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【聖杯戦争候補作】合縁奇縁一期一会

「参ったなあ、こりゃあ…」

逢魔が時。彼の背後、闇の中から奇襲してきたのは、まさしく
とっさに身を翻し、体術で攻撃をかわした。攻撃の瞬間まで、一切気配は感じなかった。連撃。被っていた笠が飛び、髪の毛が数本切断され、魔の影は再び闇の中へ身を潜めた。そして気配を消す。

彼の視力は、襲撃者の姿を捉えていた。
全身漆黒。眼球までも黒い、小柄で細身の影。手に持つ短刀には、おそらく毒。絵に描いたような暗殺者。これからもっと暗くなる。ならば、心眼を研ぎ澄ませるまで。彼は構えを取って目を細め、呼吸を整える。それと同時に、手に提げていたコンビニ袋を、ゆっくりと地面に下ろす。

「買い出しの帰りなんだ。邪魔しないでくれよ」

彼のいでたちは、日本であれば――少々目立つが――それほど珍しいわけでもない。墨染めの法衣に袈裟。白足袋に草鞋。飛ばされたのは網代笠。手には錫杖。仏教の僧侶だ。まだ若く、剃髪もせず黒髪を伸ばしている。

「坊さん、悪いが死んでもらうぜ」

もう一人、物陰から姿をあらわし、ゆっくりと近づいてくる男がいる。
パンチパーマで髭面の悪相、スーツと革靴、金ピカの装身具。誰がどう見てもヤクザだ。身のこなしから、さっきの襲撃者ほどではないが、それなりの使い手とわかる。襲撃者の仲間と見て間違いない。一定の距離を保っているのは、こちらの注意を分散させ、襲撃者を援護しようという腹だろう。

「……知らんのか? 僧侶を殺せば地獄に堕ちるぞ。殺生の罪の中でも……」
「はっ! ここが地獄だろ。欲ボケのアホどもが殺し合う、ありふれた日常だ」

イカれたヤクザが懐から拳銃を抜く。刹那、足元から短刀。連携が取れている。若い僧侶は奇襲を見切り、跳躍して回避。襲撃者は地面から……否、影から襲って来る。人間ではなかろう。

「俺のサーヴァント、アサシンだ。さっきもだが、よく避けたな。ただ者じゃねえことは確かだ。へ、へへ」

拳銃を弄びながら、ヤクザが笑う。周囲に人影はないが、街中の路上で撃つ気はないか。

「サーヴァント?アサシン? 何のことだ? なぜ俺を狙う?」
「まだ思い出してねえのか、聖杯のことをよ。ま、どうでもいい。早めに消しとくに限る。へへへへ」

ヤクザは意味不明なことを呟きながら、拳銃を手にして笑い続ける。薬物中毒者の譫言か、あるいは。いずれにせよ、このままむざむざと殺されるわけにはいかない。降り掛かる火の粉は払うべし。この場を逃げて人混みの中に入っても、こいつらはお構いなしに殺しに来るだろう。 

突然、背後の足元からアサシンの襲撃! 同時にヤクザが拳銃を発射!
銃弾は逸れたが、動揺した僧侶は短刀をかわしきれず、左足首を負傷!

「あづッ!?」
まずい。毒だ。左足首から先の感覚が麻痺し、徐々に上へと毒が這い登る。ヤクザが嘲笑う。

「へへへは、ようやく一撃かァ。あんたもすげえが、手間取らせやがって。先が思いやられるぜ。正直、俺のサーヴァントは外れっぽくてよォ。あんまり強くねえんだ。だからこうして、俺が援護してやらなきゃならねえ。美しい主従関係だろう?」

「知るか! ここは平和な日本の一地方都市だろォが! いつからこんなに治安が悪く……」

動きの鈍った僧侶を、アサシンの連撃が襲う。速い。両手に短刀。急激に手数が増した。防ぎきれず、短刀が僧侶の腕、脇腹、耳、肩、頬を掠める。そこから毒が回る。毒。即座に解毒せねば、死ぬ。解毒。どうやって。薬は。こんな毒……。


「……ああ、そうだった、そうだった」

何故、今まで忘れていたのか。こんな毒など。我が守護神には。
僧侶は錫杖を回してアサシンの腕に絡め、一瞬動きを封じる。そして。

「オン・マユラ・キランデイ・ソバカ」

すみやかに両手で印を結び、真言を唱える。『孔雀明王呪』。僧侶の体内から、毒が瞬時に消え去る。体の動きが戻り、大きく跳躍してアサシンの攻撃範囲から脱する。アサシンはまたも影に身を沈める。

