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【つの版】ニンジャスレイヤーTRPG簡易リプレイ【シャドー・オブ・ザ・ビースト】

邦題:獣の影(Shadow of the Beast)

これは2019年3月2日から3日にかけてTwitter上のnjslyrタグで行われた、ニンジャスレイヤーTRPGの簡易版ゲームでのつののリプレイを纏めたものです。公式のソロアドベンチャーシナリオとしては第三回です。

前回はポイズンバタフライ=サンが無難にミッションをこなしました。つのがいかに善良とはいえ、あまりに無難や善良なのばかりでもあれですので、そろそろDKK稼ぎをしたいものですね。

今回、成長させて持ち越ししてもいいと公式から告げられましたが、いつもの三忍は一仕事して余暇中ですのでお休みとし、せっかくですので新たなニンジャを創造してみることにしました。

◆ニンジャ創造◆

今回誕生した新たなサンシタニンジャはこいつです。名前表でサイコロを振るとシャープウォーカーと出ましたので、そこから膨らませました。能力値はそこそこでヘンゲヨーカイ・ジツとヒキャクを積み、念の為トロ粉末も持っています。名前からして将来は三倍族でしょう。生きていればですが。

◆シャープウォーカー(種別:ニンジャ)        PL:つの
カラテ       4    体力        4
ニューロン     3    精神力       3
ワザマエ      5    脚力        3
ジツ        1    万札        0
DKK       0    名声        0

◇装備や特記事項
◆ジツ:ヘンゲヨーカイ・ジツ 精神力1を消費して【カラテ】+3、【脚力】+2(1ターン)
◆トロ粉末
◆ヒキャク:【脚力】+1、回避ダイス+1個

ではリプレイの様子から、このニンジャのアトモスフィアを感じ取っていきましょう。例によってパルプ小説仕立てでやります。

◆ソロアドベンチャーパート開始な◆

おれの名はカケル・ヒタハシ。そのはずだったが、今は「シャープウォーカー」と名乗っている。なぜって?ニンジャになっちまったんだ。ビルの屋上でパルクール決めてて、墜落してさ。死んだら生き返って、ニンジャになってた。その時ふっと、そう名乗らなきゃならない気がしたんだ。

しばらくしたらヤクザがやってきて、おれを捕まえてさ。両足に「ヒキャク・マニューバ」っていうカッコいいサイバネをつけてくれたんだ。けど、勝手にローン組まれて、返済日までに返済しないとお前を死体に変えて売却するとかヒデェこと言い出してよ。流石ヤクザだ。しかもニンジャだ。

もう一度死ぬのも嫌だ。従うしかねえよな。で、ヤクザは…ソウカイヤっていうんだが、ミッションを伝えるIRCと、ナビゲーター・ドローンの「モーターロクメンタイ(D6)」ってのを貸してくれた。そいつがいろいろ教えてくれたよ。ニンジャのこと、ソウカイヤのこと。偉い人のことも。

そんで、突然緊急IRCが入った。隣接街区の工場地帯を上空から偵察していた強いニンジャの「ヘルカイト」=サンが消息を絶った。周辺の先行調査をしてこい、だってさ。ニンジャになりたてなのに、いきなりヤバそうな任務だ!だがビズをこなさなきゃ、ふわふわローンに殺される。ブッダ!

◇🎲◇ドーモ、モーターロクメンタイです。やっかいなミッションに巻き込まれてしまったようですね。でも大丈夫、私が近くにいてナビしますよ。ヘルカイト=サンが消息を経ったとなれば、何らかの強敵に襲われたとしか思えませんね。暗黒メガコーポか、それとも、恐るべきネオサイタマの死神か……◇

「へ、ヘルカイト=サンが!?こりゃだぜ!」いや、おれは全く面識なんかねえが、ついさっきD6から教えてもらったばかりの偉いニンジャだ。シックスゲイツとかいう組織の幹部か、その最有力候補だかだ。「お、おれは調査だけでいいんだよな?」震えてきた。いざとなりゃこの脚力で逃げるか…。

◇🎲◇おっと、怖がらせてしまいましたか?大丈夫、単に強風でカイトが壊れて墜落しただけかもしれませんよ。さっそく調査に行きましょう!あなたはニンジャなんですから、きっと何とかなりますよ。私が下調べをしておきました。あなたを怪しい廃工場前まで案内します◇

