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確率の利用可能性に騙されない方法「批判的思考」+34

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+10,+20,+30,+31,+32,+33

前回は、超常現象に騙されないための「確率の基本」を説明しました。

今回は、その確率の基本を使いつつ、利用可能性に騙されない方法を説明します。

人はこんな判断をしがち

100人が、1-10の間で数字を思い浮かべるように言われました。その数字が7である可能性は(a)-(d)のうちどれくらいでしょうか?(電卓を使わずに答えてみましょう)

(a)百分の一、(b)百分の七、(c)百分の十、(d)百分の一七

ぼくがこの問題を聞いたとき、答えはCだと思いました。しかし答えはCではありません。

ではどのようにCに行き着いたのか考えてみましょう。問題を100人ではなく、10人で考えるとわかりやすいです。

10人の人が、1-10の間の数字を思い浮かべるように言われました。その数字が7である可能性は?

ぼくはこのとき、「十分の一」だと考えました。だからこれが100人になったとき、「百分の十」になるよねと。しかしこの考え方がまちがっていたのです。

100人が均等に同じ思考をするのか?

先に解答を伝えておきます。答えは、「d」です。

そもそも論として、100個の数字を100人が均等に思い浮かべるものでしょうか?実際には個体差がありますから、均等になるわけがないんですよね。ぼくはこういう問題に均等性を取り入れてしまったのです。

この問題がランダムに分けられた数字を取り出すゲームであれば、均等性は発揮できます。しかし相手は人間ですから、等しい確率で思い浮かべられないのが当たり前なのです。

つまり初めから均等性ありきで考えてしまっているので、ほしい結果の分子がまちがっているのです。この現象は、以前説明した利用可能性が引き起こしています。

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均等性が発揮されれば「百分の十」が適切です。しかし個体差が発揮されるのであれば十中八九偏りが生じます。そして数字の7を選ぶ確率は、10や1を選ぶよりも高いことが統計的にわかっています。パッと思いつく数字を問われたときに10を言う人は稀。

つまり答えは、消去法で「d」になるのです。

【考えてみよう】
「頭の中で1-10の数字を思い浮かべて。ぼくはいま3を思い浮かべた。あなたは?」と質問したとする。相手はどの数字を思い浮かべやすいだろうか?確率の利用可能性をもとに考えてみよう


読んでいただきありがとうございます。これからも読んでもらえるとうれしいです。