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ビートルズ曲解説 Paperback Writer

ビートルズに出会って40年。
1曲づつ曲解説を書いています。
今回は「水ようかん様」のリクエストにお応えします。

PVではポールの前歯が欠けている。どうやらモペット(小さなバイク)で事故を起こしたらしい。また、上唇を切ってしまい、傷跡を隠すために口ひげを生やしたとも言われている。

よく見ると前歯が欠けている

歌詞は手紙のスタイルをとっており、小説家を志望する人物が自身の作品を本(ペーパーバック)*(1)として出版してほしいと訴えかけるというもの。叔母から「どうしてラブソングばかりなの?」と問われたことをきっかけに書いたそうだ。またポールは元々作家を目指していたとも言われている。

基本、この曲はGコードのみで作られている。(途中、Cコードが一瞬入るが)
ひとつのコードでの曲作りはジョンも「トゥモロー・ネバーノウズ」でチャレンジしている。これはインド音楽にみられる基音持続法(ドローン)と呼ばれるものだが、ジョージの影響で二人にとってチョットしたブームだったのかもしれない。僅かひとつのコードではあるが、どちらもとても豊かな曲のように感じるので不思議だ。これもビートルマジック。

そうかと思えば、ジョンはこの後「アイアム・ザ・ウォルラス」でコードA、B、C、D、E、F、G全てを使って作曲している。そんな曲、他には無いだろうな。

東京公演でもこの曲を演奏している。しかし、3人のコーラスがちょっと残念な感じ。日本の観客は海外に比べ静かだったので、残念な感じが余計に目立ってしまった。武道館公演初日の後、メンバーが集まり自分たちの演奏の反省会を開いたのは有名な話である。
レコード通り再現できなくなり、ライブ活動を中止したのも頷ける。

そのように考えると、コンサート会場の音響技術の向上はあるかもしれないが、現在のポールのツアーバンドは上手いなぁ。

ポールはこの曲で初めてバイオリン型ホフナーベースではなく、リッケンバッカーベースを使用した。増幅させてレコーディングされたベース音は、当時としてはかなり音圧の高いもので、レコード工場から「こんなものレコードにしたら針が飛びまくって返品でエライ事になるぞ!」と怒られるほどのものだったそうだ。勿論そんな事にはならず、これ以降のビートルズサウンドはベースがはっきりとミックスされる様になっていく。そしてベースサウンドの教科書的存在となる。

PVの撮影は、ロンドン市内の「チズウィック・ハウス・アンド・ガーデン」で行われた。
後年、ポール・ウエラーもリスペクトし、同場所でPVを作成している。

会社の先輩が『ポール・ウエラー ファンクラブ』の会長をしていた頃、ポール・ウェラー本人が来日した際に新宿のタワーレコードを案内した。店員の方をはじめ、お客さん全員が腰を抜かして驚いていたそうだ。
そりゃ、そうだな。

彫像の広場
植物園温室の中

*(1)ペーパーバック:読んだらすぐ捨てられるような、薄っぺらな、通俗受けすることを狙って書かれた本。対義語は、ハードカバー。
大滝詠一氏は、自身の楽曲「夏のペーパーバック」の中で、”薄いペーパーバック~♬”と歌っている。

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