ホーム戦勝利の価値
先日の8月12日。
約3週間の中断期間が明け、ついに後期リーグが開幕した。
待ちわびた、3週間ぶりの公式戦の日。
アルバイトは休みを取っていた。
そう、もちろん現地に赴く意向を持って。
でも、小心者の私はまたしてもその前日まで現地観戦をするか悩んでいた。
なぜなら、ホーム開催だったから。
関西大学体育会サッカー部にとって部外者である私に対してホーム開催はとにかくハードルが高い、と感じてしまった。
『ホーム』
その文字の通り、そこはチームにとっての本拠地。選手たちを送り出す場所でもあり、帰ってくる場所でもある。
そして、おそらく選手にとってその4年間で最も長くサッカーをする場所。
他所様のお家に伺うような緊張感が身を締める。
訪問販売を行うような後ろめたさがある。したことないけど。
こんなに躊躇うならおとなしくライブ配信でも見るかーと思った矢先、「ライブ配信は行わず、アーカイブ配信のみ」という告知がさらに私を悩ませる。
そして、どうしようかと悩み込んでいた前日の11日の深夜。
マネトレのブログがあがる。
それを読んで私は現地観戦することを決めた。
この一文が痛いほど胸に刺さった。
リーグ戦も気づけば折り返し地点。
私はあと何度このチームの試合を、この目で見られるのだろう。
そう思った。
大学チームを応援する宿命。
そのメンバーで戦える、そのメンバーでのチームを応援できるのはわずか1年だけ。
カウントダウンはとっくに始まっていた。
多分、来年も再来年も関大はきっといいチーム。
多くの人に愛され、憧れられるような素敵なチーム。
でもこのメンバーでの戦いは今年だけしかない。
2023年度 第101回 関西学生サッカーリーグ 後期 第一節は後にも先にもこの1試合しかないのだ。
そして、12日午後。
「ごめんください、おじゃまします。」
そう心の中でつぶやき、関西大学千里山キャンパスの校門をくぐった。
大学は夏休み。
構内には他部活の学生たちがちらほらいる程度で閑散としていた。
そして、学内の案内表示に従ってたどり着いた中央グラウンド。
さっきまでの人気の無さが嘘のように、続々と人が集まる。
緊張で鼓動が早くなる胸を抑えながら観客席に着く。
ずっと画面越しに見ていた景色が広がっていた。
このピッチも、このスタンドも、この屋内練習場も見たことある。
雨の日も雪の日も選手たちはここに集い、汗水ながして研鑽を積んでいるのかと思えば、なんとも感慨深い気持ちになった。
関大の長い歴史とたくさんの思い出が詰まっているこのピッチ。
ぜったいに勝たないと。
そう思った。
そして、気温もわずかに下がりかけた17:00。
ついに試合が始まった。
相手は立命館大学。
今季、2試合2敗を喫しているなんとも嫌な相手だ。
立命の応援団の姿はなく、そこには関大のチャントのみが鳴り響く。
関大のスターティングメンバーはまたしても初めての布陣。
ベンチ入りメンバーもかなり変わっているようで、改めて選手層の厚さを実感した。
立ち上がりや試合開始15分以内での失点を課題に抱えていた前期の姿はそこにはなく、序盤からゲームを握っているような印象。
明らかに成長したチームがそこにはあった。
中断期間の3週間を私は知らない。
でも、絶えず努力し、良い準備をし続けていたことだけが分かり嬉しくなった。
そして、開始20分。
関西大学の得点でスコアが動く。
堤選手の快速スルスルドリブルからのクロスに百田選手が右足を合わせる。
今日も関一ホットライン炸裂!
根拠は分からないけど、堤選手がボールを持って相手を抜き始めた瞬間に「あ、これは決まる」って思った。
そしてそこからもほぼ関大ペースで前半が終了した。
後半に入ると、西村選手がピッチイン。
途中から出てくるHP満タンの魔王の威圧感ハンパない。
谷岡選手と髙橋選手のセンバ2枚、どう見ても越えられない壁すぎる。
髙橋選手が自身で前にボールを運び出すと、もう目を逸らすことができない。おもしろすぎて口角がゆるむ。
そしてなんか意味わからないくらい元気すぎる百田選手。
プレーや戦術に関しては本当にど素人なのでなんとも言えないが、あまりの完成度の高さに興奮しきっていた。
そして、試合終了1分前に、相手DFのボール処理ミスをしっかりと摘んでダメ押しの追加点。
開幕戦勝利という形で後期リーグが幸先よくスタートした。
リーグ戦は泣いても笑ってもあと10試合。
何がなんでもいい形でインカレに繋げたい。
ホームでの勝利。
価値のある勝利。
そこは、大きくてあったかい、いろんな想いの詰まった場所だった。
お邪魔しました!
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