『◇🎲◇単に強風でカイトが壊れて墜落しただけかもしれませんよ』「なわけねーだろ!」おれは思わずツッコんだ。ダイジョブかこのサイコロ野郎。まあ戦えってわけじゃなかろうし、カネ稼がねえとな…稼がねえと…なんでおれがこんな目に……ブッダ起きろ。はるか昔に死んじまったが。

◆廃工場入口◆

急いで走り、隣の街区へ。IRCの記録では、ヘルカイト=サンが消えたのはこのあたりだという。『マグロ加工』という看板が書かれた怪しい廃工場の近くだ。『◇🎲◇見てください。入口前では、所属不明のクローンヤクザY-10型が1体、守りを固めているようです』D6がナビゲートする。

『◇🎲◇普通のクローンヤクザはチャカガンを装備していますが、マシンガンを持っていますよ。廃工場なのに、怪しいですね!』ほら来た…マシンガン持ち!ぜってーやべえ案件だろ。『◇🎲◇悠長なことをしている暇はないので、さっそくクローンヤクザにスリケンを投げてみましょう!』

D6がうるせえ。まあいいや、おれはニンジャだ。数日前からだがな。スリケンでやっちまえばいいんだな。「わかったよ。こうすりゃいいのか」右掌に意識を集中する。周辺の重金属粒子を触媒にし、カラテエネルギーが凝縮して、十字型の金属塊が出現する。カッコいい。ニンジャだ。「イヤーッ!」

難易度NORMAL、目標値4。【ワザマエ】は5。5D6で[4,1,2,2,6]=成功

「アバーッ!」クローンヤクザの額にスリケンが突き刺さった。「ワオ、当たった。やってみるもんだ」

◇🎲◇🎲◇🎲◇

シャープウォーカー。彼は全くのニュービーニンジャだが、ワザマエはそこそこだ。ニンジャソウルの恩恵だ。‏クローンヤクザは埋込式サイバーサングラスも装備しており、モータルとしては強い。もし彼がモータルのままならまず勝てない相手だ。だがニンジャなら大丈夫だ。

たとえ今のスリケンを外していても、銃での反撃さえも回避できる。しかも彼は「ヒキャク」というサイバネを脚部に装備している。素晴らしい回避性能と移動能力を与えるそれは、実際足枷でもある。ソウカイヤにスカウトされた時、ローンで買わされたのだ。もし返済出来なければ…。

「カネ、カネ、カネ持ってねえか」シャープウォーカーはクローンヤクザの懐をまさぐる。万札があった。しかし…『◇🎲◇おや、このクローンヤクザは、横長の菱形に単眼模様が描かれた奇妙なバッジをつけていますね。これはもしや、西のニンジャ組織、ザイバツ・シャドーギルドの紋章では……』

「ザイバツ?」『◇🎲◇ザイバツ・シャドーギルドとあなたの所属組織ソウカイ・シンジケートは、熾烈な敵対関係にあります。もしここが本当にザイバツの隠しアジトならば、ヘルカイト=サンが心配ですね……』シャープウォーカーは身震いした。「やべえな。おれの手に負える仕事か?」

『◇🎲◇調査を続けましょう』「ああ……」D6の指示に従い、ニンジャは廃工場の中へ進む。数日前にニンジャになった自分に、何ができる。調査だ。D6がナビゲートしてくれる。こいつ自体はAIだが、なんか偉いニンジャがこれで監視してもいるらしい。じゃあ、こいつだけでいいんじゃねえか?

◆廃工場内◆

またクローンヤクザがいる。今度はマシンガンではなくドスダガー持ちだ。『◇🎲◇接近し、奇襲しましょう』「おうよ」屋内は障害物が多い。この距離ならスリケンではなくカラテだろう。やってみる。多少自信はある。

難易度NORMAL、目標値4。【カラテ】は4。4D6で[1,5,3,2]=成功

「イヤーッ!」「アバーッ!」シャープウォーカーのローリングソバットがクローンヤクザの頭部に命中!即死!「よし、万札ゲット!」これで万札が2。ローン返済まであと8だ。もはやザイバツへの恐怖より、ふわふわローンへの恐怖が勝る。彼は獣めいて獲物を探す。「もっとだ…もっとカネを…」

