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ミスを減らす取り組み~自己肯定感を高める関わりで減少させた話~

ミスは誰にでもあるけど
取り返せるものも多いと思う。
医療現場で起こるミスは
取り返しのつかないものもあって、
起こされた人も
起こした人も
心や身体に大きな傷が残ったりする。
自分も
忘れられない医療事故を起こしたことがある。
そのときは仕事に行けなくなり
今でも思い出すだけで頭が真っ白になる。

ミスを起こそうとして起こしている人は
いないはず。

そんな思いをできる限り
しない、させない
そんなことを思いながら
取り組んだことを振り返ってみようと思う。

医療事故の原因

医療事故の原因は医療安全でよく使用される
SHELL分析に基づいて要因を分類すると

環境要因:作業環境など
ハードウエア:施設や設備など
ソフトウエア:教育や訓練など
患者本人:病状の急変など
ヒューマンエラー:計画された行動であるにも関わらず、計画通りの行動に失敗する事

と学んだ。
どれほど整った環境で、
しっかりした指導やマニュアルがあっても
それを実施するのは【人】

変更や修正が難しいのは
実体験からもヒューマンエラーだと感じていて
思い込み・確認不足をしないように
意識することを心掛けて業務をしていました。
それでもゼロにすることは難しく、
患者さんに影響のない
事故になる前に発見できるような
小さなミス(インシデント)は起こしていました。

ハインリッヒの法則では300件の軽微な事故の積み重ねが
重大事故の原因になると言われているため
軽微な事故(インシデント)を減らせるような
そんな取り組みが必要になるのですが、
【意識する】
そんなあいまいな
根性論のような医療事故対策って
自分にもスタッフにも教育はできても
実施することはとっても難しく
何をどうしたら効果的か模索してました。

実際に行ったこと

取り組みをした現場は
もともと教育体制の整っていない
100床以下の病院で
設置されている安全委員会があり、
報告書などの提出もまばらにはありました。

私は師長として
自分の職場の責任者としての立場で
医療事故対策をしていくことにしました。

まず、よく言われていますが前提として
【人はエラーを起こすもの】
というのをスタッフには伝え続けました。

そしてミスをしたときに提出する
IA(インシデント・アクシデント)レポートの書式の変更、
小さなことでもレポートに記入してもらうよう
スタッフにお願いしました。

IAレポート自体を記入することになかなかの抵抗があり、
提出はまばらでした。

どうしても
個人攻撃や見せしめに感じられて
提出することで怒られて責められるとか
恐怖心があるのでは?と感じて

『IAレポートは皆の宝物』

とミーティングのときに話をしました。

失敗を共有して、
そこから学んで再発を予防する。
そのための教材になったんだよ!

そうやって何度も話して
実際に提出されたレポートは
一緒に振り返って
時系列に記入していくことを
細かくやりました。

ここで大切にしたのが
【自己肯定感】
を低くしない関わり。

まずは本人に
レポートを提出したことを褒めて、
エラーは起こるものだと伝えて、
本人が悪いのではなくて
そういう行動に至ったプロセスのどこかに
問題があるはずだから
そこを一緒に振り返っていくのですが、
そこで分かったことは
事実と感情や思いが分けられてないこと。

これは当事者がどういう心理で
その行動をしたのかを客観視するためにも
きちんと分けないと
個人攻撃になりやすいので
本当に丁寧にやったかな。

実は自己肯定感が低いと
事実と感情が分けにくいのです。

自己肯定感が低いと
自分を必要以上に責めたり
他者や周りのことを責めて
時系列で振り返っても
「○○さんに話しかけられたんで、集中できなくて、ミスしました。」
なんてよく言われたセリフ。

話しかけられた

集中出来なかった

ミスした

これはABC理論でいうところの
事実(出来事)→感情
で自分の思い込みや考え方がない!

つまりもうひとつの事実が抜けてるのです。

『なぜ集中出来なかった?』

これが当事者の
その人そのものをお互いに理解するために
とっても大切な部分。

自分の苦手な作業中だったのかな?
話しかけられた内容をちゃんと聞こうとしたのかな?
内容が急ぎだと思ったのかな?
作業してるときに話しかけるなんてありえない!って思ってるのかな?
などなど。

看護師の仕事って
横入り業務が多いのです。
そこをクリアにしておかないと
同じ状況で同じコトをしてしまうかもしれない。

その人の苦手なところや
大切にしてるところを知ることで
ひとつひとつの行動を承認していくこと。
ダメ出しでもなく、
ただただ、当事者の心の中で起きていた事実を
聴き出す作業。

そのうえで、
どんな思い込みも考え方も引っ括めて
それを変えることよりも
『そんなあなたで、どうやったら防げるかな?』
そうやって予防策を一緒に考える。

できれば振り返りたくない出来事だし、
ただでさえ落ち込んで
自分を責めてる状況なのに
さらに落ち込ませることをしても
また同じミスを起こすし、
客観視は難しくなるので、
まずは安心感を持たせてあげられるような
そんな関わりをしてました。

またミスしてしまうかもしれない

そんな恐怖心で
ミスしないように行動していても
他でミスしちゃう。
そんなことを繰り返してきた私だけど、
自分の自己肯定感を大切にして
どんな私にもOKをしたときに
ほとんどミスしなくなった。

ということは
そのままのあなたで大丈夫だよ!
というメッセージと安心感を
スタッフに感じてもらえるか。
そんな気持ちで関わり続けてました。

どうなったか?

簡潔に言うと、
1年位はレポートの数が増えて
そのあとは減少。
大体同じスタッフがレポートを出すことになり、
それも減少。

自分で自分のことが理解できて、
それを周りのスタッフも理解して、
お互いの得意、不得意が分かるから
的確なフォローができる。

フォローばかりしていると
何で1人でできないのよ!
となることもあるけど、
自分を知ると
できないこともあることを知っているので
本当の意味で
【おたがいさま】
そんな気持ちで仕事が出来ていたのだと思う。

この関わりは実は簡単ではなかった(笑)
当たり前だけど
関わる自分の自己肯定感が揺らぐと
かなり難しく
厳しいことも言ったこともある(汗)

やっぱり自分が充たされていないと
誰かのために動くのは難しい。

誰かのために一生懸命になってて
でも
何か上手くいってない

そんな風に感じている方に寄り添って
一緒に問題解決していきます!

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