こう_せい@Nature&Professional&Science

1965年生まれ。長年関わってきたテクノロジー(サイエンス)とネイチャーについて、お伴…

こう_せい@Nature&Professional&Science

1965年生まれ。長年関わってきたテクノロジー(サイエンス)とネイチャーについて、お伴である本を取り上げて書くことにしました。これまで書いてきたのはレポート、論文、特許、ガイドの類なので文章はかたいです。自己紹介のつもりで、不定期に写真日記もアップします。

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最近の記事

読書 「講談社ブルーバックス」 世代を越えて読み継がれる自然科学の本達

扉の写真が汚い本棚ですいません 何が書かれているのか?興味を持たれたならば、ぜひ最後まで読んで下さい 1 本書 1963年創刊の自然科学系の新書シリーズです。2020年時点で2200点以上が発刊されているそうです。ここまでは、ウィキペディアの情報。子供のころからポチポチと買って読みました。今、手元にあるのは、前の仕事で学ぶ必要があり、買って読んだ「見えないものを見る技術」伊藤泰郎著、一冊です。 2 本書に関して 父親(故人)が「講談社ブルーバックス」を沢山読んでました。機

    • 春の蝶 #写真日記(2024年4月)

      東京郊外に生き残る蝶たち(春編) 春に里山周辺の散歩で会える蝶を紹介します。 幼虫が野草を食べて育つ蝶は、あるていど自然が保たれている場所でしか見られません。私の住む東京二十三区の西側、多摩地域の里山*は、高度成長期前まで広大な雑木林だったはずで、蝶が生き残るぎりぎりの環境です。 *奥多摩、高尾、秋川源流の山岳エリアを除く広大な地域 ・ミヤマセセリ(写真1)   春に生まれてすぐに姿を消す、雑木林のチョウ ・トラフシジミ(写真2)  春と夏に生まれ、春の個体だけが羽の模様

      • 読書「イリオモテヤマネコ」横塚 眞己人 著 ブロンズ新社 暗がりの光を見出す

        1 本書 横塚さんは、ダイビング専門誌の編集者から写真家に転向された方で、1980年代にイリオモテヤマネコの撮影のため西表島に移住し、長年かけて、この本が生まれました。この本以前のイリオモテヤマネコの映像は、そこにいた証拠レベルだったので、映し出されたヤマネコの姿に驚きました。感度が低くかったフィルムカメラでの撮影、その困難さを乗り越えた、まさに、プロ中のプロの仕事です。 2 本書との出会い 山登りを始めてから、それまで図鑑の世界だった、大型獣、例えばクマ、カモシカなどと出

        • 読書 IEEEの学術誌「IEEE JournalとTransactions」Apart, Not Alone

          Aprt, Not Alone 離れていても一人ではない トップ写真は、コロナ下で世界がロックダウンしていたころに、IEEEから届いた会員へのメッセージです。"Apart, Not Alone"、世界中の研究者、開発者は、一人一人が別々に活動していますが、一つの目標に向かうライバルでありながら大切な仲間です。コロナ下でなくとも通じる素敵なメッセージでした。 1 本書 電気・電子(科学)の領域で、世界中の学者、研究者、開発者が集まる研究会がIEEEで、Institute o

        読書 「講談社ブルーバックス」 世代を越えて読み継がれる自然科学の本達

        マガジン

        • アウトドアとネイチャー
          38本
        • マンスリー写真日記
          13本
        • テクノロジーとサイエンス
          25本

        記事

          読書「雪崩事故事例集」 日本雪崩ネットワーク 出川あずさ著 山と渓谷社

          1 本書 雪山登山、山スキーなどの活動でおきた雪崩の事例をひとつひとつ、一部は実地調査データを含めてまとめたもので、190件中58件の事例には、発生箇所の地図、写真、雪崩がおきた日の気象情報などが示されています。多くの人にとって、遊びの山登りで、安全対策をここまでのレベルで科学的に分析した本は、少なく、他は山と渓谷社の以下の二冊ぐらいでしょうか? 「登山の運動生理学百科」以前紹介 「生と死の分岐点」翻訳書 2 雪崩安全対策 出川さんの雪崩安全対策の講座を何度も受講していま