『◇🎲◇目的は調査です。情報を報告すれば報酬が出ます』「あ、ああ…」当初の目的をD6に指摘され、彼はニンジャ野伏力を駆使して廃工場を探し回る。他に獲物はいない。「妙に手薄だな。クローンヤクザ二人だけか?結構でかいのによ」『◇🎲◇ニンジャがいるかも知れません。気をつけて』

◆49階の部屋◆

彼は手がかりを求めて各階を調べ、廃工場の49階まで登ってきた。そこで光の漏れ出す部屋を発見する。これまで工場内に電気はついていなかった。つまりは、誰かいる。クローンヤクザか?『◇🎲◇ドアを開けてみて下さい』「ダイジョブか?気配はないが……」脂汗が額ににじむ。悪い予感がする。

鍵はかかっていない。そっと押し開け、中を伺う。『◇🎲◇何ということでしょう!』「黙れD6!静かにしろ!」その広い部屋には、拷問に使われたと思しき椅子があった。周囲には何かが爆発四散した痕。血と肉片。ニンジャが死ぬと爆発するという。では、もしやヘルカイト=サンはもう……!

『◇🎲◇どうしますか。ここで帰ってもいいですし、探索を続行してもいいでしょう。指示に従います』D6が選択肢を示す。シャープウォーカーの心臓が大きく拍動する。ここで帰るか?ザイバツ紋のバッジは入手し、ニンジャの爆発四散跡もみつけた。目的は調査だけ。帰っても報酬は出るはずだ。

しかし…もしヘルカイト=サンが生きていたら?間違った報告をしたらケジメか?ローンは?「もうちょい探索するか」彼は決断し、部屋の中へ。部屋の隅には傷だらけの背負式カイトがあり、床には飛び散った血の跡や、鋭い刃物のようなものでつけられたような傷、などがある。恐怖に下唇を噛む。

ヘルカイト=サンは、カイト(凧)を背負って空を飛び、上空から調査や攻撃を行う斥候ニンジャだという。カートゥーンのニンジャみたいだ。敵対組織に捕まれば、当然拷問され、情報を抜かれて始末される。十中八九、あれは彼のだろう。しかし、本物か?また別のニンジャのものなのでは?

『◇🎲◇机の上に強力そうなUNIXデッキがありました。ハッキングを試みてみましょう。ザイバツの機密情報を得られるかもしれません』D6の声に振り向く。なるほど、UNIXデッキだ。「やれってか」『◇🎲◇私にハッキング機能は備わっていません。あなたならできますよ!』「マジかよ……」

だが、彼のニューロンはそう強くない。ハッキングの覚えもあまりない。生体LAN端子やウイルス入りフロッピーもない。相手はザイバツの秘密情報入りだ、失敗すればニューロンを焼かれるかもしれない。だがローンが。やらねば確実に死ぬ。報酬があれば!「ヤバレカバレだ!恨むなよ!」

【ニューロン】は3。3D6で振って…[2,2,1]=失敗! UNIX爆発で体力-1。

KABOOM!「グワーッ!?」UNIXが爆発!シャープウォーカーは顔面を負傷!警報が鳴り響く!「ブッダミット!モウダメダ!逃げるぞ!」彼はD6をひっつかむと、窓をぶち破り、脱兎のごとく逃げ出す!ここは49階だが、彼にはニンジャ脚力とヒキャク、そして!「ヘンゲヨーカイ・ジツ!

脚が、上半身が、クロヤギめいた姿にヘンゲする!これが彼のジツなのだ!

彼の脚力は3だが、ヒキャクで+1、ヘンゲヨーカイ・ジツで+2。合計6だ!すごいぞ! ジツ行使により精神力-1。

「イヤーッ!」垂直の壁を平地めいて駆け下り、煙突を蹴り、屋根を蹴り、衝撃を吸収!闇夜に異形のニンジャが舞う!なんたる機敏なパルクールか!「これでミッション終了だ!チクショウめ!」『◇🎲◇仕方ないですね…』D6はやや不満そうだ。駆け出しのニンジャならこんなものか。

「ブッダアスホール!だが調査はしたぞ!ザイバツ紋のバッジとヘルカイト=サンの情報……こ、これを報告すれば!あと8万!」走れ!シャープウォーカー!走れ!脚だけは早いぞ!果たしてローンは返済できるのか!?

