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仙台に移住してみた 2023年8月(最終回)

このたび仙台から地元の岩手県北上市に戻ることになりました。


筆者について

社会人になって以来ソフトウェアエンジニアをずっとやってきました。退職に伴いフリーランスになったこともあって東京にいる必要があまりなくなったので、2019年8月に東京から仙台に移住しました。
半ば勢いだけで東京を出ることを決めただけの1人の身軽な引っ越しです。

私にとって仙台に特に思い入れはなく、いくつかあった引っ越し先候補の中から「東京にアクセスしやすい」「引っ越し先候補の中では生活が楽そう」という理由で仙台を選んでいます。

地元の岩手に戻ることになりました

昨年末に岩手にある祖母(故人)の家が本格的に空き家になりそうという話が出てきていて、仕事がフルリモートワークで住む場所に制限が少ない私にその家の購入の話が来ていました。
その家の築年数がそこまで古くないので、購入の話があった時は私も「いいっすね。考えておきますわ」くらいの生返事をしたのですが、最近になってプライベートで「これは腰を据えて解決に向けて取り組んだ方がいいな」という問題が出てきていて、そこから「これはもう岩手に越してしまってから腰を据えた方がいいな」になり、このたび岩手に戻ることになりました。

なお、岩手に戻る時期については未定です。お盆の後にはなることはほぼ確実ですが、具体的にいつになるかは未定です。8月中か9月頃かなとなんとなく思っています。
それまでは仙台と岩手を行ったり来たりになりそうです。

岩手に戻る話が出るまでは「沖縄にロングステイかいっそ1年くらいの短期移住でもしようかな」とかふわっと考えていた矢先だったんですけどもねー。

仙台の生活はどうだった?(生活)

仙台は総じて住みやすい地域

「2020年の東京オリンピックの時期に東京にいたくない」みたいな理由で仙台に引っ越したら、翌年にはコロナ禍に突入し、まわりのみんながリモートワークになってしまって私が東京に戻る理由もなくなってしまいそのまま丸4年も仙台にいてしまいました。
当初の予定では1年ぐらいで東京に戻るつもりで、ここまで仙台にいるつもりは全くなかったのですが…。

仙台は仕事さえなんとかなれば総じて住みやすい地域だと思います。
夏も東京ほど暑くなく冬もそこまで厳しくなく、家賃もまあまあ安く、東京にも近く(新幹線で最短89分)、東北大学などの教育施設も多くあるので学びの場もそれなりにあります。
特に子育てしているご家族なんかだと、仙台のこの住みやすさは恩恵は大きいのではないかなと思います。

私は1年しか仙台にいないつもりでしたが、コロナ禍という予想外の出来事があったものの、仙台の知り合いゼロの状況越してきてから仙台に丸4年もいたのはこの「住みやすさ」が大きかったと思います。

仙台に越してきた当時に書いた記事を読み直してみてみたのですが、越してきた当時と仙台に対する印象は変わらないですね。

仙台に移住するIT系エンジニアが皆無だったあの頃…(2019年)

私が仙台に越してきた2019年8月当時は外から仙台に越してきたIT系エンジニアがどうもほぼいなかったようで、インターネット上には仙台の移住の参考になりそうな情報も全くといっていいほどありませんでした。越してきた当初は手探りだったのを覚えています。

コロナ禍に入ってから仙台に越してきたITエンジニアも見かけるようになり、仙台への移住の記事も見かけるようになってきました。
2021年8月にスクラムマスターの天野さんが仙台に越してきた際の移住記事は、仙台への移住を検討する際に役に立つかなと思います。

ネット上に仙台への移住の情報がほとんどなかった2020年当時、私も移住のための参考情報を書いてました。

仙台の生活はどうだった?(仕事・キャリア)

IT系エンジニアとしてのキャリアとしてはやや難しめ

私はITのフルリモートワークという場所に縛られない仕事をしていますがが、それでも仙台にいたことが直接的な将来のキャリアに結びついたかとYESとは言いがたいかもなあというのが正直なところです。
これは単純に私の専門とする仕事が仙台にかなり少ないというのが大きいです。
仕事そのものは東京などから引っ張ってくればいいのですが、地場に同様の仕事が少ないことから同じようなキャリアの人が身近に全くといっていいほどおらず、切磋琢磨しにくい側面はありました。

