見出し画像

読書「世界一流エンジニアの思考法」 牛尾 剛著 文藝春秋 技術系の仕事の百科事典

1 この本との出会い
noteに投稿を始めて半年ほどが経ちました。
駅前の書店の新刊コーナーを何気なく見たら、noteから生まれた理系向けのビジネス書が平積みされていて、売れてそうな雰囲気です。こうやってnoteに関わっていなければ手にとらなかった本、何かの縁だろうと、読んでみました。

2 私について少し
1965年生まれ。56歳直前に33年勤務した大手メーカを早期退職して、同じ会社を退職した元同僚に誘われて、小さなスタートアップにメンバーとして関わっています。
前職は電子回路(特にセンシングとアナログ)の研究・開発で、最後の十年以上はマネージャでした。海外とは、アメリカの会社と1年(開発メンバーで)、ヨーロッパの会社と3年(マネージャで)仕事しました。
これから海外に渡り、新たに活躍する歳ではないです。今やっている仕事は、全力でやりますが、その先のステップアップは考えたところで、ないでしょう。こんな私にも、この本は面白かったです。

3 本書の紹介
著者の牛尾さんは、国内で、ソフトウェアとその関連ビジネスで活躍された後に、アメリカに渡り、マイクロソフトでプログラマーとして働かれている方です。ソフトウェア業界に固有の話しもありますが、多くの働く人、特に技術系(そうでない人も含め)が仕事と自分の関わりを見つめ直すのに、お勧めの本です。
難しい理論から入らず、マイクロソフトの同僚、先輩、上司などとの会話、仕事での困りごと、その解決策から仕事の進め方を考察して説明している点は、ビジネス書として、新しいかな思います。日本では、ふつう、社内の内輪話を外へ向けてしないです。私もしませんでした。大っぴらに言えるのは、アメリカでは、複数の職場で働くことがあたりまえの社会だからでしょう。
この本、一回読んで終わりでなく、仕事で困った時、新しい担当業務を始める時など、思い出して繰り返し読む百科事典になると思います。さらに、読んでいる事項を深堀りするため、紹介されている文献、本などを調べる道標にするべきです。文献などの引用一覧が、なぜないのか?技術系出版社でない文藝春秋さんのスタイルなのかもしれないですが、ものすごく残念です。

4 個人的な体験振り返り+@
一回書いた文書があまりに冗長で一度、捨てて、書きなおしました。まだ、いろいろ書きすぎです。

<人間関係>
隣の芝生が青く見える、なんて言葉があります。仕事、職場にはそんな面があります。どこの国にも、どこの会社にも、パラダイスはなく、中では、いざこざ、感情のこじれ・・・いろいろとあります。欧米の社会、会社が日本と、日本の会社と比べて良い点は、プロジェクトあるいは、3年ぐらいで、人が入れ替わること、だと、思います。

<時間のマネージメント(1)>
牛尾さんは本書で、自身の一日を赤裸々に書かれています。その中には、自宅での勉強、勤務前の職場での勉強が入っています。自己啓発は、仕事のためでもあり、これをやらない人は、長い目で見て、その業界で活躍できないのは間違いなく。欧米の人は、仕事とは言わないで、将来の自分のために使っている時間が長いと感じました。
<時間のマネージメント(2)>
私が一緒に仕事をした海外の人は、定時以降は、職場にはいませんでしたが、自宅で、家族と食事してから、家で仕事していたし、電話会議があれば、自宅から参加していました。日本の会社に、このような自由度がなかったのが問題だったと思います。コロナで、日本の会社でも、自宅で仕事ができるようになったので、欧米との差は無くなったと思いますが、どうでしょう?
<自分でやらない文化>
これが、日本の企業文化で最悪のことです。ソフトウェアの開発だけでないです。ドキュメントばかり作って、そのチェックに異常に時間をかけるのは、自分でやらないからです。
仕様の整合ミス、外注とのぎくしゃくした関係、開発の日程遅延・・・・、そのほとんどが、この問題に起因しています。
始めたスタートアップは小さな組織で、経験のほとんどない新しいことも、自分で手を動かさないと進まないです。外に頼むお金はないです。前職では、自分でやらない文化に染まっていた時もあったので、その反省もあり、今は、手を動かしてなんでもやってます。

写真 本書の表紙(著者撮影)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?