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【読書感想文】松本清張の「ガラスの城」を読んで

昭和に活躍した社会派推理小説家の松本清張。母に薦められて「ガラスの城」読みました。本作は1月4日にテレビ朝日系でドラマ化されています。

ドラマの詳細はこちら↓

ちなみに、私はドラマを観ていません。以下、本の内容を含みますので、ご容赦ください。

1.ある会社をめぐる複雑な人間関係

本作は2部構成。第1部は「三上田鶴子の手記」と題し、女性社員の三上田鶴子の視点で物語が進みます。そこで描かれる社内の人間関係はとても複雑です。社員の容姿や性格はもちろん、〇〇は□□に気に入られるようにしているとか、社内での立ち位置を1人ずつ細かく描写。情報量が多くて、私の頭はパンクしました。ただ、その複雑な人間関係によって、誰が犯人でもおかしくない気がしてきます。誰かが発言する度に「あぁ言ってるけど、本当は違うんじゃないか」と想像。犯人を推理しながら、楽しんで読みました。

2.男性が優位な社会をはっきりと表現

三上田鶴子は、男性社員の事務補助をする女性社員の1人で、出世や栄転もなく、同じ仕事を繰り返す日々を過ごしています。寿退社が当たり前だった昭和時代の風潮に翻弄される1人です。新卒6年目を迎えた三上田鶴子は、男性社員のお金に支配された思考をはっきりと指摘。女性社員がキャリアに希望を見出せない苦悩を感じていました。
私は、三上が黙々と仕事に行く様子から、前職での出来事を思い出しました。ある日、ベテランの女性上司が若手の男性社員に向かって「あんたも男なんやから、お金のために出世しなあかんやろ」みたいな発言をしていました。当時の私は、時代錯誤な発言にびっくり。しかし、社内の人々に気に入られたくて、上司の考えに疑問を感じていても、彼女の指示に従うしかありませんでした。推理小説を読んで、前職の嫌な出来事を思い出すなんて想定外です。

3.第2部から始まる事件の曇天返しが圧巻

第2部は「的場郁子のノート」。的場郁子は三上田鶴子と同じく事件の真相を追う女性社員です。三上田鶴子が失踪したあと、彼女の手記が的場の手に渡り、事件の真相が明らかに。的場の推理や言動に心を奪われた私は、第2部を一晩で読み終えました。
先ほどドラマのあらすじを読んで気づいたのですが、本とドラマは、時代や登場人物の設定が大きく異なります。ドラマにも曇天返しがあるのか、ドラマは誰が犯人なのか、非常に気になりました。ドラマを観たけど本を読んでいない方は、ぜひ読みましょう。私はドラマを観ます!

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