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かんなみ仏の里美術館 大竹千体観音像①

静岡県の函南町桑原にある、かんなみ仏の里美術館へ行った。

この辺りは私の出身地に近く、同館にはオープン間もない頃に同級生と訪れたことがあった。

再訪したのは、毎年夏に公開される『大竹千体観音像』を観るためだった。

墓参りの往路で寄った、伊豆ゲートウェイ函南という道の駅で、この千体観音像公開中のチラシをみつけ急遽帰りに立ち寄ったのだ。

函南に千体仏があることは聞いたことがあったが、まだ見たことはなかった。

伊豆ゲートウェイでみつけたチラシ


美術館に着くと閉館まで1時間を切っていたためか、先客はいなかった。以前訪れた時もそうだったが混み合う美術館ではない。

館内に入るとすぐカウンターの奥から職員の女性と年配の男性が1人ずつ出てきた。チケットを購入すると女性に無料の展示ガイドをつけるか尋ねられた。詳しい話を聞きたいのでお願いすると、一緒に出てきた年配の方がガイドだった。

まず、パネルが展示してある部屋に案内され、同美術館に所蔵されている仏像群について説明をしてもらった。
ガイドの方は本当に良く勉強していた。説明もわかりやすくて上手い。ヒントを出しながらのクイズも取り入れるなど、聞く側が退屈しないよう工夫もあり楽しく話を聞くことができた。

この、かんなみ仏の里美術館は、近くにある桑原薬師堂に伝わる仏像を展示、保存するための施設だ。
この辺りは鎌倉幕府の執権・北条一族の本拠地である韮山に近く、その縁で鎌倉期の仏像が遺っている。

それだけでなくさらに古い時代、平安期の仏像も遺されている。この平安仏が(おそらく奈良や京都の)一流の仏師が彫ったと思われる優品であるのも驚く。

パネルの部屋での説明を終えると、大竹千体観音像の展示室に案内された。
ひとつひとつの大きさは10㎝程度だろうか。小さな観音像が専用のケースにびっしりと並べられている。そのようなケースが4個くらい壁に立てかける形で展示されていた。

こちらでも、ガイドによる説明があった。この千体観音像は函南町大竹地区にある廃寺でみつかったもの。地元住民からも忘れられていたのだが、ある歴史研究家が古文書を解読したことで発見されたという。

明治の廃仏毀釈により廃寺となり荒れ果てた観音堂のなかで、忘れ去られながらも綺麗な形で残っていた千体仏。現存しているのは743体。

文献によれば伊豆には4ヶ所の千体仏があったというが、現存するのはこの大竹千体観音像のみ。こうやって実物をみられることが感慨深かった。

②に続く

※おまけ
千体仏展示のチラシをみつけた道の駅伊豆ゲートウェイ函南では地元産の野菜を販売している。

生産者尾崎豊さん。単なる同姓同名なだけだし尾崎豊ファンでもないがつい買ってしまった。

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