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【レポート】台湾の月経博物館で自分と向き合ったら、次は性教育の現場に行ってみよう

初めての台湾製タンポン、アジア初の月経カップと月経ディスクを手がけたスーパーウーマン、ヴァネッサさん

日本のフェムケア第一人者の北原みのりさんを月経博物館にお連れした翌日、みのりさんがずっと懇意にされている「台湾で初めてタンポンを開発した女性」そして、「台湾発・アジア初の月経カップと月経ディスク」を手がけたスーパーウーマン、ヴァネッサ(曾穎凡)さんをご紹介いただきました。

右から、北原みのりさん、ヴァネッサさん、そのご友人のグレースさん。

世界各国から20の厳選フェムケアブランドの日本代理店を務めているみのりさんは、ヴァネッサさんが手がけられた台湾発・アジア初の月経カップ「フルムーンガール」や月経ディスク「フルムーンディスク」も日本に向けて販売されています。(日本のオンラインストアはこちら

ヴァネッサさんについては、みのりさんが過去にさまざまな発信をされていらっしゃるので、そちらをぜひご覧ください。

↓ おすすめはこのトークイベント!サムネイルの右下の女性がヴァネッサさんです。

新北市が支援する、台湾最先端の性教育基地

訪れたのは、ヴァネッサさんが仲間たちと立ち上げたNGO「不會教小孩行動聯盟」が運営する施設「性平不小室」。

クリスマスのイルミネーションで知られる板橋駅前のツリーがある場所、一等地です!

ここは、台北市のお隣・新北市の市役所の目の前にある“台湾で初めての性教育をテーマにした遊び場”であり、性教育をテーマにした複合施設

MRTや台湾鉄道、新幹線が乗り入れるターミナル駅・板橋駅直結の特等地を(家賃は有料ですが)貸してくれているのは新北市で、政府との協業プロジェクトだそうです。

初めて訪れましたが、とても素晴らしい場所でした。

まずは、目玉の“台湾で初めての性教育をテーマにした遊び場”

男性と女性の生殖器系をモチーフにした遊具で遊ぶことができます。室内の遊び場の規格に合格しているので安全です。(写真出典:性平不小室 - 不小盟 Notsotiny Facebook

“台湾で初めての性教育をテーマにした遊び場”というのがこの施設最大のウリです。

写真の右側に見える遊具は男性の生殖器系、左側は女性の生殖器系をモチーフに作られています。ただ楽しく遊ぶのもいいけれど、プロが教えてくれる性教育講座では、ここで子どもたちに赤ちゃんとして生まれて来るまでを「ボールプールの卵子→男性の生殖器系を通って受精卵になる→女性の生殖器系に入ってそこから滑り台を滑り、この世に誕生する」という流れを体験していました。

小さな子どもたちがキャッキャと受精卵になって滑り台からストン!と生まれて来るまでの流れを見ていたら、私は思わず涙ぐんでしまいましたよ…。

大人たちもここに腰を下ろして子どもたちが遊ぶのを見守るも良し、ライブラリスペースで本を借りて読書するも良し、というくつろぎスペースです。

胎盤のぬいぐるみを見る私たち。(ヴァネッサさんの Facebook投稿からお借りしました)

遊び場の入場料:大人1人+子ども1人で150元/1時間。
遊び場のオンライン予約平日1時間がこちら休日1時間がこちらから。

月経用品のコレクションがずらりと飾られた博物館スペース

施設に入って目の前に広がるのが、ヴァネッサさんを始め皆さんがコレクションされた月経関連グッズ。

手作りだという鏡、美しいです! みんなで自撮りしようw
色鮮やかなタンポン、月経ディスク、布ナプキンなどと共に掲げられているのは、「知識こそパワーだよ!」というメッセージ。
ヴァネッサさんが開発された歴代の月経カップやディスク、その他世界各国から集めたコレクション実際に触ることができます。すごい数でした!
カラフルな月経カップ、吸水ショーツ、そして女性の生殖器系の模型まで! アート(壁にかかっているもの)に惚れ込んだヴァネッサさんが、作品作りに使った模型までお買い上げして飾ったのだそう。「この方が、みんな立体的に分かるでしょう?」とヴァネッサさんは誇らしげでした。ちなみにグッズはネットでも販売されています。

