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10日間の子連れロードトリップに行ってみた話

2週間の育児休暇を使って、10日間の子連れロードトリップに行ってみた

我が家はカリフォルニアのパロアルト在住で、長男5才に次男7ヶ月。ちょうどキンダーが始まる直前ということもあって、8月前半のタイミングを選んだ。アメリカ国内はCovid-19の感染が広がっている状況ではあるものの、大半の時間を車内とホテル、それに外の空間で過ごすロードトリップであればリスクはそれほどないかなと考えた。

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計画としては、グランドキャニオンなどを中心としたグランドサークルを巡ってみようと考えて、地図や旅行記録を読みながら検討。妻はまだ高速道路の運転ができないので、運転は全部自分。1日の走行時間は最大でも7時間に抑えるようにして、かつ現地でのアクティビティが入る日は3時間以内に抑えられるように宿泊ポイントを設定。通常であれば人気で予約が取れない国立公園内のロッジも運良く予約が取れたのだけど、これらを事前に予約したことで途中までの行程が半自動的に確定してしまったのはロードトリップの醍醐味という面で見るといまいちだったかも。

モニュメントバレーのビューホテルに泊まったり、ザイオン国立公園でハイキングもやりたかったのだけど、前者は予約が取れず、後者もシャトルバスが取れなかったので今回はパス。序盤の2日はラスベガスまで移動時間多めで頑張って、そこから先は現地でのアクティビティーにできるだけ時間を使えるように計画を立てた。セドナまでの行程は事前にほぼ確定していたので、旅の途中で迷うことのないようにホテルは事前に予約しておいた。National Parkは1年間有効なパスが$80なので、3つくらい行けばもとが取れるようになっていたので、出発前にREIで購入。最終的な行動は以下。

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Day1

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単純な移動日としてBakersfieldあたりまで行くのも手ではあったのだけど、家を早朝に出ればそこそこ時間が余ると考えて、セコイア国立公園に寄り道してからVisaliaに泊まることにした。セコイア国立公園では、巨大な切り株のMark Twain Stumpを見てから世界で最大の樹木であるところのGeneral Shermanを見に行こうと思っていたものの、前者は思ってたよりトレイルをたくさん歩く必要があって到達できず。3時間走りっぱなしだったので、軽く歩いてよい刺激にはなった。その先、General Shermanのポイントまで行こうとしたら道路を盛大に工事していて、舗装が剥がれてる一方通行の区間を抜けるのに40分ほど余計にかかってしまった。General Shermanのトレイルは予想以上にアップダウンがあったものの、ラスボスクラスのジャイアント・セコイアが林立する空間はなかなか異様で見応えがある。そのまま南側の出口を抜けて国立公園を後にしたのだけど、この区間の下りが延々と続くクネクネ道で、運転している自分もクラクラするほどの道のり。車に弱い妻は早々に意識を飛ばしてダウン。下から登ってくると山の上の巨岩を見上げながら絶景を楽しめるルートになるようだけど、下りで使うのはあまり懸命なルート取りではなかった模様。そのままVisaliaまで移動して、ホテルでプールに入り、食事を済ませて睡眠。

Day2

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この日もほぼ移動日。前日にBakersfieldまで進んでいると楽だったはずだけど、追加の1時間のドライブがあるので8:30くらいにホテルを出る。Barstowの街でIn-and-Outをテイクアウトして、キャリコ・ゴーストタウンのベンチでランチ。キャリコ・ゴーストタウンは銀の採掘で栄えた町で、銀の価格が暴落した後に急速にゴーストタウン化してテーマパークのような形で保存されている面白い場所。いかにも「西部」という雰囲気を楽しめるが、いかんせん商業化されてる雰囲気は否めないのでガチな廃墟マニア向けではなさそう。何にもない砂漠の山の懐に町が作られ、そして放棄された、という情緒は感じることができる。長男は砂金をパンニング皿で取る体験(別料金)をしてそこそこ楽しめた模様。車に戻り、また何もない砂漠をひたすら走り続けてラスベガスへ。ガソリンが減ってきてギリギリもつかなーと思ってたら思いの外アップダウンがあって無補給では到達できなさそうだったので、諦めてガスを入れる羽目になった。このあたりは意外にも山がちな地形で侮れない。ラスベガスではカジノのついていない静か目なホテルにしたので、チェックインしてすぐにプールを楽しんでからディナーしてストリップをちょろっと散歩して就寝。大人のためのエンターテイメントの街なので、いくら楽しげなショーをやっていたとしても家族づれでわざわざ来る街ではないかなーというのが個人的な印象。