          読書「雪崩事故事例集」 日本雪崩ネットワーク 出川あずさ著 山と渓谷社

          技術・科学番外編「LinkedInとResearcherGate」 日本の閉じた雇用環境に対する黒船

          1 仕事で使うSNS どちらも世界標準の専門性の高いSNSです。 LinkedIn 世界最大級のビジネス特化型SNSで、マイクロソフトが買収して持っています。主に専門的なネットワーキングとキャリア開発に利用され、さまざまな情報の開示に加えて、登録者が履歴書を公開し、会社がそれを見て採用の判断に利用しているのが特徴です。会社の求人公開もあります。 ResearcherGate 研究発表、論文、講演、特許などのデーターベースともなっているSNSで、発表媒体を使い、研究者が情報

          技術・科学番外編「LinkedInとResearcherGate」 日本の閉じた雇用環境に対する黒船

          三寒四温 #写真日記(2024年3月)

          季節は行ったり来たり 雪をかぶった富士山を見ながら散歩していると、小さな花や蝶が目に入りました。今日は、上着が不要なくらいのぽかぽか陽気ですが、長くは続きません。寒さがまた戻ってきます。 昔の人は、すてきな言葉を持っていました。三寒四温、まさにそうです。 花粉で眼がくちゃくちゃ、鼻水ずるずる。たいへんですが、季節の移ろいを体感するため、毎日歩いてます。

          三寒四温 #写真日記(2024年3月)

          読書(新刊)「かながわ山岳誌」日本山岳会神奈川支部 山と渓谷社 ベテラン登山のあるべき姿

          1 本書 神奈川県内にある山のガイド本の一つではなく、山登りのルートに加えて、山に関わるたくさんの情報、地理・地形、気象、自然(植物と動物)、山岳信仰,、山名の由来を調べる学習書です。地図が見やすくないので、エアリアなどの紙の地図か、電子地図を見ながら読むのをお勧めします。 2 本書との出会い 本書の制作に関わった方から、山の踏査をしていることを、三年ぐらい前に聞きました。取り組みを完遂し、自費出版として一般書店やネットで販売される本ができたことに、心からお祝いの言葉を述べ

          読書(新刊)「かながわ山岳誌」日本山岳会神奈川支部 山と渓谷社 ベテラン登山のあるべき姿

          読書「間違う力」高野秀行著 角川新書、「「ない仕事」の作り方」三浦じゅん著 文藝春秋、「バンダイナムコが大切にしているたった一つの考え方」石川祝男著 サンマーク出版

          今回は三冊まとめて紹介します。メーカで研究開発をしていた時に、読んで印象に残っている本です。科学、技術のカテゴリーから少し外れます。専門書(論文、特許含む)はたくさん読みましたが、ビジネス書はほとんど読んでこなかった人間でも、こんな本は読んだって記事です。 三冊とも成功した人の自慢話しでないの、と、馬鹿にしない方がいいです。 1 本書 想定読者はあるていど経験した会社員から、管理職かなと、思います。どの本にも、ビジネス書で使われる専門用語、横文字がでてきません。個人の体験に

          読書「間違う力」高野秀行著 角川新書、「「ない仕事」の作り方」三浦じゅん著 文藝春秋、「バンダイナムコが大切にしているたった一つの考え方」石川祝男著 サンマーク出版

          読書「アゲハチョウ」 松本克臣 著 山と渓谷社 駅前書店に思いをめぐらせる

          写真はAIで生成(合成)したのではないです。 めずらしく、種類の違う蝶が並んで吸水しているのを見つけて撮りました。長年見続けいると、いろんなシーンに出会います。 1 本書 著者の松本さんは、蝶や植物のフィールド写真の専門家で、図鑑、写真絵本などに関われています。この本は、日本の蝶の中でアゲハチョウ科に絞ってまとめられた写真集です。あとがきに本書を作るにあたっての撮影方針が書かれていますが、私が、どうしても買おうと心を動かされたのは、その一つに基づいて撮影された、飛翔写真です

          読書「アゲハチョウ」 松本克臣 著 山と渓谷社 駅前書店に思いをめぐらせる

          蓄音機の音楽会 #写真日記(2024年2月)

          100年以上前の技術で奏でられた音、心地よかったです。 聴かせてもらったのは、ジャズを中心にセレクトされた十数曲。ルイアームストロングの楽曲がよかったし、テネシーワルツもよかったです。司会者さんが曲ごとに板を入れ替えて、針を落とす。サラウンドどころか、ステレオですらなく、ノイズがいっぱい。でも、心に残る音でした。 町田市の里山周辺の小さなコミュニティから、蓄音機の音楽会の案内が届いたので、参加してみました。コミュニティー外の参加は我々夫婦だけみたいで、ちょっと残念。参加費

          蓄音機の音楽会 #写真日記(2024年2月)

          読書「2030年半導体の地政学」 太田康彦著 日経BP/日本経済新聞出版局  ムーアの法則は生き延びる?/その時日本は??