おそらく仙台で私と同じスマホアプリ開発でご飯を食べている人間は私を含めても多くても10〜15人ぐらいしかいない(ゲームを除く)と推測しています。
私が仙台にいた4年でスマホアプリ開発を請け負うと歌っている会社も増えてきたので(例:SRIAAppRunsナナイロなど)、これでも増えたとは思うのですが。
ちなみに私がこの4年で仙台で会ったスマホアプリのエンジニア、2人なんですよね…。

けど、東京だったら出会うことなかった属性の人とも知り合いになりやすい

反面、地方だと全体のパイが少ないので、東京だったら出会うことなかっただろうなという属性の人とも地方だったら知り合いになりやすいという面は大いにあります。
例えばVCから資金調達したスタートアップ経営者は東京ならいちエンジニアが知り合う機会は少ないけど、仙台だとわりと出会います。

東京だと近しい属性の人(エンジニア同士など)だけでコミュニティ作れてしまうので、異業種の人に出会うには行動が必要だけど、仙台くらいの規模の街だと近しい属性の人がそもそもほぼいないみたいなケースも多いです。
なのでひとつのコミュニティの中の多様性は東京よりも上をいきます。まあこの点は良し悪しですけど。

仙台に来てビジネスについての見方は変わった

私自身は「職人タイプ」のソフトウェアエンジニアという自覚があるので、他の社会人や同業のエンジニアたちよりも「ビジネスそのものについて理解を示さない」面がかなりありました。
もちろんビジネスに対しては協力するのですが、あくまでエンジニアとして「ビジネス側が安定してビジネスができるように、そのビジネスの源泉たるソフトウェアを継続して開発しつつ、かつ継続開発できる状況を整え続ける」ことに主に注力していました(これはこれで大事なのですが)。
一方でビジネス側の人たちのプロダクトやソリューションの売り方や、広告出向・SNS運用といったマーケティング的施策、ミッション・ビジョン・バリューといったビジネスのお題目なんかには好奇心以上の興味があまり持てませんでした。

ですが、上述のように仙台だと「VCから資金調達したスタートアップ経営者」とか「伝統的システム開発会社の社長や役員」みたい人たちが東京よりもはるかに身近で、「ビジネスとかそんなに興味ないっす」と公言していた私も自然とビジネスしている人たちの考え方みたいなのに触れることがありました。仙台に来る前にはよく分かっていなかった「ビジネスの人たちの考え方」が以前よりかは解像度高く理解できるようになったと思います。
以前ならば「目の前のソフトウェアに機能を追加しつつ、シンプルかつきれいにすること」そのものに重きを置いていたのを(これはこれで大事です)、仙台に来てからは「目の前のソフトウェアに機能を追加しつつ、シンプルかつきれいにすること」という行為がビジネスとどうつながっているのか、それがどうお金になるのか、あたりまではある程度は理解が及ぶようになったという感じはします。

私は「職人タイプ」のソフトウェアエンジニアという立ち位置を変えるつもりはないので、この変化がキャリアに大きく影響を及ぼすことはないとは思います。
ですが、前よりも少しでも理解できる世界が広がったので、その点で仙台に来て良かったなあと思っています。

diddyworksさん、Co-LABO MAKERさん、BUNZZさん(当時のLasTrustさん)に仙台に来た直後に出会えたのは大きかったです。
仙台のST-WORKSさんも仙台に来てすぐに知り合い、以降いろいろ仙台地場のITについていろいろお伺いしたりしていました。

この4年で私が仙台で成し遂げたこと(カレー)

仙台市内の南アジア系の料理店をほぼ全てまわったこと

この4年で仙台で自分が成し遂げたことといえば、仙台市内の南アジア系の料理店をほぼ全てまわったことでしょうか。

仙台・宮城地域でダルバートを食べられるお店の地図を作ったこと

仙台・宮城地域でダルバート(ネパールの定食)を食べられるお店の地図も作りました。
2022年に仙台のネパール人が一気に増えたこともあり、2022年頃からダルバートを出すお店が増えました。

仙台に越してきた頃はネパール料理店がほとんどなくて私がネパール料理に飢えていたのですが、この4年は仙台でのネパール料理が増えてくる時期とちょうど重なったこともあって、そこに私が身を置けたのは僥倖でした。

仙台でスパイスが買えるアジア系食材店の日本語のまとめ記事を作ったこと

仙台でスパイスが買えるアジア系食材店の日本語のまとめ記事を作れたのは、私の仙台での大きな成果(自称)です。

仙台でアジア系食材店を回っている日本人はおそらく私しかいないようで、仙台でスパイスが買えるアジア系食材店の日本語の情報が皆無でした。なので自分のためにまとめ記事を作りました。
このまとめ記事は私以外の誰の役にも立っていないように思うのですが、それでも私がいなければネット上に残らなかったかもしれない情報をネット上に残せたのはいい経験でした。