◆トコロザワ・ピラーな◆

シャープウォーカー=サンのローンは万札10。手持ちの万札は2しかなく、このままでは合計万札7。万札3があれば救える命です。実際安い。

ネオサイタマを睥睨するトコロザワ・ピラー。ここはソウカイヤの本拠地であり、その首領たる偉大なニンジャ、ラオモト・カンがいる。D6とともにここへ駆けつけたシャープウォーカーは、門衛ニンジャに一大事を報告した。証拠物件と、D6からの証言もある。「直接は謁見できぬ。私が聞こう」

奥の部屋に通されたシャープウォーカーは、紺スーツに身を包んだニンジャと面会した。「ど、ドーモ。シャープウォーカーです」「ドーモ。私はゲイトキーパーです。聞かない名だな。新人かね」「ハイ。ほんの数日前に……あの、それで」「報告は聞いた。ヘルカイト=サンがザイバツに……」

「は、ハイ!」「うむ。即座にシックスゲイツを二人、救援に向かわせた。生きていればいいが」「ば、爆発四散跡は、ありましたが」「ヘルカイト=サンと組んで活動していたニンジャがいた。彼だろう。残念だ。……報告ご苦労。しかしザイバツめ、既に前線基地を……」「あ、あの」「なんだね」

「ほ、報酬を。ローン返済が出来ないと、おれ」「ああ、そうだな。いくらだ」「ええと、10万です」シャープウォーカーは懐の万札を隠した。ゲイトキーパーは見抜いている。「では、10万持って行きたまえ。もっとふっかけてもよかったぞ」「あ、え、スンマセン」ゲイトキーパーが微笑む。

「ニンジャ戦力は貴重だ。借金返済できないというだけでは殺さんよ。特に君のような、未来のある若者をね。少し研修に行って貰うだけだ」「研修」「UNIXとかね。いろいろだ。フフ」「アイエッ」UNIXを爆発させたことも見抜かれていた。まさか、D6で監視していた偉いニンジャとは。

「あのUNIXもおそらくダミーだ。ハッキングに成功しても、ウイルスや偽情報を掴まされていただろう。あんな場所に機密情報など置かないさ」「アッハイ」「つまり、君はできることを一生懸命やった。次も頑張りたまえよ」「ハイヨロコンデー!」シャープウォーカーは思わず深くオジギしていた。

ゲイトキーパー。思い出した。ソウカイ・シックスゲイツの創設者で、名誉構成員。ソウカイヤの最高幹部。ラオモト・カンの右腕。すごいニンジャ。

失敗したのに褒められた。生かしてくれた。恩人だ。ラオモト=サンはよくわからないが、この人のためなら働ける。頑張ろう。シャープウォーカーは深くオジギしたまま、いつしか涙を流していた。

【シャドー・オブ・ザ・ビースト】終わり

◆リザルトな◆

◆シャープウォーカー(種別:ニンジャ)        PL:つの
カラテ       4    体力        4→3
ニューロン     3    精神力       3→2
ワザマエ      5    脚力        3
ジツ        1    万札        2
DKK       2    名声        0

◇装備や特記事項
◆ジツ:ヘンゲヨーカイ・ジツ 精神力1を消費して【カラテ】+3、【脚力】+2(1ターン)
◆トロ粉末
◆ヒキャク:【脚力】+1、回避ダイス+1個
◆忍◆
つの版ニンジャ名鑑#010
【シャープウォーカー】
ソウカイヤのニュービーニンジャ。脚が早い。
◆殺◆

今回は失敗…ではないですが、初めてふわふわローン死してしまいました。でももったいないので救済します。じゃあくな行動は出来ませんでしたが、運命力に介入したためケジメとしてDKKを2増やしました。彼の回避力ならブラックドラゴン=サンとカラテしてもなんとか生き残れたでしょうが、巻き戻すのも奥ゆかしくないでしょう。つののリプレイ小説ですので好きにさせて下さい。PB=サンならうまくやれたかも知れません。

ハックに失敗すると後半はぼんやり観ているしかなく、正直手持ち無沙汰でした。カラテで死んだ人やうまくやった人も羨ましいです。でも結果は結果なので仕方ありませんね。ドアノブに負けるよりマシです。

以上です。つの産のこうしたニンジャたちを、あなたは自由に活用して下さい。つのはとても喜び、あなたの記事にスキをつけたりするでしょう。

【以上です】

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