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紅茶パルプまとめ

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つのが書いた「紅茶パルプ」作品(2018年11月-12月)のまとめとかです。
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#紅茶を淹れている

【前回のあらすじ】三宅つの、紅茶パルプを振り返る。

おれだ。12月2日、1ヶ月余に及んだnote投稿コンテスト「紅茶のある風景」の期間が終わった。おれたちが迷い込んで生み出してしまった紅茶パルプもこれで一区切りとなる。またこういうコンテストがあり、パルプスリンガーの誰かが目をつければ、やつらはそこへ幌馬車と共に大移動していくだろう。メキシコの荒野があり、パルプ元素が採掘される限り……。 そういうわけで、紅茶パルプのライナーノーツ第二回だ。毎日投下してるわけでもないので、数は多くない。さくさく行こう。おれのスタイル上やむなくき

◆Born in Red Black Tea◆

「見ィーつけ茶」 午後三時。オチャノミズ・スゴイタカイビル中階層の喫茶店は、粉塵と瓦礫にまみれ、静寂に包まれていた。突如として爆発に巻き込まれたこの店に、既に動く者はいない。いや……一人いる。彼は、うつ伏せに倒れていた息のある者を発見して甲高い声を挙げた。出血が酷く、今にも死にそうだが。 「お前が最後だな! 起きろ!」 タキシードに身を包み、黒い覆面をつけた男が、サラリマン風の男の襟首を掴み、引き起こす。彼を救助に来たのだろうか? 否。男は彼の頬にナイフを当て、ペシペシ

【これまでのあらすじ】三宅つの、紅茶パルプを書く。

おれだ。もう知ってるだろうが、noteでは11月1日の「紅茶の日」にあわせて、「紅茶のある風景」というタグでそういう作品(エッセイ、小説、イラスト、漫画など)を募集している。12月2日までだ。賞金と賞品も出る。 ハッシュタグをジャラジャラつけていると、そういうのも目には入る。どうせハイソなバターコーヒー野郎どもが紅茶にバターを入れて喜ぶような集まりだろう。おれはそう思って、特に興味も抱かずにいた。 だが……なんたることか、逆噴射小説大賞が終わった10月31日、ハロウィンの

蒼天紅茶

漢都・長安。その宮殿。魔王と天子が庭を見下ろす。 「あれがおまえの……朝の紅茶だ」 グアアアアアアア ギィャアアア絶叫が響く。屈強な男たちが、罪人の…………紅茶を淹れているのだ。 「皇帝・劉協よ。おまえには完璧な紅茶を与えてやる」 ◇ しばらく後。短剣を持った屈強な男が、涎を垂らして笑いながら、裸に剥かれた罪人の眼き……紅茶を淹れている。 ブチチ グリグリ 「グギィ!」 別の男は舌……紅茶を淹れている。腕……紅茶を淹れている。 ぎゃああああああ絶叫が響く。百官