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とある手かざし宗教二世の半生

「わたし、ちょっとした〝おまじない″ ができるの!させてくれない?」

…と声をかけられた事はないだろうか

この台詞は大抵が宗教勧誘の第一歩
といって間違いない。

そして私自身も口にせざるを得ない環境下にいた
神様を信じる家庭に産まれ、この〝おまじない″ が
この世の全てを救う手段であると。

そう教えられ、また強要されてきた
いわば私は宗教二世である。

現在日本では多くの問題を抱えている宗教問題だが、
今回は某手かざし宗教二世の半生について語っていこう。

  1. 幼少期

    熱心な信者の両親の元に産まれおちた私は、毎日のように〝おまじない″ を受けていた。
    信者はこの〝おまじない″ を、手かざし と呼ぶ。

    名前の通り、手をかざしてその箇所や空間を浄化するというものだ
    いわば気功法の類いの一種である。

    その手かざしを自宅だけでなく
    道場という宗教施設に通い、ほかの信者たちに囲まれながら受けたりしていた。
    信者は老若男女さまざまで、私のような子どもも多かったので
    平日の昼間は小さな託児所みたいな状態になることもあった。

    産まれたときから道場で年代を問わず信者から可愛がれていたため、どこに行っても人見知りのしない子どもに育ったキッカケになったと思う。

    とある大事件(これについては今度語っていく)が引き金となり
    2才にして重度のアトピー性皮膚炎を抱えた私は、両親と共にこの手かざし宗教にズブズブと落ちていくのである。

  2. 幼稚園児の頃

    重度のアトピー性皮膚炎の娘を抱えた両親は、救いを求めてより熱心な信者となっていった。

    道場には信者のほかに道場長という幹部がかならず存在していて、神の教えを信者に説いていた。
    信者は皆、なにか困った事があると道場長に相談をする。そうして大体返される言葉は

    「これは霊障です、過去世からの罪穢(ざいえ)を神様にお詫びしなさい。」

    というものだ。
    簡潔に言えば、
    前世から恨んでいる霊が祟っているので心から神様に奉仕しなさい。
    という意味である。

    そう、この教団の教えには 前世 が存在しているのだ。

    前世もしくは前々世…過去に生きていた世で、
    他人を傷つけてきたり悪さをしてきたことを詫びる。

    そして他人に手をかざし、布教していく。
    または道場の手伝いをしたり、お布施して罪を軽くすれば
    道は開いていきますよ、というのが信者の使命とされている。

    信者は皆、それを信じて救いを求めていた。
    私の両親もその一員で、道場に通いつめては手をかざしていた。

    重度のアトピー性皮膚炎の私にも手をかざし続けたが、
    気功法とアトピー性皮膚炎は相性が悪く
    気功でからだは火照ってしまい痒みが強くなり、
    泣きながら小さな手で必死にかきむしっていた。
    見た目は悪化する一方で、専門の病院へ入院したのだが
    これはまた別の機会に語ろうと思う。

    なんの確証をもって信仰しているのか今となれば不思議だが、
    それでも両親は手かざしで救われると信じ、
    月に一度開催される月始祭というものに参加したり
    教団の教えが書いてあるビラを街中で配ったりと
    奉仕に励み続けていた。

    幼い私も一緒に道場に通い、信者たちとの交流もあったので
    〝神様がいるこの教えがすべて″ と刷り込まれていくのである。

    幼稚園児の頃、先生に「これから神様のところにいくんだよ」
    としゃべった時になんともいえない苦笑いをされたことがあった
    これが私の初めての違和感であった。

    神様のところへいく事があたりまえだった私は、
    この苦虫を噛み潰したような表情の大人を初めてみたからだ。

    この出来事がきっかけとなり、
    むやみに神様の名を口にしてはいけないと幼心に学んだのである。



    次回から、地獄の小学生時代を語ろうと思う。

#宗教二世  #手かざし  #エッセイ

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