しお

読書と百合と紅茶とチーズトーストを愛している。長距離走より短距離走が得意。読者に、性を問わず「百合的な感情」を経験させたい。

pixiv百合文芸小説コンテストに投稿しました。

あらすじ

室井緑(むろい みどり)は、学内にいるハーフの大人びた美少女、青木柚子(あおき ゆず)と修学旅行の帰りの新幹線で偶然知り合い、打ち解け合う。会話をしていく中で、緑は柚子と『友達以上の関係を築いている』と確信しながらも、幼さゆえに何も行動できずにいた――。その後、何の音沙汰もなく十年の月日が流れたある日、柚子からSNSを通じて連絡が来る。二人は再び意気投合し、旅行に行くことに。待ち合わせ

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食と森茉莉のやさしいレシピ

先日、邪宗門という世田谷にあるカフェに足を運んだ。
下北沢駅から迷路のように、人の溢れる都会の街をくぐり抜けて、だんだんと人気が無くなってきたころに、ふっと現れるカフェだ。

私はスマートフォンで表示した地図を見ながら、あっちかしら、こっちかしらと迷いながら、ようやく、住宅街の中に異彩を放つその店を見つけた。

店の雰囲気に誘われるようにドアを開けて中に入ると、外観の雰囲気とは打って変わって気さく

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くらげワルツ

※この作品は、『サークルクラッシュ同好会会誌5号』コミックマーケット91(https://circlecrash.jimdo.com/)に寄稿した超短編小説です。

 くらげが、ふわ~って浮いている。

 ねえねえ、葛西臨海公園のさあ、汚い海のことをまだ覚えてる?わたし、それっぽい気持ちにようやくなれて、海が見たいって言って、わざわざこんなところまで足を運んだんだよ。なのにさあ、こーんなでっかい水

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箱女

初めて一目惚れをしたのは、高校一年生の時です。
相手は、年上の女性の先輩でした。
一言でいうと、先輩は、美しい人間でした。校舎を歩く時、きらきらとしたエフェクトを身に纏い、ニコニコしながら、そこら中に笑顔を振りまいていました。私は、その笑顔を真っ正面からキャッチしてしまった愚かでうぶな女学生の一人でした。

私に、魔法をかけ、初恋という甘い夢を見させてくれる人。恋という感情の存在を信じさせてくれた

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電話が鳴ると、お腹が鳴って、神様が

また3コール目で切ってしまった。

ツーツーツーツー。切れる音。同じ音の繰り返し。

 自動再生。彼女の気配。

 ぎゅるるるるる~。おなかの音。

あのあと、夢の中で彼女と再び出会って、昔の様に、楽しく談笑したあとに、わたしは笑顔で彼女に向かって「やっぱ、もう二度と、わたしの前に現れないでほしい」って言った。ちょっと前までにこやかにしていた彼女の顔が一瞬固まった。

たった今、関係の目標が達成さ

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