「そうそう、おかげで思い出したよ。俺は……」

記憶が蘇る。膨大な、膨大な記憶。父のこと、母のこと、姉のこと。
師との出会い。修行と読経。退魔行。無数の死。敵。仲間。妖魔。聖杯。聖槍。無数の死。人間界。天国。地獄。光。闇。無数の死。

―――――聖杯戦争。

「俺は『孔雀』だ」

膨大で壮絶な記憶が、彼の判断力を鈍らせ、動きを止める。
影から現れ、死角から首元へ迫るアサシンの刃を、回避できない。回避しようともしない。錫杖も手放している。

しゃりん、と音を立てて、錫杖から金輪が一つ外れ落ちた。


 ず
   し
     ん


何かが一閃し、地震と共に道路に大穴を開ける。
アサシンは途方もない質量に上から押し潰され、声もなく消滅した。

「成仏しやがれ」

直後、破れ鐘のような大音声。
アサシンを消滅させた存在―――男が、右手を胸の前に出して拝んでいる。
その胸元には、巨大な数珠が巻かれている。アサシンを押し潰した、彼が振り下ろしたであろうはずの武器は、どこにもない。彼はそのまま腕を組み、唖然とするヤクザ……敵マスターを憤然と睨み、告げた。

「不思議だろうが、てめえの命(たま)は取らねえ。消えな」

敵マスターは、男を見た瞬間、敗北を悟った。こいつに勝てるわけがない。
顔から一気に血の気が引き、無様に失禁しながら、従僕を失った敵マスターは悲鳴を上げて逃げ去った。心を折られた彼は、もはや聖杯戦争に参加することを選ばず、一市民として生涯を全うするだろう。

若い僧侶―――孔雀は、彼を……自分のサーヴァントとして呼ばれた男を見た。なるほど、まさしく英雄だ。

「待たせたな」

筋骨隆々、堂々たる体躯。満身に漲る魔力と覇気。爛々と輝く黄金の瞳、真っ赤な髪の毛。入れ墨肌に赤い行者の服をまとい、額に金輪、手に手甲。ああ、こいつは、誰が見ても。

「悟 空 だ」

「悟空ねえ。『ドラゴンボール』の主人公……じゃあ、なさそうだ」

東洋人なら、知らない人はまずいない。岩から生まれたスーパーモンキー、斉天大聖・悟空サマである。

孔雀は頭をかきかき、悟空に深々と礼をする。

「いやはや、助かったよ悟空さん。しかし、敵マスターを逃がすとはねえ」
「俺は殺生(ころ)さねえ。英霊には引導を渡してやる。そのいでたち、てめえも仏弟子(ぼうず)だろう。名乗りな」
「ああ失礼、俺は孔雀っていうんだ。よろしくな、大先輩。……あっちで座って、メシでも食べるかい?」
「おう。その前に、怪我の処置をしとくか」

孔雀は笠と錫杖とコンビニ袋を急いで拾い、悟空と共に近くの公園へ向かう。ベンチに座ろうとしたが、悟空が地べたにあぐらをかいたので、自分もそうした。応急処置をした後、食料を出し、食べながら語らう。

悟空のステータスを確認したところ、彼はランサー(槍兵)ということになっているが―――正直、東洋人なら誰が見たって彼の真名はわかるだろう。普段は悟空と呼ぶことにした。

「悟空さん、確かあんたは天竺へ無事たどり着いて、『闘戦勝仏』に成った……んじゃ、なかったっけ」
「違う。俺は釈迦に寿命をもらい、衆生済度(ひとだすけ)の旅を続けて、寿命で死んだ。来世も三蔵のお供がしたかったからだ」
「三蔵法師のお供、ね。俺が三蔵でなくて悪かったが……それが聖杯に託す、あんたの願いか?」

孔雀の問いに、悟空は頭を振る。
「いや。俺の願いを叶えるのに、聖杯なんて必要(いら)ねえ」

孔雀は頷く。この男なら、そう言うに決まっている。

「三蔵は立派な仏弟子だった。きっと、極楽浄土(ほとけのところ)に往生してるさ。俺もそこへ行けば済む話だ。衆生済度のためにどこかへ転生してるかもしれねえし、英霊ってのになってるかもしれねえがな」

