見出し画像

過敏性腸症候群と共に歩む

私は30歳にして、過敏性腸症候群(IBS)歴17年の強者である。

この病気を知らない人はネットで検索してみてほしい。

簡単に言えば、一定の環境下に置かれると便意をもよおすという病気だ。

この病気を患ったきっかけは、中学1年生の学年末のテスト。

テスト中、急にお腹の調子が悪くなった。

その日以降、学校に行くとお腹の調子が悪くなるようになった。

それまでお腹が弱いと感じたことは無かった。

小学生のときも学校で"大"に行くことなんて、数えるくらいしかなかった。

毎朝スッキリして学校に行っていたから、意識すらしなかった。

なのに、中1のあの日から生活が一変した。

朝からトイレにこもる日々。
何回トイレに行ってもスッキリしない。

でも、便意が来ないときもある。
そんなときは教科書を広げて授業のことを想像する。
そうすると便意をもよおすのだ。

そうやって朝から便意と戦い、学校でも戦う。

授業中にトイレに行くなんて周りの目が気になる…と思うとお腹の調子が悪くなる。

でも、悪くなったら悪くなったで、行けないから我慢だ!と耐え続けるという、なんとも矛盾した行為を続けていた。

そして、休み時間になったらみんなが行かなさそうなトイレまでダッシュ。

1日1回トイレに行けば収まる日もあったが、収まらないときはまた戦いを続ける。

そうやって中・高を過ごしてきた。

振り返ると、中・高の一番の大敵は授業中だった。

しかし、大敵となるシチュエーションが変化してきている。

高校を卒業し、大学に入った。
大学での一番の大敵は、友達と遊んでいるときや飲み会のときだった。

大学の授業は大きな講義室での授業も多く、割と抜けやすい雰囲気だったので中・高ほどプレッシャーは無かった。

でも、友達の家に遊びに行ったときに「友達の家でトイレに行くのこと」に恥ずかしさがあったし、失礼だと思っていたので、そう思えば思うほど調子が悪くなり、頭のなかはトイレのことでいっぱいになった。

飲み会が大敵な理由は、居酒屋は酔いつぶれた人がトイレを占領していることがあるからだ。
そして男女兼用のところも多く、なかなかこもりにくい。

そして社会人になって、一番の大敵は通勤電車や高速道路になった。

通勤電車となると、乗った途端に人身事故が起きて、トイレに行けなくなるのではないかと考えてしまう。

基本的に各駅停車しか乗らず、調子が悪くなればすぐに電車を降りてトイレに駆け込む。

高速道路も、もしかしたら渋滞が発生してトイレに行けなくなるかもしれないと考えてしまう。

そんな可能性は低いことは分かってはいるのだが、17年選手になると、無意識に考え、お腹が反応してしまうのだ。

過敏性腸症候群の薬があるので、それを飲んでいた時期もあるし、漢方薬を処方してもらっていたこともある。

大腸の検査もした。(異常は無かった)

でも、効果はあるような無いような状況だった。
根本の解決にはなってない。

ストレスの元を根絶することが一番の解決策なのだろうけど、そうなると電車に乗らないことになるので、仕事に行けなくなってしまう。

そして、今このノートを書きながら、大学のときに病院に行ったことを思い出した。

大学生のときは暴飲暴食していたので、中・高より一層悪化してしまっていた。

食生活を改めれば良かったのだが、運動部に入っており、体を作る必要があったので、そちらを優先していた。

そうは言っても苦痛だったので病院に行った。

そのとき、医者に衝撃的なことを言われた。

「あなたよりひどい人はもっと沢山いるよ」

その言葉を聞いて悲しい気持ちになり、学生時代には2度と病院に行かなかった。

人と比べることになんの意味もないのに、なぜそんなことを言ったのだろうか。
あの時もう少し違う言葉をかけてもらえてたら、対処方法も変わっていたかもしれない。

正直、この病気になったことがない医者に、患者の気持ちは分からないと思うが、だからこそもう少し寄り添った診療をすべきだと思う。

とは言え、医者だけじゃなく、この病気になってない人には理解してもらえないと思う。

この病気が少しずつ認知されることを祈るばかりである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?