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葉桜のように 命ふたたび

昨年の秋、私はどん底にいました。
歩くことも、食べることも、呼吸をすることも大変な状態で、まるで木の人形になったかのように、身体中が硬直していたからです。

夜は酸素吸入のシュッシュっという音と共に眠る毎日が続きました。
通院以外はほぼ寝たきりというあまりにも辛い現実に、泣くこともできませんでした。


あれから時は流れ、雪が溶け、桜が目覚め……そして葉桜の季節となりました。
日差しが少し長くなったことが、ベッドに春の訪れを教えてくれました。

桜が咲き始めた頃、私の身体に変化が起こりました。
不思議と身体に力が入るのです。
あんなに硬くなっていた身体が嘘のように、しなやかに動くのです。

「もしかして」と思った私は、ある日、杖を使わないで立ってみることにしました。
不思議なことに、立っている私がいました。

それから数週間後。
今度は少し長い距離を歩いてみることにしました。
歩けます。
歩けたのです!!
筋肉は弱っていましたが、確かに私は自分の脚で歩いていました。


突然元気になった私に、医師も家族も、みんな目を丸くするばかりです。
そして私自身が一番驚いています。
一時的なことなのかもしれませんが、それでもこれは奇跡と言っていいのではないでしょうか。

桜は散りました。遠く遠くへと散りました。
今の私は葉桜です。
命ある喜びを、空に向かって輝かせる葉桜です。

命が再び蘇った今、私は感謝の気持ちを唱えずにはいられないのです。
奇跡を願ってくださった方、私を信じてくださった方、見守り続けてくださった方……すべての方にありがとうと伝えたい気持ちです。


また明日、私の体調がどうなるのか、それは誰にもわかりません。
でも、今日という日、私は元気に幸せに過ごしています。
どうかこの夢のような日々がずっとずっと続いてくれますように……

シロバナタンポポ。歩いて見つけることができました。

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