悟空は西の空を眺める。筋斗雲なら一飛び十万八千里、極楽浄土までは十万億土。そう遠いことはない。悟浄、八戒、千里馬。あいつらも、どうしているか。

「てめえの欲しいもんは、てめえで獲る。いらねえもんは獲らねえ。昔からそうしてきた。ましてや、俺は仏弟子だ。他の奴を殺生(ころ)して奪うことは、したくねえ」

「ご立派、ご立派……。じゃあさ、もし俺が聖杯を欲しくて、他の奴を殺そうとしたら?」
「てめえもぶっとばす。外道にゃあ容赦しねえ」
「聞いてみただけだって。俺もあんたと同じさ、いらねえもんは獲らねえ。特に『聖杯』なんてな」

聖杯。ナチスの残党「終末の軍団(ラストバタリオン)」……六道衆が求めていた、キリストの髑髏杯。否が応でもそれを思い出すが、この『聖杯戦争』とかいう悪趣味なゲームで争われるのは、別物らしい。

いや、似たようなものか。参加者を世界中から無差別に呼び集め、使い魔を与えて殺し合いをさせ、聖杯を作る。まさしく「蠱毒」だ。反吐を吐くような外道の諸行だ。孔雀の心身に怒りが満ちる。

黙ってうつむいたままの孔雀を、悟空がじっ、と見つめる。
この若い仏弟子は、ただ者ではない。人間よりも妖魔のにおいがする。潜在能力は大聖級、あるいは……。

「……てめえの中に、なんか凄えもんがいやがるな。力はどれほどだ」
「以前は、結構なもんだったんだがね……。いろんな事情により、今はほとんど忘れっちまった。あんたが頼りだ」
「俺の魔力(まりき)も、だいぶ制限(おさえ)られていやがる。なに、できることをやりゃあいい」

あの壮絶な最終決戦は、孔雀から法力を失わせた。だが、いくつかは思い出しつつある。聖杯戦争には乗りたくないが、邪悪なサーヴァントだけを倒していけば、いずれ全てを思い出すだろうか。

しかし、あまり思い出し過ぎても、よくないことになるだろう。自分に秘められた力は、あまりにも強大だ。力に呑まれてはならない。それに、このサーヴァントだけでも充分だ。いてくれるだけで、勇気と力がふつふつと湧いてくる。それでよしとしよう。

「で、孔雀。てめえはどうする。殺生もしねえ、死にたくもねえ、聖杯もいらねえってんなら、もとの世界に帰るか」
「そうしたいのはやまやまだが――――」

どうする。怒りのままに力を振るい、聖杯戦争をぶち壊すか。できるだろう、俺とこいつなら。

「悟空さんよ、あんたと俺がここにいるのも、仏縁ってやつだろうぜ」
「仏縁か」

孔雀は顔を上げ、錫杖を突いて立ち上がる。

だが、それでは解決にならない。聖杯戦争が二度と起きないように、根本から救わねば。そうだ、救わねばならない。参加者も、主催者も、くだらぬ争いから解き放たれるように。

「そう。欲ボケどもが醜く争い殺し合う、無明の世界。この世で苦しむ衆生をあまねく救うために、御仏が俺たちを導いたのさ!」

悟空は笑い、孔雀の掌に拳を合わせた。

地獄に堕ちた大魔王、三蔵求める大魔猿。
二人の凄腕仏弟子が、ここに結ぶは『仏契(ぶっちぎり)』!!

三界狂人不知狂 四生盲者不識盲
生生生生暗生始 死死死死冥死終
 ――弘法大師空海『秘蔵宝鑰』より

【クラス】
ランサー

【真名】
悟空@悟空道

【パラメーター】
筋力A++ 耐久A++ 敏捷A+ 魔力A 幸運C 宝具A

【属性】
混沌・善

【クラス別スキル】
対魔力:A+
A+以下の魔術は全てキャンセル。事実上、魔術ではランサーに傷をつけられない。

【保有スキル】
銅頭鉄額:A+
生物として異常な肉体を持つ。岩から生まれ、仙桃・仙丹を喰らい、ほぼ不死身の頑丈さを誇った逸話がスキル化したもの。筋力と耐久力が常時ランクアップしており、石化を完全に無効化する。ほとんどの毒も効かない。血液はマグマのように熱くて岩をも融かし、発火・爆発する。並みの武器なら無傷で跳ね返すし、怪我の回復も早い。気合を入れると超硬質化し、致命的攻撃を防いだり(真王首)、髪の毛を射出したり(穿闘髪)できる。首を切り落せば死ぬし、釈迦如来に寿命を授かって死んだので完全な不死身ではないが、往生際はとことん悪い。

