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「プレーヤー」だった私が「トレーナー」になったら、人を教えることの楽しさを知った話

はじめに



とある飲食店に勤めて約4年。

諸事情あって上司や先輩がどんどん入れ替わったり辞めたりして、気がつけば店の中で最古のスタッフに。

必然的に「プレーヤー(現場で働く人。実働部隊。第一線に立つ人)」から、
「トレーナー(新人教育をする人。プレーヤーを育てる。管理者寄り)」へと立場が変わっていき、

案外トレーナーって面白いなって思ったお話です。


①プレーヤー時代の私

最初は普通のスタッフでした。
時間に来て、仕事をして、時間で帰る。

とはいえ、元々社会人経験があったことや、
周りは学生さんが多かったこともあり、
何となく「違う」という認識を持たれていたようでした。

まあ、高卒でそのまま就職したので、
プレーヤーとしての経験を積んでいたことが大きかったのでしょう。

(この飲食店に勤め始めた時点で、既に社会人になって10年は経っていました)

「分からないことは理解できるまで聞きまくる」
「知ったかぶりせず正直に質問する」


この二つがどれほど大事か身に染みて分かっていたため、
年上年下関係なく、たくさんのことを聞いて学びました。

今まで飲食店で働いたことは全くなく、
野菜の切り方も、
フライパンでピラフをあおり炒める方法も、
綺麗なオムライスの巻き方も、
全部一から教えてもらいました。

そうやって出来上がった「飲食店プレーヤーの私」は、
まあ、よくやった方だと思います。

自分の仕事を上手く回せるのが楽しくて、
どんな風に組み立てたらいいか、
どうやったら効率良く終わらせられるのか、
そんなことを考えながら仕事をしていました。

そう、「自分」しか見えてなかったんです。
なので、自分の仕事が溜まってくると、よくイライラしていました。

いやー、幼稚だなぁ。

とまあ、それはさておき。

最初はそんな感じで、お店全体とか、一日の流れとか、
そんなものは全然気にせずにいたんです。


流れが少し変わってきたのは、コロナ禍の時でした。

特に一番最初の時期は、
学生さん達が出勤できなくなってしまったんです。
理由は「未知の感染症が流行っており、アルバイトは禁止」になってしまったからです。

皆さん覚えていらっしゃるか分かりませんが、
いちばーん最初の頃、
「飲食店でコロナ患者が出て営業停止&消毒&隔離措置」
ってのがありましたよね。

それが良いとか悪いとかの話ではなくて。

世間の空気がそんな感じだったので、
学生アルバイトさんは学校からの指示が解除されるまで休職。
だけどお店は開いているので人は欲しい。

で、ハイパーロングシフトをこなす日々が続きました。


ただ、そうして朝から晩までお店にいると、
一日の流れが見えてきたり、
自分の仕事をしているだけでは上手く回らない場面に遭遇したりと、
今まで知らなかった部分に触れることが増え、
「今のやり方ではダメだ」
と感じることが多くなりました。


それに気がついてからは、
周りに声をかけたり、
自ら進んで仕事を引き受けたりして成長。

着々と力をつけていっていたら、
今度は上司が転勤。
同僚は学生さんなので就職決まっていなくなり、
数年でガラリと環境が変わりました。

②そんなこんなでトレーナーになってみた


まあ、そんなこんなで上も下も入れ替わりが激しく、
普通なら私のレベルでは引き継がない業務もやらせてもらえ、
気がつけば上から2番目に。
そして、「教わる」から「教える」が増えていくようになりました。

それに伴い、私の立ち位置も「プレーヤー」から「トレーナー」へと変わっていきました。

最初は正直に言えば、
「自分に務まるはずはない…」
「責任ばかり重くなるのは嫌だ…」
と思っていました。

ですが、自分なりに必死にやってみるうちに、
段々と楽しくなっていったんです。

私の言葉がきっかけで、
誰かの仕事が成長していく姿を、
誰よりも間近で見ることができるのは、
とても楽しくて、嬉しいことで。

トレーナーというポジションは、
私にとって天職とも言えました。


③上手くいったこと・失敗したこと


とはいえ先に話しておきますが、
上手くいったことよりも失敗したことの方が遥かに多いです。
そして今もまだまだ試行錯誤の日々です。

周りの方には、
「あなたが育てた人は皆すごい」
と言ってもらっていますが、

私がすごいのではなく、
本人の素質が大きい

と、私は思っています。

例えば「教える/教えた」と、「理解する/出来る」は、
全然違うんですね。

教える/教えたというのは、
あくまでも私目線

まずここで引っかかりました。

もちろん、一度の説明で全部出来るようになるわけではありません。
ですが、教えたことを理解して行動に移せるようになるまでが「教える」の範囲なんです。

すごく難しいでしょう?

そして理解する/出来るというのは、
「一定の評価点・基準点に達している」
というものであって、
「本人が『出来ます!』と言っているのはまた別物」
なんですよね。

分かりやすく言いますと、
お皿の洗い方・片付ける場所・所要時間を教えました。
本人は「出来ます!大丈夫です!」と言いました。
しかし実際にやらせてみると、
洗い残しがある。所定の場所に戻せない。時間がかかり過ぎる。
などの課題が見つかりました。
なので、今度はこの3点をしっかり教えていく。

といった感じになります。

教えた後も追いかけて、仕事の出来をチェックする。
「教えたから後は自分で考えなさい」ではダメなんですよね。

だって、その人は「出来る」の基準点が分からないままだから。

なので私は、「出来たと言える基準点」まで説明しています。
料理ならメニューブック通りに、
それ以外のことは時間や数字を駆使して。
誰にでも理解できる分かりやすい基準点作りが功を奏し、
教えた人達はぐんぐん成長しました。

④まとめ・これから


さて、こんなちゃらんぽらんな私ですが、
ありがたいことに応援してくれる仲間や、
信じてついてきてくれる後輩がいます。

彼、彼女らに対して私が出来る唯一のことは、
「背中を見せ続けること」と思っています。

決して追い越せない存在であるとか、
背中を見て育てという根性論を伝えたいのではなく、

「今の自分に満足しないこと」
「自分が諦めない限りどこまでも成長できる」

この二つを、ずっと伝え続けたいです。


そして私はというと、
これからも増えるであろう新人さんの成長を、
誰よりも楽しみながら、
新しいやり方を常に模索し続けたり、
仕事への取り組み方を常に考え続けていきたいです。

「志は共通、道は千差万別」

私のやり方、考え方が全てではない。
だからこそトレーナーは面白い。
誰かを育てると同時に、私も育てさせてもらっている。

私もまだまだ成長できるんだということを、
後輩から学ばせてもらっている。


トレーナーの道は始まったばかり。
これからも精進したいと思います。

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