見出し画像

晩秋のスペイン階段が雨に濡れていた あの時1ユーロ百円で焼き栗が買えた

イタリアの旅は少し遅い新婚旅行だった。

しかしもちろん、現実はローマの休日のようにはいかない。
晩秋のスペイン階段は雨に濡れていた。
それでも焼き栗の屋台は商売を続けている。
その向こう側にあるブランド品の店では高くて何も買つてやれない。
だから、なけなしのユーロはたいて焼き栗を買ったのだ。
二人で傘をさして階段を上り、広場を見下ろしながら焼き栗の皮をむく。
大きな栗だが焼き立てなので結構やわらかく食べやすい。

今でも、栗を食むとき、あの時,
何かスペイン階段の向こう側のブティックで
亡き妻に買ってやればよかったと胸が痛む

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?