2010年8月19日。

1
さざなみひとつ立てない頑なな水面
いつだって流動的だと思っているようだけど液体にだって言い分はある
今日は何があったってぜったいに揺れないと決めた
無為無謬
内側でどんなに渦巻いたって
たちまち逆向きにねじれて
ぜんぶ無かったことにしてしまう
心を動かしたり何かを感じ取ったりすることに
そうたいした意味があるとは思えない
意図が読みきれないって察しの通りそれは意図が無いって事
今日いちにちは何も感じないし何にも感動しないと決めた
今日いちにちわたしの心は静かに眠っている
何が起ころうとも


過去はいつも何かが足りなくて
ただ物悲しくなる
引き出しをそっと開けて
感傷に浸る以外に
振り返る理由などあるわけが無い
寂しさは
今まさに感じている方のがちりちりして刺激的だ
ぼくはそっちが好き
目の前の孤独に忙しくて
これまでどうだったかなんてかまっている暇など無いのだ
ぼくの目はまっすぐに
未来永劫続くであろう
君と分かち合えない孤独に向かってる
失望なんてするものか
ぼくはただただまっすぐ歩みを進めるのだ
君と共に在るために


夏の午後
ひんやりと深く沈んで
生き返ることを約束されたつかの間の死に向かう

黑暗に包まれて
遥か遠くからかろうじて
だけど絶えることなく聞こえる木々のせせらぎに耳を傾け
数十億年後に再び目覚めるときまで
ぼくは細い細い絹糸になって
ふわりとふわりと揺れ続ける

大げさと笑うことさえ大げさな
ぼくのこのささやかないのちが
風にのってどこまでも伸びてゆく

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