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8 遠隔教育を用いた不登校児童生徒への学習支援について R5.2月定例会一般質問⑧

 ICT教育の二大特徴は、個別最適化と遠隔教育を可能にすることだと思っています。タブレットが行き渡った今、この二つの効果が最大限活かされることを願うところです。
 その中の遠隔教育にも、遠方と繋がることでの外国語教育や、高度な知識をもった人と繋がれることなど、利点は様々あるでしょうが、今回は学校に行かなくても勉強できる、不登校の児童生徒の学習支援における遠隔教育について質問します。
 先日、広島県を訪れた際に、SCHOOL'S'の取り組みを視察しました。不登校支援センターを創設して、県教委あげて不登校の児童生徒を支援する取り組みに感動しました。不登校児童生徒を対象にした体験型学習を企画運営したり、県内小中学校33校にスペシャルサポートルームを設置、専属担当者を一人加配するなど、支援が充実しています。もちろん来室してもいいですが、オンラインでも様々なメニューが用意してあり、各校長が出席扱いにするか判断する方式をとっています。
 また、鳥取県でも2019年からオンライン教材を活用した不登校児童生徒への学習支援をしていましたが、昨年からオンライン教材へのログインが確認されれば、出席扱いにするという新基準を示しました。さらに、熊本市でも仮想空間上に学校をつくり、小中学生に授業を受けてもらう実証実験に乗り出しています。これは、オンラインでも対面するのが苦手な児童生徒に対応する、という意味で、かなり先進的なメタバース学校の走りだと感じます。
 各地においてこうした遠隔教育の先進事例が出てきました。教育県と謳われた山形県としては、不登校児童生徒への遠隔学習支援において先進県であって欲しいのです。
 「かがみの孤城」の小説が大ヒットし、映画化もされました。不登校の子ども達が鏡の中の城に集まり友情を育むストーリーですが、主人公こころの学校に行けない自分へのふがいなさ、学習について行けなくなる焦り、その苦悩に胸をかきむしられました。そして、「学校に行くことが普通であり当然」と考えている自分に気づいて愕然としました。
 もしかしたら、学校に登校することが当然で正しい、という感覚から考え直さなければならないのではないか。不登校の理由は様々で、どうしても学校になじめない子もいる。それが悪と考えるのではなく、そういう子にも等しく教育機会を提供するのが義務教育ではないか。
 そう考えたとき、先進的な高校が存在します。学校法人角川ドワンゴ学園が運営するN高等学校とS高等学校という、まさにネットの高校です。NS両校は本校の所在地が沖縄県うるま市と茨城県つくば市にあるという違いだけで、いずれも学校教育法第一条規定の高等学校となっています。スクーリングと呼ばれる通学コースの生徒が通う拠点キャンパスが全国に33カ所ありますが、基本的に授業はすべてネットで行います。プログラミングなどをかなり詳しく学べるようで、今後日本に必要な人材が育つことでしょう。eスポーツ部などの部活もあり、生徒数は、両校合わせてなんと約23000人もいるのです。
 これこそまさに次世代遠隔教育の学校の形でしょう。学校に登校できなくても、学べる機会を獲得できるのです。
 これを山形県に置き換えれば、県内全域からアクセスできる小学校と中学校を一校ずつ立ち上げ、専属の先生を配置して学習支援することも可能ではないでしょうか。
 もちろん高校と義務教育では制度が違いますし、遠隔教育は万能ではありません。人との接触が大事というのもその通りですし、遠隔教育にはなじめない子もいるでしょう。しかし、より多くの児童生徒に学習機会を提供するという意味で、遠隔教育が有効なのは間違いありません。
 遠隔教育を用いた不登校児童生徒への学習支援について、今後どのように進めていくとお考えか、教育長に伺います。

 以上、日本全国から先進事例を紹介し、世界という広い視座から山形をとらえ、今後の方向性を考えることをテーマに質問させて頂きました。真摯な答弁を期待し、壇上からの私の質問とします。ご清聴ありがとうございました。

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