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デザインマネージャーが語る!ポートフォリオの作り方・見せ方(学生の方向け)

以前、学生の方向けのイベントでポートフォリオの作り方や見せ方について話したことがありました。
最近もアドバイスを求められる機会があり、秘密にするような内容ではなかったので公開します。

プレゼンスライドを記事に落とし込んでいるので、若干体裁が整っていませんがご容赦ください。

ポートフォリオから判断すること

就職活動において、企業側がポートフォリオから判断することについてお話します。

先にお断りしておきますが、若干厳しめの話になると思います。
また、具体的な制作テクニックというよりは、どう考えてどう作るかに重点を置いています。

具体的な制作テクニックについては、話せる内容が無いわけではないんですが……あなたが何をどう考えどう作ったかによって大きく変わります。
万人のポートフォリオにとってベストなレイアウト、配色、タイポグラフィなどなど、そういったものはありません。
そのため、今回は取り上げないことにしました。

前置きはこれくらいにしておいて、普段見ているのは主に次の3つです。

  1. 技術力

  2. どんな人か

  3. 思考のプロセス

技術力

技術力については言わずもがなですね。
どこの会社でもそれなり以上に重視していると思います。

ただ、技術と一口に言っても色々あります。
デザインツールの最新機能について詳しいか?とか、そういったことはあまり見ていません。
日頃からよく勉強しているサインとしては捉えていますが、あくまでそれくらいの重要度です。

逆に、いわゆるデザインの4原則(近接・整列・反復・強弱)なんかは結構見ています。
ぱっと見お洒落であっても、規則が無いとか、色んなものが微妙にずれているとか……そういうのは「おや?」と思ってしまいます。

表層のテクニックは後からでも身につけやすいです。
学生のうちは、ちゃんと整列するとか、主役と脇役にしっかりコントラストをつけるとか、とにかく基本を重視する方が良いでしょう。

どんな人か

次はどんな人か、です。

「〇〇を解決するアプリ」といった説明があったとしましょう。
世の中に色々な事象がある中で、何故あなたは〇〇を解決すべき課題と捉え、どういうアプローチで解決を試みたのでしょうか?

あるいは、新しい価値を提供する何かを作ったとして。
どういうバックボーンがあり、どんなものを新しい価値だと感じて世に提供したいと思ったのでしょうか?

制作物の説明以外でも、あなたが何を重視していて、どういう特性があって……というのは非常に気になります。

どんな人と一緒に仕事をするかで、どれくらい良いものが作れるかは大きく変わります。

是非、あなたという人を教えてください。

思考のプロセス

最後は思考のプロセス。

特に事業会社においては、アウトプットのクオリティと同じくらいの重要度で思考の精度が求められます。
まぐれ当たりのホームランも良いですが、どちらかと言えば確実にヒットが打てる安定感を重視しています。

息をのむほど高いクオリティだったとして、何を考えているか全く分からないポートフォリオの場合、正直言って評価が難しいです。
天才なのか、まぐれなのか……ポートフォリオだけを見て判断できるほど優れた観察眼を持った人間はそんなにいません。

逆に、荒削りながら良いプロセスを踏んでいるポートフォリオは「1度話してみたい」と感じやすいです。
会社にあっているか?自分のチームメンバーだったらどうか?などを想像しやすく、具体的に色々聞きたいことが浮かんできます。

制作する中で、どういう考えの変遷があったかなども是非記載ください。

良いポートフォリオ・惜しいポートフォリオ

ここからは、具体的な事例を挙げて良いポートフォリオと惜しいポートフォリオの違いを説明します。

ファイル容量

最初はファイル容量の話から。
良いというか、スムーズに見れるのはやはりデータの軽いポートフォリオです。

中身の話じゃないの?と思われるかもしれませんが、第一印象として意外と大事です。

今まで送っていただいた中で1番大きいものだと、pdfのサイズが2GB以上ありました。
ダウンロードするだけで地味に時間がかかりますし、ページ送りなんかもサクサクいきません。

