『花曇り』
甘く明るく踊るように
鼻歌を口ずさんでは通り過ぎる風
長い眠りから覚めて
庭を絵画のように美しく彩っていく花々
それはまさしく春だった
ふと見上げた空は
はにかんだ少女のような曇り空
花曇り……
ぽつりと私はつぶやいた
ぼんやりとした青い空は
午睡のまどろみのような白い薄雲で覆われて
それっきり姿を隠してしまう
花曇り
その後ろの青い瞳のような空の色は
誰にも見られることなく暮れていく
2023.3.14
どんな時も喜びをもたらしてくれる春の訪れ。
花の香り、庭の色合い、木々の瑞々しい葉っぱ…生命の力で溢れる春は、なんて素晴らしいのでしょう。
そんな春に、今まで私は弾けるワルツのような印象を抱いていましたが、日本ならではの趣きがあることにようやく気がつきました。
それが『花曇り』であります。
その空の面持ちはなんとも控えめで、和の世界への誘いのようであり……
「花曇り」という言葉の響きとの調和はまさに芸術ともいえると感じました。
この空気感を、言葉で表現してみたい。そんな思いに駆られた私は、美しい日本の言葉を一つ一つ大切に並べて、この詩を綴っていきました。
みなさんにとって、美しく素晴らしい春が訪れますように。
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