わが妻はいたく恋いらし飲む水に影さえ見えて世に忘られず 若倭部身麻呂
飲む水に影さえ見えて。この表現がとても斬新で印象に残った。
その印象からして、てっきり詠み人が恋をしているのかと思いきや、よく見ると「恋らし」の主語は「わが妻」で、またしても衝撃を受ける。ナルシストなのだろうか…。
いや、ナルシストなら水の鏡に写る影は自分のはず。やはり彼は、妻を愛していたのだ。現に、後半の「世に忘られず」の主語は彼だと読めるようになっている。
それにしても、水に写った影を見たとき、それは相手が自分を思っているのか、それとも自分が相手を思っているのか、どっち