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テキーラを飲みほして(最終回)➕後書


「あら、皆んな楽しそうね。
お酒も飲んで、酔っ払ってサチコさんも、大岸君もではなくて、大木君だったわね。お父さんさんは酔っ払って寝てるし・・・」
と、言葉は穏やかだが、冷ややかな面持ちで話してくる。
サチコは酒に酔ってぼやけた顔だが、姿勢を糺た。
爺さんはうたた寝か、たぬき寝入りかのどちらかであろう、
姿勢を糺す事も無く寝ている。
「大木君、彼女の話を聞いてあげて。
最初から最後まで、解るかな、最後まで聴いてあげるのよ。」
と、メグミを押し出し前に出す。
メグミは涙ぐんでいる。

メグミは涙ながらに語った。
そんなメグミを見るのは初めてだった。
「もう一度、私の話を聞いて欲しいの。
私、あの人と本当は、付き合いたくは無かったの。
でも、あの会社、私の父の会社の特別なお得意様なの。
父は会社の役員だし、断れなかったの。だから私・・・・
貴方に別れを告げたのよ・・・・御免なさい。
別れたくないのに嘘をついたの。
御免なさい。貴方を傷つけてしまったわ。」

僕はメグミを抱きしめに行きたかった。
だが、それを阻む者が現れる。
「ダメよ大岸君は私の物よ」
と、サチコが僕とメグミの間に入って両手を広げる。

「よっ!イロ男。両手に華だな」
と茶化す爺さん。
やはり、たぬき寝入りだったみたいだ。
「どっちを選ぶのよ!」
と、怒っている様にママが云う。

…どっちを選ぶって普通は豚まんよりも高級肉のビフテキでしょ…
と、心に思っていたが、出た言葉が、
「じゃ、二つまとめてもいいですか!」
だった。
二人では無く二つと言ってしまった。
「パーン」と僕の頬に平手打ち。
ママが睨んで見ている。
「何が二つよ!物じゃ無いのよ。
どちらかに決めなさい。男でしょ。」

叩かれて酔いが覚めたのか少し頭が鮮明になった。
「それでは、高級肉のビフテキのメグミさんで」
と、一つ選ぶ事が出来た。
「パーン」とまた頬をぶたれた。
今度は左側のほっぺだ。
「何するの!痛いじゃ無いですか?」

「高級肉のビフテキって何よ!酔ってるの?
それとも馬鹿なの。メグミに謝りなさい。」

「じゃ、メグミさんでお願いします。」

「そんな、私はどうなるのよ・・・・」
と、泣き出すサチコさん。

「ありがとう、ようちゃん」
と、嬉し泣きのメグミさん。
僕の頭はまだ混乱している。
そのまま僕は倒れ込む様にメグミに、
もたれ掛かりそのまま寝落ちした。

「ワインの酔いが覚めても、本気で『好き』と言った事は覚えていてね。
ようちゃん。」
小声で呟くメグミ。

「良かったわね。メグミさん。大木君はこちらに寝かせて。」
ママが祝福するかの様に云う
「え〜ん私は良く無いよ〜〜」
と泣き叫ぶサチコ。

そんなサチコを見ながら、爺さんはアスカに声を掛けた。

「どうだったんだ、あの男との事は!」
と、今までと違いロートーンの真剣な声。

「お父さん、わたし・・・」
と、思わず父に抱きつくアスカ。
アスカの目にも涙が溢れている。

「もう忘れたいの。すべて忘れたいの。・・・
馬鹿だったの、・・わたし・・・」

弱く切ない声の中に、アスカの気持ちを察してか、
父親は幼女を抱く様に、抱きしめて、云う
「辛い事は全て忘れよう。これからの未来に何も関係が無いよ。
辛い事は・・・」
「そうね、辛い過去など、これからの人生には・・_・!
あれ〜?、このお酒飲んだ!
飲んだの。私の大事なテキーラを、全部飲んだの。
私が大事にして、ちびちび飲んでいたのに、
飲み干したの、お父さん!」
と、怒りの目を向ける。

「そんなテキーラ、これからの人生には関係無いよ(*´ー`*)」
と誤魔化すが・・・

「私のテキーラを飲み干したの!
私のテキーラ返してよ!」

「私の大岸君を返してよ」
テキーラを飲み干されたママさんと、
恋人を吊り上げたと思った瞬間逃げられた
サチコと、
二人の女の泣き声が響くそんな夜が更けていく。



後書
この小説は、埋もれた漫画家さんの漫画
「テキーラを飲みほして」を原作として、私が小説に書きました。
わたし風にアレンジを加えて有りますが、話の骨格は変えてはいません。
小説にする事を許してくれた、埋もれた漫画さんに感謝します。
ありがとうございます😊
https://note.com/umoretaman/n/n60d50a75aa46

埋もれた漫画家さんの、漫画「テキーラを飲みほして」
を貼り付けておきました。


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