重ね合わせ(Work in progress.)

第一段階

誰かに内側からずっと見られている感覚
少しずつ自分が透明になっていく
失うのではなく透き通っていく
逆相位のホワイトノイズ
知っていることすべて
感じたことすべてが
見えない光がゆっくり射してきて
みな透き通っていく
透明になることに恐怖し
飛び降りて死のうとした男は
飛び降りていく自分を上から眺めている自分に気づき
気がついたらその上から眺めている自分になり
飛び降りた「かも」しれない自分と世界ごと重ね合わせられる
そこから彼はずっと落ち続ける感覚を内在し
永遠に死に向かう自分と共に生きている

スズメバチが部屋のなかに侵入する
首筋を這って
攻撃のチャンスを窺うように
じっとしていると飛び立つ
だがその日から監視される事になる
子供に買い与えた虫捕り網で捕まえて潰すと
自ら高熱を発して内部に向かって焼き崩れてしまう

自分のしている事が「完璧ではなく」
「何かが間違っている」感覚
過ちを犯す「愚かな自分」と重ね合わせられる感覚
ノードとしての決定論的な絶対性の崩壊

身体的には健康なのに病を患っている自分を同時に感じる
病院に行って診察を受けると
病変した部分が同時に「健康に」機能している事がわかる
健康な病人

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