絵本や書籍を自由に閲覧できるライブラリースペース

ヴァネッサさんたちが実際に購入して作ったライブラリースペース。
日本のものも多かったです。翻訳書が多いけれど、台湾で出版されたものもありました。貴重です。

姫野カオルコさんの『彼女は頭が悪いから』、大石真那さんの『げっけいのはなし いのちのはなし』などもありました。

オリジナル商品のショップ

ヴァネッサさんたちはさまざまな啓蒙グッズを開発されていて、その販売もされています。

こちらは女性男性それぞれの生殖器系をモチーフにした靴下。子ども用もあります。
「並べ方によって、男性用と女性用、それぞれの生殖器モチーフが浮かび上がるんだよ」とヴァネッサさん。斬新!(ヴァネッサさんの Facebook投稿からお借りしました)
ヴァネッサさんがクラファン成立させたアートブックのように立体的な「性教育の啓蒙絵本」。こちらもみのりさんが日本で出版されることになりそう?!

各年齢の子どもたちや、保護者向けの性教育教室

各年齢の子どもたちや、保護者を対象にした性教育教室も定期的に開催されているそう。

私がお邪魔した日には、幼児向けの教室が開催されていました。前半は子どもたち向けで、後半は保護者向けの性教育のレッスンで構成されているのだそう。毎回満員御礼とのこと。

各種教室の情報はこちらからチェックできます。
私も今度申し込んでみようと思います!

隣接するのは、台湾で初めての「全エリア・ジェンダーフレンドリートイレ」

施設に隣接するトイレもまた、ヴァネッサたちの理念と通じる「ジェンダーフレンドリートイレ」。全エリアまるごとジェンダーフレンドリーなのは、台湾でもここが初めてなのだそう。

イメージがしにくいかもしれませんが、広いトイレがあって、そこはオールジェンダーをインクルーシブする空間。

男性用の小便器も、洋式便器、和式便器それぞれすべて同じ空間内に設置されており、そのすべてが個室になっています(ドアと仕切りがあるので、誰がどの部屋に入ったのか、他者から分かりにくい設計)。

すべてのジェンダーの人が同じ入口から、同じ空間に入ります。

台湾の月経博物館で自分の月経と向き合ったら、次は性教育の現場に行ってみよう

施設内は、部分的に無料で予約もなく入ることができます。
(ライブラリスペースの本棚、月経用品のコレクションがずらりと飾られた博物館スペース、オリジナル商品のショップ)

もちろん一般の方も良いと思いますし、教育者や保健師さん、日本でフェムケアや性教育を手がける関係者の皆さま、視察などにも非常におすすめです。

ヴァネッサさんたちがご自身や周囲の「生理の平等化」の歴史をたどって記録し、出版されたお本をご恵投いただきました。前から読みたいと思っていたので、とても嬉しいです!

從零開始打造月經平權: 從使用者到創業家, 台灣第一本生理用品發展紀錄』作者:谷慕慕 GoMoond、出版社:大塊文化、2022/02/25

読み進めていますが、とてもとても勉強になります。

こちらのお本は、みのりさんが立ち上げられた、シスターフッドの出版社「アジュマブックス」から日本語翻訳版が出版される予定とのこと。

非常に勉強になる内容なので、ぜひお楽しみに!

「性平不小室」基本情報


所在地:新北市板橋區縣民大道二段22號B1
開館時間:平日12:30-19:30、休日10:00-19:30(遊び場は予約した方が安心)
休館日:火曜
遊び場の入場料:大人1人+子ども1人で150元/1時間。遊び場のオンライン予約:平日1時間がこちら休日1時間がこちらから。

オフィシャル Facebookページ:https://www.facebook.com/notsotiny.org

アクセスについては非常にわかりやすい動画を公開してくださっています。
タクシーの場合は「新北市政府市民広場の大竹筍」といえば分かると思います。地下一階にあります。

捷運(MRT)板橋駅からのアクセス
台湾鉄道(ローカル鉄道)板橋駅からのアクセス
高鐵(新幹線)板橋駅からのアクセス


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