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【感想】三宅香帆「人生を狂わす名著50」(2017)

本好き京大生さんのブックマーク

せっかくnoteを始めたので、企画にのってみようと、読書の秋2021の課題図書の1つ「人生を狂わす名著50」を読んでみた。コロナ渦で本を読むようになり、いい本に出会えたらな、と、あと図書館にあったので。

人生を狂わす本、とは、人生の選択(進学や就職)時に意思決定の根底にあった本、という意味だそうで、自分にとってもそういう作品があったか考えてみたら、それは元祖乙女ゲー「アンジェリーク」だなと思った。20年ほど経った今でも台詞を幾つか覚えていて、例えば「旅の目的は、どこに辿り着くかよりも、どんな旅をするかーー車窓の景色も楽しめない旅なんてつまらない」みたいなやつ。たぶん、有名な詩人かなにかにインスパイアされた台詞(笑)だと思うけれど、教科書に載っているだけでは響かなかったと思う。中学生の女王候補生たる私が、何度も宇宙を救う旅の中で出会ったことで、この言葉が深く刺さり、特に10代の辛い時代を支えてくれたし、転職2回、家庭を持った今も、そうだよなぁと胸に疼く。シナリオライターさんが、あの世界観のあのキャラクターに言わせた言葉なんだなぁと、感慨深く思った。

さて、懐かしい気持ちと共に本を開いてみたものの、内容的にはあまり本を読んでこなかった自分には難しかった。例えば村上春樹さんが苦手だった著者が、どのように好きになったか、が語られているけれど、正直村上春樹さんの作品は読んでも映像が作れない、難しくて…。この手の本を読むと、マンガ三国志状態になる(失礼)。あれ、この人さっき出てきた? あれ?この城って誰が占拠してたっけ…? 風景や人物が連想できない、そういう能力を研鑽してこなかった。本が大好きでそういう能力を伸ばしてきた人たちを、最近になって羨ましく思うことができたので…。

それでも、自分が知っている作品ならわかるかな?と図書館戦争の項を読んでみた、けれど。冒頭に「この世で心から憎んでいるものが2つある。つまらない本と、つまらない読み方をする人である。」この一文を読んだときに、最終的には、ある人にとってはつまらない本も、別の人にとっては最高の1冊、みたいな話?と思ったら、本当に、つまらない本、読み方を祟っているという内容だった。好きな作家さんであっても新作がつまらなかったら、思う存分罵倒するし、好きな作品が罵倒されればつまらない読み方だと祟る。図書館戦争の好きなところは、読者に「甘えるな」とつきつけてくるところで「自分を甘やかさない生き方を教えてくれる」とあるけれど、著者さん、相当自分に甘くないっすか…?
しかし、著者さんは現在も書評家さんとして道を極める人なので、そういう人にとっては、他人がどうかは関係ない、自分がこう思ったらこう!というのが、甘えない生き方なのかもしれない。
因みに本好きの家族にこの本を渡してみたら、ぱらっとして「こういう書体変えたり太字を使う本、嫌い」とそっ閉じ。本好きの人って求道者なの…?

ともかく自分は、10年ぶりに新作がでたときメモGS4をやろう、と意思決定させてくれた本だった。(終)

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