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『The Office』もしデヴィッドが【キャリアコンサルティング】を受けたら?

ドラマ・映画好きのキャリアコンサルタント xyzです。

先日upした英国BBCドラマ 『The Office』の主人公、デヴィッド・ブレント

仕事してる(フリ)


シーズン1では、会社で言いたい放題やりたい放題していたデヴィッドも、シーズン2で、ついに早期退職勧告のすえ会社を退職。

シーズン3(クリスマスSpecial)では、またまたBBSのドキュメンタリーチームが「あの人は今?」的な企画で3年ぶりにデヴィッドを密着取材!(というテイのモキュメンタリー


早期退職はしんどいだろうな……と思いつつ、それでも正直デヴィッドには同感はおろか、まっっっっったく共感できませんでした……シーズン3の途中までは。

だって本当に、自分勝手だしうるさいしふてぶてしいし下品だし仕事はサボるし、いいとこなし!退職した後も、全然変わってないんですよ、デヴィッド……。

シーズン2でデヴィッドが退職勧告を受けた時も「そりゃしかたないでしょ」という感想を持ってしまったくらいで。(同情の余地無し)

解雇ではなく退職、しかも割増退職金を提示された(a generous redundancy package)というところに会社の温情すら感じました。というか、会社としては何としてでもデヴィッドに辞めてもらいたかったのでしょうね……><


もちろん、全社挙げての経費削減の流れもあったでしょう。

しかし、デヴィッドの場合は職務遂行能力の欠如、勤務態度不良など本人の資質の問題による部分も大きく、自業自得感も否めません……そうは言っても、早期退職勧告。

デヴィッドの立場になって考えてみたら、青天の霹靂ですよね。

突然のことに動揺して不安になっただろうな、と。

誰かに相談したり、話を聞いてもらいたくなるだろうなと思いました。

そんな時こそキャリコンの出番なのでは?

さらに言えば、こんな事態になる前に、もし社内にキャリコンがいて、デヴィッドや(デヴィッドに迷惑被ってる)部下たちがキャリコンを利用してくれていたら、何か変わったかもしれないな、とも思いました。


ここからは完全にわたしの想像の話になりますが、もしデヴィッドがキャリアコンサルティングを受けに来たらどんな様子かなあ、なんて考えてみました。
(妄想好きなものでお許しください🙇‍♀️)


キャリアコンサルティングとは?


わたしの妄想にお付き合いいただく前に、まず「キャリコンって何?」「キャリアコンサルティングって何?」と思われた方のために、キャリアコンサルティングの定義を書きます。

「キャリアコンサルティング」とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいいます。

厚生労働省のホームページのリンクも載せておきます。


キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングを行う専門家で国家資格(名称独占業務)です。


では「キャリア」って何?

「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書(平成14年7月)より「キャリア」の定義を引用してみます。

「キャリア」とは、過去から将来の長期にわたる職務経験やこれに伴う計画的な能力開発の連鎖を指すものです。「職業生涯」や「職務経歴」などと訳されます。

巷ではキャリア=仕事というイメージが広まっていますが、わたしはキャリアという言葉を大きく捉えていて「生きてきたこと」「生きること」と同義だと思っています。
(キャリアコンサルタントは同じような考えを持っていると思いますが^^)

生きるとは、働く「だけ」じゃない。
でも、生きていく上で大切なことの一つは働くこと、仕事です。

さらにいえば、やりがいを持って働くことです。それが生き甲斐を持って生きる、にも繋がっていく。

だから、キャリアについて話すこととは仕事や職場のこと中心にはなるかもしれませんが、それだけに限定されず、日々の生活、これまでのこと、これからのこと、自分自身のこと、なんでも話してもらっていいんです!

キャリア=仕事のこと限定、ではないです!

こうしたことを安心して自由に話してもらえるような、そんな関係性を相談者と築いていくことがキャリアコンサルティングを行う上で不可欠です。

相談者との信頼関係を築く、このことをラポール形成といいますが、目の前の相手の行いや気持ちを汲み取り、それらを認めること、キャリアコンサルタントが心掛けて行うことのひとつです。

「対話」に飢えていたデヴィッド


シーズン3の途中まで見続けていても、デヴィッドに対して共感できずにいました。

ある程度の長くドラマを観ていると、どんなヒール役であっても多少なりとも思いを重ねることができる部分が出てくるものなのですが、デヴィッドに関しては、彼を応援したいとかカワイイとか全然思えなくて。とにかく終始、不遜で傲慢で適当で癖が強すぎて嫌すぎる!


