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鈴木ゆうり「わたし、世界を走ってます 20代で43カ国のマラソンを走って見えてきたこと」

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 合コン女王が飲んで食って、気がついたら+20kg。巨漢友人に「おまえ、太ったな」と言われた衝撃シーンという、ダイエット本みたいな冒頭。しかしその後の展開は、インターナショナルグローバル。迷わずに実行主義、出たとこ勝負の能天気。自ら遭遇した修羅場には、何とか虎口を脱するしかない。無鉄砲にエントリーしたホノルルマラソンで、阿鼻叫喚の42.195km完走を成し遂げてからは、次から次へと観光旅行マニアのように世界各国のマラソンに出場。結果的に43ヶ国53のフルマラソンに出場。記録が目的ではなく、三波春夫の万博音頭「世界の国へこんにちわ」みたいなノリである。行く先々の国で、見ず知らずの人の家に泊まり、出場選手どうしでハグして交流、言語の通じない国では他国で知り合った選手に手伝ってもらう。それもスポンサー付きではなく、合間にOL、バイト生活で稼いでの世界行脚だ。本人は馬鹿っぽく振る舞っているが、実は語り口は軽妙洒脱。noteコンテストで、幻冬舎「スポーツ体験記コンテスト」で大賞を受賞した文才はダテでない。そして内戦のジンバブエを走った経験から、イラクとシリアでも出走。そこには戦乱で傷んだ国の人々と、走ることを通じて変わらない同胞であることを確かめに行く深慮がある。走ることによって痩せ、走ることによって心を磨いた記録である。そして余計なお世話だが、Instagramで調べてみると、合コンの女王だっただけあって、超美貌。本書にプロフィール写真が掲載されていないのは、男女を超えて走ることのシンパシーを共有したからかもしれない。もはや快男児ならぬ快女児と称したい「世界で最も勇気ある女性」の一人。

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