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タスク管理のために必要な2つの習慣

タスクのためのタスク管理ではなくて、人のためのタスク管理をあらためて考えてみようと思って、タスク管理に「再」入門してみた。でも今回は、「再」入門の前に、本当の本当に「入門」の人に向けて。


「タスク管理って、どうやったらいいんですか?」

私は新人研修やOJTを通して、「ビジネスパーソンになりたて」の人をたくさん見てきた。仕事というものを始めると、多くの人はこう感じるようになる。「やることが終わらない…」 そして、どこからともなく「タスク管理」という言葉を聞きつけてくる。そういう段階にある人から、こう質問される。

「タスク管理って、どうやったらいいんですか?」

そういうとき、私はいつも、「2つの習慣」を体に染み込ませなさいと言っている。この2つが無意識にできるようになるだけで、世の中でタスク管理と呼ばれてるものの半分はカバーできると思う。逆にこれができていないのであれば、タスク管理と称していろんなツールや手法に手を出したとしても効果は薄いと思う。

タスクを書き留める習慣

1つ目は、発生したタスクをその場で書き留める習慣だ。

仕事を始めた当初というのは、タスクというのはほとんどの場合、自分の外からやってくる。「他人との接点」のほとんどが、「タスクが生まれる瞬間」と言っていい。

「(電話で)あの資料送って」
「(会議で)来週の会議室予約しておいて」
「(チャットで)このエクセル埋めておいて」

ここで大切なのは、「その場で」書き留めるということ。

そうしないと、「資料を送る」というタスクに加えて、「タスクを書き留める」というタスクを抱えることになってしまう。(しかも頭の中に!)

タスク管理ツールは、そこに登録されたタスクは管理できるけれども、ツール内に存在しないタスクは管理できない。だから、この習慣が身についていなければ、どんな高度なツールを使っても意味がないと思っている。

本当にいつも「その場」でタスクを書き留められるのか?

「タスクを書き留める」というと、「書き留める場所をひとつ決めて必ずそこにメモする」というイメージを持ちがちだ。それができればいいのだけど、実際それをやろうとするのは難しい。

なぜかというと、「その場」でタスクを書き留める必要があるから。

「電話で」「会議で」「チャットで」と、タスクが生まれる瞬間は様々。だからその「瞬間」によっては、普段使っているツールが使えないことがある。

  • PCに書き留めている人が、電車の中でタスクを伝えられたとき。

  • スマホに書き留めている人が、情報端末持ち込み禁止のセキュリティルームに入るとき。

  • 紙のメモ帳に書き留めている人が、会議室に向かおうとして、そのメモ帳を自席に置き忘れてきてしまったとき。

万能のツールはない。(もし唯一あるとすれば、それはあなたの脳だけだ)

だから私は、「タスクを書き留めるツールは何がいいですか?」と聞かれたら「なんでもいいよ」と答えている。

「ひとつのツールに書き留めよう」と意識するあまり、そのツールが手元にない瞬間に生まれたタスクについて、「あとで(あのツールに)書き留めよう」と思いとどまって、書き留めるという行動をしなくなってしまっては、本末転倒だから。

ツールにこだわったり、ひとつに決めようとするよりも、次に紹介する2つ目の習慣を身に着けたほうが万能だと思っている。

メモを巡回してタスクを収集する習慣

2つ目の習慣は、いろんな場所に書き留めたメモを巡回して、タスクをあらためて収集するというものだ。

タスクを「その場」で書き留めようとすると、書き留める場所はどうやっても分散する。でもそれでかまわない。その日の終わりや、次の日の始まりのタイミングで、分散したメモを巡回すれば事足りるのだ。

カレンダーに「メモ巡回」とでも名前をつけて、繰り返し予定を入れておく。その時間になったら他の仕事の手を止める。今日あるいは昨日にメモを書いた場所を順番に見返す。スマホのメモアプリ、PCのエクセル、紙のメモ帳。もしかしたら財布の中からタクシーの領収書が出てくるかもしれない。「その場」では書き留めていなかった、経費精算というタスクが収集された瞬間だ。

「メモ巡回」という繰り返し予定の備考欄に、「巡回する場所」として、スマホのメモアプリ、PCのエクセル、紙のメモ帳に加えて、「財布の中」と書いておこう。習慣というのはこうやって形作られていく。

そうやって収集したタスクを、今度は本当に「ひとつのツール」にまとめる。ここでもツールはなんでもいい。とにかく「ひとつ」のツールにすることだけ。

「タスク管理しなきゃ」と感じる最初のきっかけ

タスク管理が必要と感じるのは、「やることが終わらない」時だろう。でもその手前に別の、必要性を感じる瞬間があると思っている。

それが、「やることが漏れている」だ。

自分自身もそうだったし、今も新人研修やOJTを見ていて「ビジネスパーソンになりたて」の人がぶつかる壁が、「やることが漏れている」ことだと感じている。

「やることが漏れている」というのは、タスクの洗い出しという意味ではない。「今度の飲み会、幹事よろしく」と言われたときに「まず日程を決めて、そのあと店を決めて…」と自分の中でやるのがタスクの洗い出し。

たしかにタスクの洗い出しがうまくいかないと「やることが漏れている」状態に陥る。けどここで問題にしているのは、そのもっと手前。このあとの会議に向けての資料を必死に作っているときにふと言われた、「今度の飲み会、幹事よろしく」というタスクの存在を忘れてしまうことだ。

仕事を身につけている最中というのは、タスクというのは自分の外からやってくることがほとんどだ。自分の中から「やりたいこと」としてタスクが湧き上がってくるのはもう少し先のこと。まずは自分の外からやってくるタスクを通して、経験を積んだり、周囲の信頼を勝ち取ることが先だ。

そういうフェーズにある人は、自分の外からひっきりなしに飛んでくるタスクを「漏らさない」ことが、すなわちタスク管理になる。期限だの優先度などといった、いわゆるタスク管理としてイメージされるものは、その先の話だ。ツールは、そこに登録されたタスクは管理できるけれども、ツール内に存在しないタスクは管理できないのだから。

タスク管理の第一歩はタスクの「外化」

一周回った人ではなくて、タスク管理というものに、本当の本当にはじめて触れる人にとって、タスクを「管理する」というのは、タスクを「外化する」こととニアリーイコールだと思っている。言い方を変えると、タスクを外化してはじめて、管理できるようになる。

タスクの外化は、「やることをきっちりやる」といういわゆるタスク管理の文脈にとって必須であることに加えて、「やることは全部ここにある」という安心感を生むことで、「働く人の生きやすさ」にもつながる。

タスクのためのタスク管理ではなくて、人のためのタスク管理を考える、タスク管理「再」入門にとっても本質的なことなのだ。

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