Day3

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この日の目玉はSt. Georgeのダイナソーディスカバリーサイト。恐竜にはまっている長男は、新種の恐竜の化石を発掘する(そして古生物学者の先生にプレゼントする)という大いなる野心をもっており、今回の旅行にも自前の発掘キットを持ってきているという準備周到ぶり。どっこい、ディスカバリーサイトは思いの外小規模な施設で、30-40分程度で一通り見て回ってしまったので、長男は不完全燃焼。おみやげの恐竜のぬいぐるみをゲットして納得してもらったが、古代湖の周辺にたくさんの恐竜が集まっていた足跡の化石を眼前に見てロマンを感じるというのは五歳児には少しだけ難しかったのかもしれない。そのまま北上を続けて、本来の予定では20号線で東進するはずだったが、Cedar Cityを超えたあたりで事故渋滞が起きていたのでGoogle Mapの勧めに従いDixie National Forestを抜ける形で東へ。がっつり山を超える形になったものの、ドライブ的にはそこそこ楽しめた。もっと時間があったらZion National Parkを抜けるルートを選びたかったものの、工事をしていたり、混んでいたりするのに翻弄されたくなかったので今回は確実なルートを選択。ブライスキャニオン国立公園に近づくと奇岩が目につくようになり、ロッジにチェックインしてベランダでご飯を食べてから夕日を見にお散歩。期待通りの景観を楽しみつつ、帰りは鹿の家族に遭遇したり。

Day4

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せっかくなのでブライスキャニオンの日の出でも見ようかと頑張って6時前に起床。暖かい装備にして朝日の30分前くらいにSunrise Pointに到着し、太陽の光で刻一刻と眼前の景色が変わっていく様子を楽しむ。この時期は(?)山から太陽が上がるため、いわゆるモルゲンロートと言えるほど劇的な光ではなかったが、なかなか悪くない。7ヶ月の次男はほぼずっと寝てた。ロッジに戻って二度寝…と思ったらすっかり目を覚ましてしまった長男が寝てくれなくてあんまり眠らず。まったり朝食を食べてパッキングして、チェックアウトの11時前から車をロッジに置いてハイキング開始。朝に行ったSunrise Pointから下降して、Wall Streetを経由してSunset Pointに登ってくるというルートを歩いたのだけど、なかなか歩きがいがあると同時に非常に満足度の高いハイキングだった。上から見る景色もよいけど、下に降りることで渓谷の規模感や異なる景観を楽しむことができる。ちょっと暑かったので、夏は涼しい朝のうちに歩くのがよいかも。車に乗って出発し、Ruby's Inn General Storeでサンドイッチを買って外の席で食べて、次の目的地のPageへ。途中までは昨日通った道を戻る形で、Kanabを超えたあたりから急にアリゾナっぽい雰囲気の景観を楽しめるドライブになる。Pageは周りに何もない不思議な街。例によってプールに入り、夕食を食べて睡眠。