カリスマ:A+
大軍団を指揮する天性の才能。妖魔ひしめく獄界七大国を統一した「真王」たる器量。ここまで来ると人望ではなく魔力、呪いの類である。

単独行動:A+
マスター不在でも行動できる能力。大地に足をつけていれば、マスターからの魔力提供を必要としない。

動物会話:A
言葉を持たない動物との意思疎通が可能。知能差と種族差を乗り越えて、互いに心を通じ合わせられる。馬や恐竜とも会話して情報を引き出せる。

法天象地:A(EX)
自分の周囲に膨大な土砂・岩石・金属・溶岩等を纏い付かせて擬似的に受肉し、黒鉄色で巨大な「人外大魔猿」の姿に変身する術。憤怒を耐え殺生を犯さぬとの仏との契約に逆らうため「逆仏契(ぎゃくぶっちぎり)」と叫ぶが、理性や判断力は一応もとのまま。筋力と耐久力が大幅に向上する。本来は身長40mほどまで巨大化するが、あまりにも強大なのである程度は抑えられている。変身そのもの(建造物や地形の破壊・吸収を伴う)や大魔猿の姿が極めて目立つため、よほどの巨大な強敵相手でなければ使わない。

【宝具】
『如意棒(にょいぼう)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1-100 最大捕捉:1000

如意金箍棒とも。ランサーの「相棒」で、ランサーたる所以の宝具。神珍鉄製。重さは一万三千五百斤(約8トン)。持ち主の意に従って自在に伸縮・飛行し、ビルを貫くほど太く大きくもなるし、大きな数珠状(紐はない)にして首や腕にかけることもできる。

『筋斗雲(きんとうん)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:10

宝珠を持ち豊満な体型をした雲の精霊。ランサーが呼べば雲の中から現れる。背中に数人を乗せて自在に高速飛行できる。実体があり、攻撃を受けると血も流す。本字は「[角力]斗雲」だが、ここでは筋斗雲と表記。

『緊箍児(きんこじ)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:自分 最大捕捉:自分

如来によってランサーの額に嵌められた拘束宝具(法具)。「緊箍呪(定心真言)」を唱えると頭を猛烈に締め付けて苦しめ、行動不能にさせる。原作の原典『西遊記』では天竺到着後に外されたが、『悟空道』では付けられたままである。緊箍呪を知っている者が敵であればランサー最大の弱点。孔雀明王ほどの神仏なら、一時的にしろ外すこともできそうである。

『色即是空(しきそくぜくう)』
ランク:-(EX) 種別:対己宝具 レンジ:自分 最大捕捉:自分

ランサーが「空」を悟った状態が宝具化したもの。全身を入れ墨状の模様が覆った巨人の姿となり、闘魂も憤怒も恐怖もなく、何ものにも惑わされずに闘うことができる。破壊されても多数に分身し、影もなく虚空から出現するなど変幻自在。ただしこの状態になるには、緊箍呪によって闘魂を失い「空」を悟らねばならない。現在は封印されている。

【Weapon】
四肢五体
文字通り全身が武器。素手であっても凄まじい膂力と体術で縦横無尽に戦う。

如意棒
宝具と同じ。数珠状にしていても振り回したり絞め付けたりして攻撃できる。大概の飛び道具は回転させて弾き返す。

穿闘髪(せんとうはつ)
自分の髪の毛を刀剣のように鋭く尖らせ、投擲・射出して攻撃する。切れ味国宝級(ばつぐん)でさびたりしない天下一品の光物。

悟空剣(ごくうけん)
手甲やブーツから大斧のような刃を伸ばし、手足を振り回して斬撃を加える。柱や壁をたやすく切断し、殺生せぬよう武器を破壊する。

【人物背景】
山口貴由『悟空道』の主人公。獄界は傲来国果花山の巨岩から生まれた岩猿(いしざる)。「斉天大聖」を称する最強無敵の大妖魔。暴れに暴れて獄界七大国を統一する真王となり、果ては天界の神々に挑んで十万の天兵を向こうに回したが、釈迦如来の法力で五行山に封印。五百年後に三蔵法師玄奘に出会って出獄、生き方を改めるため仏弟子となってこれに仕え、天竺までの長い旅路に立ちふさがる妖魔を掃除した。

容貌は猿というよりほぼ人間。しっぽは昔ノコギリで切り落とした。両掌には強制合掌法具で貫かれた傷跡があり、右太腿の内側には「三蔵命」と彫ってある。難しいことを考えるのは苦手な野生児で、読み書きもできないが、曲がったことは大嫌い。硬派・熱血・純情で女には弱い(尻に敷かれる)。
なおバーサーカーの適性もあるため、仏道に背き怒りと暴力に頼って殺生を重ねすぎると狂化する恐れがある。

