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朝日は一日一回しか昇らない pnk1


日が昇る。


私は、その瞬間を綺麗だと思う。



例え、目的地行きの電車のチケットが売り切れで、2時間後のバスを待っている時でも。。




電車の時間に間に合うように早起きした。

まだ夜も更けない間に宿を出発し、

昨夜の賑わいの残骸が散らばる飲み屋街を通り過ぎる。


海。



静けさと真っ黒な海が心地よかった。

まだ人がまばらな船着き場に向かう。


この島から、一度本土に戻り、次の島へと移動する計画だった。

にも関わらず、船で本土に渡り、駅に向かうと電車のチケットは売り切れ。

無念。



仕方なく、バスに切り替えるも、バスも2時間待ちだという。

無念。



うろうろしながらバスを待つ。

他の目的地へのバスを何台も見送る。


うろうろし疲れ、座ってバスを待つ。

人が少しずつ増えてきて、空の色が少し変わった気がした。



連絡通路を上り、東の空を見る。

そろそろ夜明けだ。

ビルの間が白み始めていた。



うろうろしながら朝日のベストポジションを探す。

警備のおじさんが不思議そうに私を見ていた。



うろうろしながら朝日を待つ。

階段を下りたり上ったり。


結局、連絡通路の上。ぎりぎり階段から落ちないところ。

は、フェンスで見えにくいので、やっぱり下りる。



日が昇る。


空全体が赤くなって、光が挿す。



私は、電車のチケットが売り切れていたことに

感謝しなければならないのかもしれない。



電車に乗っていては、こんな角度で朝日を見られなかったかもしれないし、

もしかしたら朝日の存在なんて忘れて寝こけていたかもしれない。




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