          1 本書 タイトルの”2030年”がいいですね。ちょっと先の設定。直ぐだど、日本の半導体の復活はありえないけど、2030年なら、あるかもしれない。そう願いたい、多くの人の心情をうまく汲んでいます。技術、科学、マーケット、サプライチェーン、政治との関係・・。生半可な知識と経験では書けない本で、著者の太田さんは、全体を把握しつつ、ディテールも書ける数少ない人材。ライターでありながら、大学で半導体の基礎にあたる量子物理学を学ばれています。 各章の見出しに使われているワードが、”ホワ

          読書「2030年半導体の地政学」 太田康彦著 日経BP/日本経済新聞出版局  ムーアの法則は生き延びる?/その時日本は??

          読書「登山の運動生理学百科」 山本正嘉 著 東京新聞出版局  山登りの科学/登山の安全を学ぶ名著

          1 本書 著者の山本さんは、東京大学で教育学の学位をとられた人で、ヒマラヤや南米の山を岸壁登攀でも登っている、本格的な登山者でもあります。現在は、鹿児島の鹿屋体育大学のスポーツ生命科学系の教授です。 第一部:基礎編、第二部:応用編にわかれていて、普通の人であれば、基礎編だけを読めばいいです。私も第二部の高所登山に関しては、未経験だし今後も関わらないので、読み飛ばしました。 基礎編は三つにわかれており、一章、登山と疲労のパートが一番価値があります。疲労の科学的分析は、遭難に遭

          読書「登山の運動生理学百科」 山本正嘉 著 東京新聞出版局  山登りの科学/登山の安全を学ぶ名著

          読書「山と高原の地図(エアリアマップ)」 昭文社 生き続ける山地図のスタンダード

          1 本書 今回の紹介は地図。書店で売られていて、ガイドブックでもあります。山と高原の地図(旧名称:エアリアマップ、省略してエアリア)は、山登りをする人の間で、”エアリア忘れた”は、”地図忘れた”で通じるほど一般的で、電子版もありますが、ここでは旧スタイルの紙版にフォーカスして書きます。 折りたためば、持ちやすい手ごろな大きさ。縮尺5万分の1程度のメイン図、地域全体が見れる地図と、アクセス、宿泊などの情報が表裏にうまく配置されていて、登山中だけでなく入山前後にも使えます。何と言

          読書「山と高原の地図(エアリアマップ)」 昭文社 生き続ける山地図のスタンダード

          読書「シリコン・ヴァレー物語 受け継がれる起業家精神」 枝川公一著  中公新書 変化を受け入れる

          1 本書 シリコンバレーの技術史を俯瞰した本で、技術系の人、ビジネス系で技術史 を知りたい人にお勧めです。話は、スタンフォード大学とヒュレットパッカード(HP)の関係から始まります。次に、トランジスタとIC(LSI)の誕生。東海岸のベル研で発明されたデバイスが、研究者と一緒に西海岸に流れて花開きます。その次がアップルII(パソコン)の誕生。次から次へとエレクトロニクスの歴史を塗り替えるデバイス、技術が生まれた話しは、物語のようですが、実話です。興味のある方は、この後は自分で読

          読書「シリコン・ヴァレー物語 受け継がれる起業家精神」 枝川公一著  中公新書 変化を受け入れる

          読書「アサギマダラ 海を渡る蝶の謎」 佐藤英治著 山と渓谷社 自然観察のすすめ

          1 本書 海を渡る蝶として有名なアサギマダラの生体と、その調査について、撮影と調査を継続されている佐藤さんが書かれました。アサギマダラに魅せられているのは、佐藤さんだけでありません。たくさんの一般の大人と子供が、調査に関わっており、小学高学年であれば、読めるように書かれているので、親子で読むをお勧めします。 南の島から一度本州の北側まで北上した後、また南の島に戻る不思議な生態、すきとおるきれな羽、ふわふわと優雅に飛ぶ姿。本を読んでから、近所で実際の姿見ると、見方が変わるでしょ

          読書「アサギマダラ 海を渡る蝶の謎」 佐藤英治著 山と渓谷社 自然観察のすすめ