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薬剤師が解説★話題の市販薬~内臓脂肪減少薬アライとは?

タイトル周りが「薬剤師が本音でオススメする市販薬」のデザインに似ていますが、今回は特別編です。


はじめに

今年4月8日、大正製薬から、日本初の内臓脂肪減少薬「アライ」が発売開始されました。
「アライ」は腹部が太めな方の内臓脂肪および腹囲の減少を効能としてうたっています。
通常、食事中に含まれる脂肪は、脂肪分解酵素リパーゼによって分解され、吸収されますが、「アライ」を服用することによって、有効成分オルリスタットがリパーゼに結合し不活性化することで脂肪の分解を阻害し、脂肪の一部はそのまま便として排出されます。
日本初の内臓脂肪減少薬ということで、メーカーによる宣伝広告が始まり、報道やネットでの露出も多く、話題になっています。

今回はアライと肥満症の薬について、薬剤師の浜田康次さんに解説して頂きました。

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内臓脂肪減少薬「アライ」

2023年2月、内臓脂肪減少薬の一般用医薬品、アライⓇカプセル(一般名:オルリスタット60mg)が承認されました。(2024年4月発売開始)
海外では、同一成分薬として、ロシュから医療用のゼニカル(同120mg)、グラクソ・スミスクラインから一般用のアライ(同60mg)が販売されています。国内では、医療用としての使用実績がないまま市販薬として発売される「ダイレクトOTC薬」になります。 

肥満症の薬とアライ

肥満症に適応がある市販薬には、大柴胡湯、防風通聖散、防已黄耆湯などがあります。
2015 年の日本肥満学会から、単なる「肥満」と減量治療が必要な「肥満症(疾患)」が区別されるようになりました。
アライは、「肥満症になる前の人」が対象になります。肥満の是正は自己管理に基づく食事療法や運動療法など、適切な生活習慣改善の取り組みが基本で、薬は補助的な位置付けになります。半年ほど服用することで、内臓脂肪が減少し、腹囲の減少が期待できます。
日本人を対象にした臨床試験で、内臓脂肪や腹囲の減少効果が確認されたOTC薬です。
脂質(主に中性脂肪)は、十二指腸で胆汁により乳化され、膵臓から分泌されるリパーゼ(脂肪分解酵素)の働きで、脂肪酸とグリセリンに分解されて小腸で吸収されます。
アライの作用機序は、消化管内でリパーゼの働きを抑えて、食事由来の脂質の吸収を抑制します。ほとんど吸収されないので、副作用は薬理作用に由来する脂肪便、排便回数の増加、下痢などの消化器症状が主になります。 

購入条件

過度なダイエットなど痩せ過ぎの人が使えば健康被害が起きるリスクもあるため、e-ラーニング教育を受けた薬剤師が購入希望者の適格性を判断し、使用者のサポートを行います。
薬剤師の対面指導が必要な「要指導医薬品」です。
「購入前3ヵ月以上、生活習慣改善の取り組みを行なっていること」
「購入前1ヵ月及び使用中は、体重や腹囲などを記録していること」
「定期的に健康診断を受けていること」
「6ヵ月服用しても効果がなければ、販売を中止し、受診勧奨を行うこと」
など、チェックシートを用いて薬剤師から指導を受けます。
なお、同じ膵リパーゼ阻害薬の肥満症治療薬、武田薬品工業のオブリーン錠(一般名:セチリスタット)が、2013年に医療用医薬品として承認されましたが、薬価収載がされないまま、2018年に導入元企業に返還されています。

アライの基本情報

使用に際しては、添付文書をよくお読み下さい

肥満症に適応がある一般用医薬品

<この記事を書いた人>
浜田康次
薬剤師。一般社団法人日本コミュニティーファーマシー協会理事。アポクリート株式会社顧問。

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参考情報~服用体験談

さっそくこの薬を服用した体験談をレポートでまとめている方もいます。