ちなみに仙台でオススメのスパイスが買えるアジア系の食材店ですが、一番町のKoseli Mart Sendaiさんをオススメしています。
ここの店員さん(オーナー)は日本語ができてかつ本人が料理する人なので、日本人にとってはスパイスのこととか聞きやすいお店かと思います。

地域の情報をインターネットにあげてみよう

仙台くらいの規模の街だと「仙台でスパイスが買えるアジア系食材店を回っている人」が私以外にいないのと同じように、「自分以外に同じことをやっているのは仙台市内でも多分1〜2人だろう」みたいな事象には結構出くわします。
「仙台で南アジア(インド・ネパール・バングラデシュ・パキスタンなど)系のお店のカレーを食べ歩いてネットになんとなく情報を残しておく人」も2019年当時は私を含めてもおそらく片手で数えられる程度にしかいなかったように思います。東京圏だったら百人単位でいるんですけどね。
そういう「自分を含めても市内や県内に同じことをやっている人が数人くらいしかいない」という状況を肌身で感じられたというのはいい経験でした。

皆様ももし地方に移住するなりして「これやってるの近県だと自分だけでね?」みたいなことを感じたら、是非自分の得た情報をインターネット上に残して欲しいなと思ってます。

謝辞(カレー)

仙台に越してきた当初、南アジア系のカレーのまとまった情報がほとんどない中、漆うしるさんの記事にはとてもお世話になりました。
うしるさんの記事がなかったら、カレーが食べた過ぎてさっさと東京に戻っていたかもなあと思うことはあります。
そしてうしるさんは今でもカレーやエスニックのお店の記事をあげてくださっているのを心強く思っています。

私が仙台で成し遂げられなかったこと

仙台に来るタイミングで「サラリーマン+個人事業主」から「個人事業主」一本になったので、仕事にかなり比重をおいた生活を改め、仙台に来たら多少プライベートにも重きを置くようにしようと思っていました。
仙台に越したら
「『コンピュータシステムの理論と実装』をやろうかな」
とか
「ちょっと腰を据えて人工知能とかやろうかな」
とか
「3Dプリンタとか買っちゃってDIY生活しようかな」
とか
「最近全然触ってなかったゲームエンジンとか勉強し直してみようかな」
とか
「積んでいる本をガッツリ減らそうかな」
とかいろいろ野望があったのですが、これらの何一つ成し遂げられませんでした。
仙台に越してからは徒歩1km以内で生活の90パーセント完結することもあり、仙台に来る前よりも時間が増えたのですが、結局はその増えた時間で仕事を増やしてしまっていました。

岩手に戻ったら積んでる本やゲームをちょっとは片付けたいです。

今後について

岩手に戻ったあとについて

岩手に戻った後の予定ですが、少なくとも2023年内か2024年の春くらいまでは岩手にいようかなと思っています。それ以降については未定です。

「岩手には1年もいないのかも」という気が今のところはしています。
とはいえ仙台も来た当初は1年で東京に戻るつもりが、仙台に4年もいたあげくに東京ではなく地元の岩手に戻ることになったので、「岩手には1年もいないのかも」という私の予想も当たらないかもなあという気がしています。

お仕事について

少なくとも2023年内くらいはプライベートの方でちょっと時間を割かなければならなくなったので、この先のお仕事の方については減らしたり、頂いていたお話もお断りしたりしていました。
といっても、減らした上でも1ヶ月に1人月以上の稼働はしているので忙しいのには変わりはないです。
秋頃からガッツリ仕事が減ることになったので、週休4日にしようかなと思ってます! 1週間で労働している日の方が少ないなんて夢のようだ!

自家用車を注文した

岩手だと自家用車がないと生活できないので、自家用車の注文は出しました。
納車まで期間がかかりそうな情勢で、いつ納車になるかはまだ未定です。
自動車にそこまで興味がないので、納車が早そうで燃費が良さそうな適当な新車にしました。
中古車が思った以上に値上がりしてたので、比較検討の結果新車になりました。状態のいい中古車は新車とほとんど変わらない値段か、場合によっては新車よりも高いのにはびっくりしました。

就職で関東に出てから仙台にいた間も含めて自動車がなかったので、自分用の自動車を持つのはかなり久々です。

フリーランスって自動車ローンの申し込み通るんですかね? それだけがちょっと心配です。