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【詩】 オキシトシンブロック


つかれると やさしくなりたくなる
あさの洗面所はいつもひとつだけ
ごめんね
あわてているのは わたしもおなじ

沈む気持ち
音楽でドーピング

暴力的な歌詞に
ずーんっと引き摺られる
重力感が違う
鉛みたいに
重い

最近の脳科学のいわく
脳はネガティヴなことばに
敏感だそうだ
普段の思考のなかで
じぶんにどんなことばをかけている?

やさしくしていない
二十四時間
ほとんど叱っている

朝から晩まで
ほら
時間がないんだから急いで
どうしてそんなにトロいの
はやくして
いやがる子供に
無理に服を着せるみたいに
身体をあちこち引っ張って
朝は痛い
朝は
擦り傷だらけ
ではじまって

溜息でおわる

もう
つかれたから
やさしくなりたい
オキシトシンが足りない
きっと
どこかマヒしている
もうずっと
マヒしている

やさしいをひらく強さが
欠けている
つかれて
やさしいをひらくつよさに
辿り着けない

ごめんね
朝の洗面所は
いつもひとつ
急いでいるのは
わたしもおなじ

オキシトシンブロック

溶かして
やさしくなりたい


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