でも、そんなわたしの気持ちがふっと変わった瞬間がありました。

それは劇中(シーズン3のクリスマススペシャル)で登場した、デヴィッドのデートシーンから。デート相手キャロルの態度を見てハッと気付かされたのです。

彼女なしのデヴィッドは、見栄をはって彼女をスラウ支店のクリスマスパーティーに連れて行くと元同僚たちに豪語してしまい、慌ててマッチングサイトでデート相手を探します。
ブラインドデートを重ねますがなかなか上手くいきません。
自分のことは棚に上げて、若くて美人狙いのデヴィッドは、紹介される相手がことごとく気に入らず(それを態度に出すからデートの終わりにはいつも相手は激怒)……だったのですが、全く期待していなかったクリスマスデートの相手が……!


理知的な美人で、しかも気立てが良い!


キャロルはデヴィッドの話を楽しそうに聞いてあげて、返しも気が利いてる。そう、会話のキャッチボールができているのです。

盛り上がってる…⁈


このシリーズ3作を通じてデヴィッドが誰かと対話している姿、初めて見ました。

デヴィッドもとっても嬉しそうです。

ずーーーーーっと嫌な男にしか見えなかったデヴィッドでしたが、デヴィッドは今まで寂しかったのかもしれない、対話を欲していたのかな、と思いました。

話を聴いて、返してくれる人が欲しかったのね。

初めてデヴィッドに対してシンパシーを感じたのです。

あんなに(仕事よりも)人を笑わせようと一生懸命なデヴィッド。笑わせるつもりが笑われているデヴィッド。

そこまでして笑ってもらいたい彼は、もしかして会社にしか自分の居場所がなかった人だったのかも。

(それなのに、その居場所を無くしてしまったデヴィッド……せつない)

もうちょっと何とかならなかったのかな。どうにかできなかったかな。

初めて「デヴィッドに対して何かできていたら退職は回避できたのかな…」と思いました。


もし、デヴィッドがキャリコンを受けたら


ありえない事だけど、もしデヴィッドがキャリアコンサルティングを受けにきたら……?


まぁ一筋縄ではいかない人なので、まず自分からコンサルティングを受けには来ないでしょうから、上司に業務命令で「キャリコン受けてこい」と言われて渋々来る感じでしょうか(笑)

それとも、早期退職を上司から迫られて、あわてて「キャリコンを受けよう!」と自ら来てくれるでしょうか?

動機はどうあれ、もしわたしのところに来てくれたらまずはあたたかくデヴィッドを迎え入れようと思います。


そして、デヴィッドの話をしっかり聴くことを心がけます。

きっと、ホラ話やハッタリも言うでしょうが、まずは先入観を持たずに受けとめる。とりあえずドラマで観たデヴィッドのあれこれについては参考程度にとどめるようにして(笑)目の前にいるデヴィッドを見るようにしたいと思います。

「受容」の姿勢は、デヴィッドのクリスマスデート相手キャロルの態度を見ならいたいところです。


相談者の相談したい「問題」は何か

⏩仕事がつまらない、仕事に身が入らない
⏩上司が気に入らない
⏩部下のノリが悪い
⏩他にやりたいこと(夢)がある

(早期退職勧告を受ける前、という前提です^^)