Day5

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今日はいよいよグランドキャニオン。9時前に出発し、まずは近場のHorseshoe Bentへ。ちょっと前のガイドを読むと道が悪いから注意とあるが、数年前に(?)整備されたしっかりした道が駐車場から続いているので、バギーでも全く問題なし。15分ほど歩いて到着する見晴台から見える展望は、まさに自然が生み出した芸術品。川に浮かぶカヤックやボートがおもちゃのようなサイズ感で、スケールが大きすぎて渓谷の深さがよく分からなくなって混乱する。恐竜の化石の発掘に情熱を燃やす長男は、なぜか途中から昆虫観察・採集に熱中。しっかりとしたトイレもあるし、ここは$10の価値は十分にあると言えそう。また車に乗って進むと、これまた「アリゾナ来ました!」とテンションの上がる道のり。途中でTuba City方面に曲がっていくとMoenave Dinosar Tracksというナバホ族の土地にある恐竜の足跡の化石を見られる場所に着く。ガイド役の女の子に色々と教えてもらい、そこかしこにある足跡の化石を見て回るのだけど、博物館よりも現物に触れることができて長男も大興奮。何億年も前に生きていた見たこともない生物の足跡が化石になってそのへんに露出していて触れることができる、というのはなかなかのロマンである。Tuba Cityで適当にランチを済ませて再出発。本来はCameronの街で右折してDesert View Dr経由でグランドキャニオンのサウスリムに行けるはずが、道路の工事で通行止めになっていたのでFlagstaffまで南下してから改めて北上。グランドキャニオンではリムのすぐ脇に立つThunderbird Lodgeを予約していたので、さくっとチェックインしてからてくてく散歩。鉄道も通っているし、インフラも整っていてアメリカの国立公園の整備の徹底ぶりに改めて驚かされる。夕日を眺めて楽しんで、部屋に戻って手持ちの食材を食べようとしたものの、なんと部屋に電子レンジがなく、熱湯も作れず、しかもやっているレストランは高級ホテルのみ。仕方がないので適当に食べてお茶を濁すことにした。電子レンジがないホテルはこの旅ではここだけだったのだけど、リサーチ不足が災いした。夜になってから外に出ると満点の星空!

Day6

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少しまともなものが食べたかったので、Maswik Food Courtに行って朝食を摂ってからYavapai PointやMather Pointを巡って景色を楽しむ。リムの上からはコロラド川はほんの少しだけしか垣間見ることができず、渓谷の深さとスケール感にはただただ圧倒される。いつか機会があれば、ぜひ反対側のリムまでのトレイルを歩いてみたいものだ。パッキングしてからロッジの近くをぷらぷらし、最後にフードトラックでホットドッグを買って絶景のランチを楽しんでから車で出発。毎日毎日動き続けて疲れが出始めていたので、この日にセドナまで行ってしまえばその先の行動は融通が効くこともあって旅が終盤に差し掛かっている気分。最低でも2日は運転しないと帰れない場所な訳だが。セドナではOakcreekにあるリゾート系のホテルを予約してあったので、一旦17号で南側まで行ってから北進。赤い堂々とした山が見えてきてテンションが上がる。まだチェックインには少し早いので、Bell Rockで軽くハイキング。頂上付近はクライミングが必要だし、暑くて頑張る気もないのでほどほどに景色を楽しめるところまで登ってから引き返す。赤い巨大な岩と真っ青な空のコントラストはただただ美しい。スピリチャルなものには特に興味はないが、自然が作り出した圧倒的な景色には圧倒される。プールが充実したホテルでは長男が大ハッスル。移動の連続で疲れたので、ホテルには延泊してセドナの街を楽しむことに決定。

Day7

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このホテルでは比較的マシな朝食が出たので、出発を急ぐ必要もないしとテラス席で朝からまったり。チャペル・オフ・ホーリー・クロスを見てからカセドラル・ロックを見物して、さらにエアーポート・メサの頂上まで登ってみた。エアーポート・メサは簡単に登れて、風もあって気持ちがよく、子連れで来るにはなかなかよい場所。すぐ近くの飛行場に離着陸する小型機がすぐ上を飛んでいく。セドナの街に車を止めてランチ。山がよく見えるテラス席のある店を適当に選んで腹を満たし、プールを求める長男と一緒に自分は一旦ホテルへ。妻と次男はセドナの街を散策。プール後に改めて合流し、ホテルに戻ってまたプール。日が沈む時間が近づくとジャグジーに浸かって極楽気分。近くのレストランでディナーを食べて、帰り道に空を見るとよく星が見えた。

