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「世界の終わりから」を観てきました #109

 紀里谷監督の「世界の終わりから」を観てきました。心に響く作品でした。以下ネタバレありの感想です。ただいまだにうまく言語化できないところがあり、変な所もあると思います。

どんな映画かはこちらと、

公式サイトを観ていただければと思います。

 ◾️映画の印象◾️

Twitterでも書きましたが、ボクは繊細な映画だなと感じました。映像の節々から儚く、心の悲鳴が聞こえてくるような、そんな映画かなと。1人の女子高生が「世界を救う能力がある」と言われ奔走しますが、世界はことごとく酷い姿を見せつけてきます。話が進むにつれて絶望感が増していき、「本当にこの世界を救う価値があるのか?」、「こんな世界いらない」と観てる方も思えてくるのです。当然、主人公ハナも同じ葛藤を抱きます。そして結果的に世界は終わります。

この映画のよかったと思った所は、まず映像が綺麗。繊細な印象を与えたのはこの映像のせいかもしれません。物語は絶望的な現実とハナの夢=過去? を行ったり来たりすることで進んでいきます。夢では血の色以外は白黒で描かれており、複雑な話ではありますが、視覚的にわかりやすくなっています。この使い分けが綺麗でなんだか儚い印象を持ちました。最後で夢の世界がカラーになるのも好きです。現実でも気分が落ち込んだ時とか、失敗して凹んだ時、失恋した時て世界が薄く感じるじゃないですか、絶望した時て色がなくなるてよく聞く話だと思いますが、最後に夢がカラーになったのは、希望が見つかったからとボクは解釈しました。あと儚い印象を与えているものとして、流れている音楽ですね。ちょっと寂しいような、静かなに流れています。

次はキャストさんの演技。ベテラン勢が集まっているだけあって、素晴らしい演技を見せてくれます。夏木マリさんとか本当にすごい。で、一番の注目はやっぱり主人公を演じた伊藤蒼さん。幸薄そうな感じがとても上手。泣いているシーンや、絶望にもがき苦しんでいる姿、時より見せる笑顔など、本当に良い演技で、かなり感情移入して観ていました。彼女の思いが心に響きます。地味にタケルの演技も良かったです。あいついい奴ですね。

◾️最後に◾️

色々と考察はあると思いますし、ボクの中で考えていることもありますが、それは置いておいて、この映画は今のこの世の中に対する監督の思いが詰まった、あるいは監督のメッセージじゃないかなと思いました。実際問題、今生きてる我々の世界は絶望的なことが蔓延しており、不安で、いいことなんてほとんどなくて、絶望的な将来しか見えない、こんな悪意で満ちた世界いらない、そんな思いが感じるものの、心の中ではほんの少しの希望を抱いている、そんな感じがしました。今の若者や氷河期世代にとって、本当に将来不安だと思うんです。現にボクも不安です。正直な所、隕石落ちねーかなーて思ったことは何度でもあります。そんな不安や絶望を感じる人に、もう一度愛されていたことを思い出してって訴えているようなそんな気がしたんです。そして想いというのは繋がるものなんだ、伝わるものなんだということを伝えたかったのかなーて勝手ながらそんなことを思いました。
 途中で涙が止まらなかったシーンがあります。その時はなんでか気持ちの整理ができていなかったですが、今思えば、両親がボクを産んだ時の気持ち、嬉しいこと、悲しいこと、色々な想いを考えてしまったからかもしれません。ハナは終盤で自分は愛されていたことを気づきます。そしてなんとかしようと最後は走ったわけです。その思いが結果としては世界を救ったと解釈しています。

やっぱりうまくまとまらない笑。万人受けはしないかもしれません。が、ボクには刺さりました。映画館で観ることができて本当に良かったです。紀里谷監督の最後の作品とのことなので、残念ですが、この映画を生み出してくれたことに感謝です。

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