石田吉保

短歌、小説を書きます。短歌は結社に所属していて、旧仮名遣いがメインになります。よろしく…

石田吉保

短歌、小説を書きます。短歌は結社に所属していて、旧仮名遣いがメインになります。よろしくお願い申し上げます。

最近の記事

あんバタートーストの美味しい店

#最近行ってよかった店 病み上がりだったわたしは、身体のメンテナンスの意味も込めて隣り町有松まで歩くことを日課にしました。一駅ある距離を歩くのはさすがに堪えるものがあり、わたしは有松の町中で座れる場所を求めました。それでお気に入りの喫茶店を探し始めました。 「六弦とコットン」に入って、その日はお腹空いていたこともありアイスコーヒーの他にトーストを頼みます。メニューの中から選んだのが今回紹介するあんバタートーストでした。甘党のわたしにはあんことバターの組み合わせと聞いただけで

    • 【短歌】

      #短歌 師に言はれ課題となれるnote理解けふよりアンチョコ手に読み耽る いづれかの使ひ勝手の良きものか結社の歌をデジタル化する 若返る結社の仕組み調べむと茶房にありて本を読む夕 若者の短歌に押され発表に躊躇ひ見する旧仮名の歌 不躾に名乗り投稿する歌の善し悪し如何に推敲もせで 短歌を始めたのは学生時代でした。独学でしばらくやって来て、今の結社に入ったのが約20年前のこと。なかなか上達しないのを気にしながらも毎月欠詠のないように頑張っています。

      • 各務原物語(抄)

        バースデー  二十歳になったお祝いをアルバイト先のみんながしてくれるというので、わたしは今日、職場であるこの喫茶店に客としてきている。大学に入って何かアルバイトをしなければいけないと思って始めた仕事であったのだが、ここのアルバイトは夜の部から勤務が始まるところが一つのネックだった。当時閉店が二十三時で、いくら家が近いからと言っても最後の掃除まで残ってくると自宅に帰ってくるのにシンデレラのような日々ではきついものがある。それにも増して、うちのお父さんが厳しくてなかなか夜の外出

        • 各務原物語(抄)

          父と娘と  孝子はわたしの勤めている通信制高校のサポート校に通う一年生だった。四月当初の打ち合わせの時、調査書を見て母子家庭であることが分かっていた。わたしにも娘がいたのだったが、離婚により娘は妻の下へと行って会えないままでいる。  わたしは孝子のことが不憫に思えて格別かわいがってきた。特にわたしの担当する数学が好きと来ていたので、なおさらだった。孝子はアルバイトのない日は遅くまで学校に居残って勉強をしていた。  ある日の放課後、数学の問題集を開いた孝子は、教室に入って

        あんバタートーストの美味しい店

          各務原物語(抄)

          雪の舞う夜  愛知県犬山市と岐阜県各務原市との県境には、木曽川に二本の橋がかかっている。一本は堰の上を通るライン大橋、そしてもう一本は名鉄電車と自動車が共有するという珍しい橋、犬山橋である。ここでは今、平行して自動車専用橋の建設が進められている。その各務原市側の付け根のところにひと組のカップルがいる。 「ふっつ、寒い寒い。こんな日はラーメンに限るな」  車から降りた啓志はそう言って、古びた小さなラーメン屋に急ぐ。 「フルコースとまでは言わないけど、もう少し考えてもらえ

          各務原物語(抄)

          足跡

          いづれ来る春待ち詫ぶるさくら木の乱れ咲く日を夢にこそ見め 登りくる光を求むキミが身に来たれと願ふ時の瞬き 暁を待つ街角に眠られず外の面に目遣り出づるため息 東雲の輝く様に巡りあひて君の瞳を求むる夜明く 朝の日にわが身を写す目をこすり川面を眺む光見つめつ 振り絞り身体を使ふ動かざる手足を敢へて動かす苦痛 雪降らす空の気色に鈍色の重たき心持て余しゐし 咲き初むる梅花の匂ひに誘はれて小雨降る中公園歩く わが心を映すかのごと朝焼けの中に降りゆく雨を見つめつ 街灯の明かり頼りにゆく街に

          有料
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