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退職のご連絡|Memo

このたび一身上の都合により4月末をもって、約23年間勤めた会社を退職いたしました。在職中にお世話になったみなさま、ありがとうございました。突然のご連絡になった方、申し訳ありません。

とはいえ、近年関心のあった公民連携事業や公的不動産活用などの分野には関わり続ける所存です。生活ペースの変化にしばらくバタバタすると思いますが、整えながら再始動していきます。

今後ともどうぞよろしくお願いします。

そしてこの小さくない決断は、家族の理解なしにはできないものでした。みんな、何度でも言うけど、どうもありがとうね。これからもよろしくです。

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区切りですので、自分語りかつマニアックな内容で恐縮ですが、在職期間をざっくりと振り返り、差し支えない範囲で書いておこうと思います。

入社当時の再開発の状況

入社した1998年頃は、バブル経済が崩壊した後、景気対策としての公共事業が国策として進められ、再開発事業もまたその役割を期待されている状況でした。地価の下落から都心居住の回帰もはじまり、駅前百貨店を悲願としてきた地区も、少しずつ「低層商業+タワーマンション」へ計画変更し、事業を進めようとしていました。とはいえ行政も地元も、簡単に変更を受け入れられるものではなく、さまざまなハレーションが起きてもいました。

入社してしばらくは、行政が施行者となる再開発をいくつか担当していました。この時すでに、少子高齢化の進行と財政状況の悪化により公的資金投入に頼る事業には限界があると、肌身に感じざるを得ませんでした。行政施行は進まないから組合施行を担当したい!とわがままを言ったのを覚えています。

組合施行と業務代行制度

地権者で成り立つ再開発組合でも「民間活力の導入」と言う行政用語が腑に落ちないながら、要するに建設会社や不動産会社の力を借りて、事業を確実に進めよう機運が高まっていました。特に「特定業務代行」という、保留床のリスクを負う代わりに設計施工の随意契約を認めるという契約手法が研究され、数多く導入されました。どう事業背景を構築すれば多くの民間企業がコンペに参画するか、腕の見せどころが変わってきた感がありました。

2005年頃から関わった東京都下の某駅前再開発でも、この特定業務代行の導入が推進力のひとつになりました。この地区が、自分が担当した初めての組合施行であり、組合の設立から解散まで一連の経験をすることができた事業です。事業費数百億円のプロジェクトの体感は、その後の自分の財産になりました。

気づけば世界は都市再生

2010年末、担当地区の工事が終わり待望のビルオープンを迎えた頃、周りを見渡せば政策の主流は「都市再生」となっていました。次々に打ち出される規制緩和や公的支援が、自分には縁のないどこか違う世界のものに感じられます。都市再生特区って何?容積率1000%超って何?のちに東京某区の再開発に関わることで、この世界の一旦に触れることができたのは幸いでしたが、この時点では全く手触り感が持てませんでした。

気持ちを持て余したまま過ごして数ヶ月後、東北地方太平洋沖地震が起きます。今まで通りでいいはずはないが、どうすればいいかは分からない。手当たり次第に情報収集しては本を読み話を聞きを繰り返す中で、「公民連携」という言葉を知ったのが2013年頭。4月には社会人大学院修士課程に入学していました。

公民連携を共通語として

これまでの再開発の現場経験を、「公民連携」という共通語に翻訳し、構造的に把握したうえで、異なる状況においても展開できるようにする。これが大学院に通う2年間+任意の勉強会を開催した1年間で取り組んだことでした。公民連携の言語で話すことに慣れてくると、元の言語がカタコトになるという副作用も生じましたが、先生・先輩・同期にも恵まれて関係性も広がり、今なおそれに助けられています。

修士課程修了後は、ご縁をいただいて兼業したり、実家のある埼玉県小川町にダイブしたりするなど、公民連携や公的不動産活用を通じた地域再生などに関連する活動をしていました。また本業でも、都心某地区で補助金交付なしの「少し変わった再開発」を実践できたことも大きい経験でした。

これから有効な視点とか

状況が変われば有効な方法は変わりますし、目的が変わればなおのこと。2018年頃、これから何が有効なのかを考えたとき、

(1) 今まで関わりの薄かった人たちも関わりを持つようなまちになること
(2) 官民で取り組む時は対象エリアを絞り重層的に、小さな民間投資が数多く生まれるようにすること
(3) 行政の人材と土地の活用、規制・緩和や税制特例などが有効であること

あたりを挙げました。

考えは今もそれほど変わっていませんが、

(4) はじめにビジョン・コンセプト・求める風景があれば官民の対話はもう少し滑らかなのになぁ
(5) 従来の方法より有効な方法があればためらわず切り替えられるといいなぁ
(6) 制約も大変なことも多いけれどそれでも公民連携や公的不動産活用のポテンシャルはあるなぁ

と感じているところです。

毎年毎年テーマを持って攻めても、ひと山動くのに約5年はかかる実感です。今後も息切れしないよう楽しみながらやれればと思います。

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