【方針】
聖杯は不要。保護すべき者は守り、悪党はぶっ飛ばす。基本的に殺生はせず、サーヴァントだけを破壊して英霊の座に戻し、残ったマスターには脅しをかけて戦いを放棄させる。マスターがあまりにも腐れ外道で、生かしておくと危険すぎるなら、やむを得ず殺してから供養する。

【把握手段】
単行本全13巻、ないし愛蔵版全6巻。

【マスター】
孔雀@孔雀王

【Weapon】
錫杖、金剛杵など。体術・拳法の腕前も相当なものである。

【能力・技能】
発勁
構えた両手に「気」を集中させ、気弾を放つ術。接近して拳打・掌打で叩き込むことや、複数の気弾を飛ばすこともできる。

法力
印契を結び真言を唱え、身口意をもって仏神の力を呼び出す真言密教の秘術。発動には言葉が話せ、両手が自由に動かせる必要がある。本来は多数の高度な法力を行使できるが、最終決戦の影響と能力制限によりほとんどの使い方を忘却している(真言等の知識はある)。現在使用可能なのは、以下の法力のみである。戦闘を重ねていけば、次第に思い出して行くであろう。

『孔雀明王呪』
毒蛇、毒虫を好んで食らう己の守護神・孔雀明王の力を借りて、その身から毒を消し、逆に魔を食い尽くす呪法。翼を借りて空を飛ぶこともできる。真言は「オン・マユラ・キランデイ・ソバカ」。

『九字神刀』
早九字護身法。「臨兵闘者開陳烈在前」の九字を唱えて両手の指先に力を集中し、刀のようにして攻撃する。

『摩利支天隠行印』
太陽神にして武神である摩利支天の力を借り、自らの姿を魔物から隠し、攻撃を回避する。「オン・マリシエイ・ソバカ」

『不動明王火炎呪』
一切の不浄を焼き払う不動明王の力を借り、炎を起こす術。火界呪とも。印を結んだ両手から炎を放つ。「ナウマリサンマンダ・バサラダン・カン」

『風天神斬裂渦』
風を司る風天神の力を借り、周囲の者を切り裂く強い旋風を巻き起こす。「オン・バサラ・ニーラ・サーガ」

『雷帝杵』
雷神帝釈天の加護により、雷を操る術。印を結んだ両手から稲妻を放つ。雲から稲妻を降らせることもできる。「インドラヤ・ソバカ」

【人物背景】
荻野真『孔雀王』シリーズの主人公。「裏高野」に属する真言宗の僧侶。ぼさぼさの黒髪太眉でそこそこ美形な青年。推定20代前半。孔雀明王を守護神とし、様々な法力や拳法を自在に使いこなす凄腕の退魔師にして、大魔王「孔雀王(ルシフェル=メレクタウス)」の転生体。凄惨な過去と宿命を持つが、普段は食い意地が汚く、酒とパチンコをやり、美女に鼻の下を伸ばし、エロ本やAV鑑賞に耽る生臭坊主。車やバイクや飛行機で移動する時は、乗り物酔いに苦しめられる。機械にも弱い。

【ロール】
旅の修行僧。資金はぼちぼち持っているが、基本的に野宿・托鉢。

【方針】
聖杯は不要。主催者をも救うことで聖杯戦争を根本的に終わらせる。無理なら帰還の道を探る。保護すべき者は守り、悪党はぶっ飛ばす。

【把握手段】
『孔雀王』無印。単行本全17巻、ないし文庫本全11巻。各最終巻は本編以外の未収録短編集。『退魔聖伝』以後やOVA版等は参考資料としてもよい。

【参戦時期】
『孔雀王』無印本編終了後。最終決戦の影響により、多くの密教法術を忘れ去ってしまっている。

◆◆◆

悟空はまさに真の男だ。彼を御せそうなキャラクターを探したところ、孔雀を思い出した。これは仏縁だ。どちらも濃ゆすぎて動かしにくそうだが。

本編は男臭いが動画は百合の香りが漂う。アサヤモを思わせるPVだ。おれは例のあの案件には悲しみを覚えるが、新しくタノシイものが生まれれば楽しむスタンスだ。腹がへるのでケンカはしない。

なお、悟空は逆噴射プラクティスにも登場させた。エピロワ第二部にも彼の概念は流用されている。というかあれはエピロワ第二部の余波だ。

【続く】

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