはゆっくりだったこと。ほぼ西端からスタートしたので、反対側の終点まで1時間かかってしまいました。ゆっくり香港島を横断見物できたのはいいけど、帰国当日の観

          【香港島】天官賜福。筲箕湾の道教寺院(廟祠)めぐり。

          日露戦争に人生を狂わされた男たちの物語。映画『ゴールデンカムイ』2024年

          オープニングのすさまじい二〇三高地のシーンから、主人公の杉元とアシㇼパが出会い、困難を乗り越えて相棒(バディ)を組むまで。この映画は、壮大な物語の「序章」です。内容は原作のテイストそのままですが、なんといっても生身の俳優さんたちがくりひろげるアクションシーンがすばらしい。そして、合間、合間に広がる試される大地、北海道の雄大な景色。映画ならではの表現で、原作の世界を存分に表現しています。 タイトル『ゴールデンカムイ』のロゴがラスト近くに大きく映し出され、今後の続編に出てくる、

          日露戦争に人生を狂わされた男たちの物語。映画『ゴールデンカムイ』2024年

          大あたりのコメディ映画『宝くじの不時着~1等当選くじが飛んでいきました』韓国、2022年。

          ヒット作があれば、パロディがつくられる。これは小説でも映画でも同じようです。パロディ作品については、当たりもあれば外れもあるので、宝くじみたい。超有名どころでは、小松左京の『日本沈没』と筒井康隆の『日本以外全部沈没』でしょうか。 さて、韓国ドラマの超ヒット作『愛の不時着』は未見ですが(そろそろ本気でnetflix考えないと)、韓国映画『宝くじの不時着』は、ポスターを見た瞬間「絶対、当たり!」の予感がしたので、夫と見に行きました。映画の原題は、韓国のロトを指す言葉。でも、内容

          大あたりのコメディ映画『宝くじの不時着~1等当選くじが飛んでいきました』韓国、2022年。

          ポップな懐かしさ。『台湾 和製マジョリカタイルの記憶』康鍩錫

          台湾の裏通りや下町を歩いていると、レトロな建物や壁、看板があって、歩きながらみているだけで楽しいです。今回、手に取った彩色タイルの本は、去年12月に大阪の国立民族博物館のヒンドゥー展でみたときから興味があったタイルについての本。 古代ローマの遺跡からも出土するタイル。中国に古くからある磚(せん:東洋式の黒い煉瓦。日本でも飛鳥・奈良時代に使われ、浮き彫りの模様もあり)。タイルの歴史は実用的なブロック煉瓦と、装飾としてのタイルが交錯しています。タイルの語源「tegula」は屋根

          ポップな懐かしさ。『台湾 和製マジョリカタイルの記憶』康鍩錫