Day8

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この日は移動日でPalm Springsの手前のPalm Desertが目的地。帰りのルートは40号を使ってCarsのモデルになったSeligmanとRoute 66でも観光するのもありかと考えていたのだけど、KingmanとかBarstowに泊まって、さらにその先でどこに立ち寄ることもなく帰る…というルートに魅力を感じなかったので、南回りのルートでロサンゼルスを抜けて海沿いの街に立ち寄る作戦とした。Wholefoodsで食材を調達してから回り道してセドナの街の北側へ。ここの道は緑が溢れる渓谷で走っていて癒される。17号を南下してPhoenixに近づいていくと、巨大なサボテンがポツポツと見え始めてなかなか楽しい。ガソリンを補給した先は偶然にもナビが一般道を勧めてきたのだけど、無機質なFreewayを走るよりも楽しめてナイス。途中でランチを調達して効率的な移動を優先して走りながら食べる。今度は10号線を延々と西に進むものの、退屈な道のりは眠くなるので困る。驚異的に暑いPalm Desertに到着してホテルにチェックインしていざプール…と思ったらなんとこのホテルはプールが開いてないらしい。適当に予約したので調べ忘れて大失敗。ふてくされた長男をなだめて、クーラーがガンガン効いた部屋でおやつを食べながらTVタイム。グダグダな展開も意外に悪くない。適当に夕食を済ませて眠りにつく。

Day9

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この日はSanta Barbaraが目的地。前にロサンゼルスに遊びに行った時に立ち寄って、また訪れたいと思っていたのでよい機会。ロサンゼルス都市圏に入ると車の交通量が爆発的に増えて、運転に気を使うのでなかなか疲れる。まったりした景色の一本道か、空いたFreewayをクルコン使って走るのは圧倒的に楽だなということに改めて気がつかされる。緊張的な運転を強いられてから101号に乗って山を抜けるあたりまでくると交通量が減って運転が楽になる。やれやれ。さくさく走ってSanta Barbaraのビーチ近くの駐車場に車を停めてビーチ沿いを散歩。心地よい気温で風が涼しい。快適な気候のカリフォルニアに戻ってきた!特産のウニが食べたかったのだけど、Pierの先っちょにあるレストランは混んでいて、風があって寒かったのでHarborの向かいにあるBrophy Bros.に転身。このレストランは当たり。Seafood Pastaは絶品で、ワインも美味で久しぶりに美味しいもの食べたなーという感激を味わった。今回のロードトリップは「サトウのご飯」に「レトルトカレー」的な食材を多用したさもしい食事がメインだったので尚更。自分は長男とビーチに向かい、妻はダウンタウンを散歩。その後、ホテルにチェックインしてプールとジャグジーに入り、簡単な夕食を摂って旅の最後の夜を締めくくった。

Day10

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この日は4時間ほどのドライブで家に帰るだけなので気が楽。ホテルの朝食は水のボトルと見るからにやばそうなケーキとオレンジ1つという内容で朝から気が滅入る。手持ちの食材のほうが遥かにまとも。日本の昔話を車でかけるというテクニックを最終日に編み出したところ、長男に大受けだったので今度からのロングドライブでは大いにこれを利用しようと思った。そのまま帰るのも勿体無いので、前に泊まったことのあるシカモア温泉の近くのアヴィラビーチに車を停めて、ランチを食べてからビーチで遊んで…と思ったらパラパラと雨が降って気温が低い。長男はやる気満々なのでしばらくビーチで遊んでもらってから再出発。寒い中頑張って疲れたのか、長男は家に帰るまで3時間ほど爆睡。夫婦でおしゃべりしながら101号線を延々と走って帰宅した。

まとめ

トータルでの総走行距離は2,300マイル前後。小さな子供づれのロードトリップだったので無茶な計画にはしなかったけど、10日間はいささか長すぎたかなという印象。また、家の車は小型のSUVなので荷物もたくさん載らず、バギーとベビーキャリアー、携帯トイレ(結局使わず)、大量の水のボトル、おむつ、それに着替えの入ったトランクに食材に…と毎回出発時にテトリスする羽目になったのでなかなか大変だった。今回の主な目的地を巡るのであれば、ラスベガスあたりまで飛んでしまって大きめの車を借りてしまうのがベターなトラベル・エクスペリエンスだったと思う。

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ロードトリップは、だだっ広いアメリカをあっちゃこっちゃと巡ることができるなかなか有効かつ楽しい旅の手法であるということがよく分かり、旅の経験値を積むことができたと同時に多くのものを家族で一緒に見て回ることができたのはとてもよかった。個人的にはハイキングしたら気持ち良い場所にもう少しのんびりと滞在できたらとは思うものの、一箇所に長く滞在し過ぎてしまうとロードトリップの醍醐味が失われてしまうので、ある程度まとまった時間を使って「さて今日はどこへ行こうか」というノリで旅を進めるのが理想なのかなと感じた。

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