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コンビニ人間 村田沙耶香 文春文庫

ちょっとコワイ。
でも、思わず笑ってしまう。
私たちは普段、本当に多くの忖度と「暗黙の了解」の中で生きている。
「世間の一般常識」から外れないように一生懸命、空気を読んで、異物を排除すべく群れを作り、自分が排除されないようにしている。
そのことを、思い知らされる。

個性であったり、あるいは脳の仕組みであったり、たぶん、先天的にそういう状況把握が苦手な人は存在するのではないかと思う。現代ではいろいろな病名が付けられたりもするのだろう。
でもそれさえも、「異物」というレッテルのための理由付けのような気もする。

この本の主人公は少なくとも、自分がどういう目で見られているかも察知しているし、それが何故かも理解していて、それでも世間の「普通」に自分をあてはめることが極端に苦手。なんとか自他を納得させようとする奇想天外にも思える解決策が、可笑しくもちょっと哀しい。

何が「正常」であるかは意外と難しい問題だと、じわり、と突き付けられる。

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