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ビートルズ曲解説 Tax Man

ビートルズに出会って40年。
集大成として1曲づつ曲解説を書いています。

今回はtawatawa様のリクエストにお応えします。

ジョージの低い声「ワン・ツー・スリー・フォー、ワン・ツー」の後、ポールのカウントで始まる。

ジョージのは曲のカウントではなく、お金のカウントでは?とも思える。

アルバムの1曲目にジョージの曲が使われたのはこれが初めて。
そしてビートルズ初の政治的声明となった楽曲でもある。

歌詞は、イギリスで富裕層に課せられていた最高税率95%という高い税率に対する不満。ちなみに日本の現在の所得税の最高税率は約56%。そう考えるとイギリスはとんでもなく高かった。(*1)

この頃ビートルズのメンバーはロンドンの会計事務所から破産寸前と宣言されていたようだ。ビートルズ解散後、ジョージとジョンはアメリカに移住するが、もしかしたら税金対策だったのかもしれない。
 
曲の中でジョージはウィルソン首相の名前を出しているが、政治的なバランスを取るために、野党である保守党の指導者ヒースも名指しで歌っている。
そういえば、ジョージの日本公演(1991年)ではウィルソンとヒースをメイジャー(英国首相)とブッシュ(米国大統領)に代えて歌っていた。こちらもバランスが良い。(*2)

 
間奏のギターソロをジョージは数時間あれこれ試みたようだが、上手く弾けなかった。
見かねたプロデューサーのジョージ・マーチンが「ポールに弾かせたらどうか」と提案。
結局ポールは、ほぼ一発であのインド音楽風のギターソロを決めたそうだ。
 
ポールはジョージのボーカル曲ではジョージに似せた声でコーラスを入れる。同じくジョンのボーカル曲ではジョンに似せた声でコーラスを入れる。ポールは正に七色の声色を持つ。ギターソロも恐らくジョージ好みのインド風(シタール風)のギターソロに寄せたのだろう。すごいな、ポール。
 
(*1)当時、ローリング・ストーンズのメンバーはイギリスではなくオランダで資産管理を行っていたそうだ。税率はわずか1.6%

誰かビートルズのメンバーに節税アドバイスをする人はいなかったのだろうか?
 
(*2)『Revolution 1』では、you can count me out, in
(僕の事は人数に入れないで、いや、やっぱり入れて)と歌っており、
こちらも政治的な主張を曖昧にしてバランスをとっている。

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