メモ #002 抗うつ薬のたとえ

1.抗うつ薬のチラシ。

こんなたとえを見たことがある。たぶん抗うつ薬の製造・販売してる製薬会社が、一般のひと向けにつくったもの。なかなか面白いと思う。

「深いプールの底に『台』を置いてあげるようなものだと」

2.僕なりの解釈で脚色してみる。

2メートルの深さのプールでの160センチのあなたがおぼれている。抗うつ薬で10センチの台をプールの底に置く。すると190センチのプールになる。まだキツイ。抗うつ薬を増量して20センチの台を置く。これをしばらく続ける…。台が60センチになった時点で140センチのプールになるので、底に足が着くようになり、あなたはうつが楽になった。ここまでくると随分ちがう。

3.抗うつ薬って効かないのか?

ひどいうつの患者の場合、抗うつ薬はよく効く。これはある程度のコンセンサスが取れてる。でも軽いうつの患者の場合、抗うつ薬が効くかどうかがビミョー。

4.カウンセリングとは。

患者のなかには、カウンセリングを希望するひとも少なくない。精神療法とか認知療法とか言ったりするのかな。

皆んながカウンセリングとかを希望する気持ちはわからないではない。実際軽いうつのひとには効くらしく、抗うつ薬と同じくらいか、場合によってはそれより効く。ただ、ひどいうつの患者には効かない。

5.泳ぎ方をおぼえる。

ぼくはカウンセリング・認知療法は泳ぎ方をおぼえるようなものだと捉えてる。ものごとをマイナス面から見ずに、プラス面を捉える習慣づけをする。すると多少キツイできごとがあっても、ストレスに柔軟に対応できる。波立つプールで立ち泳ぎするようなもんかな。

6.しかしプラス思考だけではどうにもならないことも。

泳ぐのが上手になれば、抗うつ薬をへらしていっても泳いでられる。良い感じだ。ただ、ひどいうつの場合はどうだ?あまりのストレスの場合はどうだ?

水深3メートルになったとき、いくら泳げるひとでも限度がある。ストレスの大波がきたら、泳ぎでは対応できない。

7.抗うつ薬もカウンセリングも、役割はある

抗うつ薬ときいただけで、アレルギーを示す患者やその家族がいる。しかし必要な場面では嫌がってばかりいてはダメ。でも抗うつ薬でよくなったとしても、泳ぐのが下手なら早かれ遅かれまたおぼれるよ。カウンセリングに過度の期待をするのも非常にまずい。

7.結論。個人的なスタンス。

全員にとって、抗うつ薬は魔法のクスリではない。全員にとって、カウンセリングは良い代替法にはならない。時節に応じた使い分けが必要。

最後にいうと、個人的には抗うつ薬をつかった薬物治療のほうがベターだと思う。何個か理由をあげる。

医療資源は限られている。医者の数に対して、患者の数が多い。診察時間もない。薬を適切に処方するのが現実的な医者の役割。

カウンセリング的なポジティブシンキングのクセ付けはある程度は自分でもできる。その気になれば本屋で買ってくればいい。もちろん独りでするのは簡単ではないけど。でもその役割は病院に求めなくてもいい。

どうせ病院に行かないといけないレベルなら、病院でしか受けられない治療法を求めてみてはどう?効けばめっちゃ効くし。これが僕の考え。

しかしまあ、プールのたとえは秀逸だとおもいます。

おわり

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