どうしても、たくさんの方のポートフォリオを見る必要がありますから、あまりにも重いファイルはそれだけで少し印象が悪くなってしまいます。
ポートフォリオの品質に関係ないと言えばないんですが、みなさんも重いサイトを見ているときは待ちきれなくなりますよね?
そういう感じです。

原因はみなさんだいたい同じで、印刷解像度のままpdfにしています。
A4相当の350dpiとかの画像がたくさん詰め込まれているとあっという間に数百MBくらい超えてしまいますから、データの最適化をしておくのが吉です。

自己紹介

次は自己紹介です。
どんな人かよく分かるのが大事、という話から繋がってきます。

大抵最初の方のページに自己紹介を入れますよね?
けど、年表や使えるソフトだけが羅列されていたとして、そこから得られる情報ってかなり少ないです。

例えばPhotoshop レベル5、Illustrator レベル4と書いてあったとして、その人の最大値をレベル5と置いているのか、世間を見渡して偏差値70くらいあるよ、みたいなアピールなのか……判断する術はありません。

逆に、大事にしていることなんかが書いてあると、それを基準にして作品を見れます。

「ユーザーストーリーを大事にしている」といった、スタンスの話でも良いですし「グラフィックの良さでノンバーバルに伝える」みたいな、技術寄りの話でも良いです。
「Aの分野は荒削りだけど、この人が大事にしているBの分野は非常に丁寧にやっているから話してみたい」といったように、強弱をつけて見ることができます。

これからどんなことをしていきたいなどの意気込みも良いですね。個人的には書いてあると好きです。

繰り返しになりますが、あなたが誰で、どんな人かをぜひ教えてください。

作品の見せ方

作品の見せ方については皆さん気になっているのではないでしょうか?

話すと意外に思われる方も多いのですが「綺麗に制作物が並んだカタログ」が見たいわけではないんですよ。

思考のプロセスの話に近いですが、何をどう課題だと思ったからどのように解決に向かったのか、そういった部分も含めて見たいのです。
逆に、完成品しか見ていないとどうしても表層的な良し悪しの評価に留まってしまいます。

また、プロであっても一発ですべてOKなんてありません。
作っている最中にどんな候補を出してどういう判断で最終的な選択をしたのか、そういうものを是非見せてください。

ラフスケッチ100枚に、候補5案に、ブラッシュアップ過程が10フェーズ、みたいなそういうものも全然OKです。
完璧な人なんていないので、ぜひ飾らずに見せてください

チーム制作の作品

昨今ではチーム制作も多いですよね。
もちろん、ポートフォリオにチームで作ったものを載せること自体は全然OKです。

ただ、全部自分で作った風に見える書き方をしている方も結構いらっしゃいます。

1人で作るよりもチームで作った方が良いものができる確率はグッと上がるのは、ある意味当然です。
ただ、それはあくまでチームのみんながいたからなし得た成果でしょう。
ちゃんと、どこからどこまでが自分の担当とか、周りの人にこの部分は助けられたとか、そういった記載がある方がよりリアルに感じられます。

自分を大きく見せる必要はないので、是非こういう観点ももって記載してください。

余談:自分の過去のポートフォリオ作りの作戦

余談ですが、私の過去のポートフォリオ作りの作戦もお伝えします。
何かの役に立てば幸いです。

  • 受ける会社に合わせてポートフォリオの中身を変えていた

    • 載せても良いと思っていた作品が10ちょっとあり、
会社ごとに6-7つピックアップ

    • 事業内容などにあわせて順番を変えて製本

  • アーカイブ的に全て載せたWeb版を用意しつつ、
説明会などではiPadを持っていった

    • もし作品の話になったときにいつでもプレゼンできるように準備

まとめ

  • よく見ている項目は技術力・どんな人か・思考のプロセス

  • ファイル容量はある程度軽くしておくとGood

    • 画像の最適化はマスト

  • 自己紹介は事実情報の羅列だけではなく、興味関心などあなた自身のことも書いてあるとGood

  • 制作物を綺麗に並べたカタログというよりは、思考のプロセスや失敗してリカバリーした経験など、色々な変遷まで載っているとGood

  • チームで制作したものは、自分がどこを担当したのかが分かりやすいとGood

最後まで読んでいただいてありがとうございます!