キャリアコンサルタントが考える相談者の「問題」は何か

⏩自己理解不足

★会社で8年間働いてきたが、仕事のやりがいを感じられていない。キャリアアンカー不明。

➡︎他にやりたいことがあり、仕事に身が入らない様子。

根拠 勤務時間中にTVクイズショー司会のシナリオ(妄想の産物w)書いたりしていた。

ユング「人生の正午」

➡︎中年の危機、過渡期。中年になることをポジティブに受けとめられていない。

根拠①  製紙業界12年目の中堅どころで中間管理職という立場。

根拠②  やけに年齢にこだわり、30代に見られたがる。老けて見られることに強い抵抗感が見られる。

★中長期的なキャリアプランを描けていない

➡︎仕事にやる気はないけれど、まぁとりあえずこのままユルく働いていくものだと思ってた。先のことなんて真面目に考えてきていない様子。

根拠 「50年働いて(half of century)退職金をもらい、引退後数年で死ぬ。そんな会社員の人生を、楽しく有意義に過ごす」という発言より。

➡︎自分の実力を客観的に見積もれない。自己評価が正しくできず過大評価している。
ダニング=クルーガー効果

根拠 「俺の方がニールより人気も実力もあるし、ダンスも上手い!」との発言あり。


⏩仕事理解不足

★支社長としての役割、会社や上司から期待されている仕事や役割を理解していない。

➡︎支社の運営がめちゃくちゃ。

➡︎本社からの要望や上司の命令を無視。

根拠① 「仕事ができて尊敬される上司よりも友達みたいな上司、オモロい上司と思われたい」という発言あり。

根拠②     指揮系統や社内の秩序よりも自分流を優先させる。

★業務遂行能力の欠如

➡︎上司から依頼されている仕事の納期を守らない。

根拠 タイムマネジメントができていないことに加え、不適切な文書管理、守秘義務違反の数々。

⏩コミュニケーションにかなり問題あり

根拠① セクハラ発言やパワハラ発言、差別的発言の数々(詳細は自粛)

根拠② 部下の話を聞かない、部下の相談に親身にならない。相談してきた部下にネガティブなフィードバックをする。

根拠③  上司に対して常に反抗的な言動を繰り返している。

⏩自己肯定感が低い

根拠① 名言メモや自己啓発本からの引用が多い。自分の言葉で話すことは少ないのは自信のなさの表れ。

根拠②過度の承認欲求も自信のなさをカバーするためであるように見受けられる。

☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆

さて、皆さんはどんなことがデヴィッドから引き出せましたか?


わたしがここで挙げたのは一例にすぎないので「これは!」というものがあれば是非コメント欄で教えてくださいね😊


さて、こんな相談者にどんな目標方策を立てたらいいでしょうか。

……と、こんなふうに妄想するのは楽しいですね!

ちょっと変わったドラマの楽しみ方でしょうか^^

よろしかったら(お下品なものに耐性ある方限定になりますが💦)是非是非ドラマも観てみてください😊


退職後のデヴィッド


シーズン3はウェーナム・ホッグ社を退職したデヴィッドのその後と、デヴィッドの部下ティムの片思いのその後について描かれていました。

デヴィッドは、ミュージシャンになることを夢見て、夜は舞台に立ちながら、生活費稼ぎのために外交員(travelling salesman)の仕事をしていました。

ライフワークを支えるライスワーク、ですね。

夢へ一歩踏み出したデヴィッドですが、彼が目指すミュージシャンの道は遠く、舞台に立つといってもイロモノ的扱いです。

相変わらずスベりまくってます
Austin Powers 気取り?

会場からはブーイングの嵐👎👎👎

ライスワークの方は、というと。

オフィスもなく、車で顧客先を回りランチも車の中で一人……。

俺の移動式オフィス


そんなサエない毎日だからなのか、寂しいからか、退職した後もデヴィッドは前の職場に頻繁に立ち寄るのです……迷惑なくらいに、しかもアポ無し(笑)

デヴィッドの言い分としては「社員の士気を高めに」(keep up the morale)行っているとのことですが、誰からも歓迎されていません!(なんなら皆から無視されてる)
(元腹心の部下も当惑顔)
(元上司のニールにも注意されてる)(でも気にしない)

辞めた職場でも我が物顔


それでもきっと、古巣が懐かしいのですよね。

以前はデヴィッドの補佐役、今は支社長に昇格したギャレスは「しょっちゅう来ないでくれ」「来るならせめて事前に電話してくれ」とデヴィッドに頼むのですが(笑)デヴィッドは「やーだね!」と言ってまたアポ無し突撃訪問を……。

全然懲りてない、それがデヴィッド・ブレント。

(受付も、デヴィッド通しちゃダメでしょ)


次回は、デヴィッドの元部下、営業担当のティムを中心に書くつもりです。

もうしばらくお付き合いくださいね。


ここまで読んでくださってありがとうございました!