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『テクノロジーが予測する未来』は、必ず訪れる必然的な未来。知識チェックに最適

 SNSが一般的になって、使っている人の鏡になったなと思います。自分の人脈と関心事が目につくようになっています。僕のSNSでは、WEB3.0が最大の関心事のように友人知人たちが語っていますし、情報が入ってきます。これはおそらく僕のポジション、興味関心によるもので一般的では無いのでしょう。
 「新しい物好き」や「ビジョナリー」と呼ばれる人たちは、昨年あたりからみなさんそちらに向いていますし、僕自身も強い興味とビジネス的にも関わりを持って注目しています。
 本書のサブタイトルにもある「WEB3、メタバース、NFT」は、エンターテインメントと関わりが深く、エンターテックが牽引して社会に広まっていく領域ですから、エンターテックエバンジェリストを名乗る身としては、ど真ん中ストライクの分野です。

 この領域に関連する著作は多数出版されていて、だいたい目を通すようにはしているのですが、本書は、入門篇としてわかりやすく、かつ網羅的に知識、情報を整理することができる良書です。この分野に興味のある方や、ちょっと乗り遅れたかもって焦っている方に最適です。
 著者はMITメディアラボ所長として活躍されたイノベーションやテクノロジーといった話の真ん中にいる人です。デジタルガレージは、10年以上前にTwitterの日本窓口をやったりしていて、先駆的なポジションの会社です。実はエンターテックのスタートアップスタジオを日本でやりたいと思ったときにベンチマークしたのは、10数年前のデジタルガレージでした。彼等はSNSがプラットフォームになる未来(本書の定義で言うところのWeb2.0の世界)を完璧に予測していました。その流れの先頭に立って促進する役割を果たしていたと思います。StudioENTREもエンターテインメントの未来は予見できているので、あの頃のデジガレのように先頭にポジションを取りつつ促進していけば、社会貢献できるし、日本の産業の活性化にも寄与できると思って始めました。それができれば、収益性も高いくなっていくはずです。

 Web3の分野は、我こそはと手を上げている方々がたくさんいるので、ENTREとしては、「ユーザー体験のUPDATE」にこだわって、事業を産み出していきたいと思っています。日本の価値は過去作品の蓄積と歴史でもあるので、既存の仕組みを破壊するのではなく、上手に社会実装していくことも大切です。テンポ感はグローバルレベルで、日本特有の部分もしっかりアレンジしてアダプトさせていくところに自分の役割はあると思っています。

 本書でも説明させているように、web3時代には、働き方が、組織に縛られない、「プロジェクトベース」になり、DAOと呼ばれる透明化されたルールで運営する法人格(のようなもの)が主体になると言われています。
 分散型自立組織と訳されるDAOがどんなものになるか想像するのは難しいように感じますが、僕はDAOが最適と思われる団体がすぐに思いつきました。音楽著作権の徴収分配を行っているJARACです。明確なルールに基づいて、自律的に透明に徴収分配するという業務は、まさにDAOに適しています。正確に言うと、CISAC(著作権協会国際連合)に加盟している団体が、グローバルにDAOとして動くようになるのが理想なのでしょう。問題は、これまでやってきたとこととの整合性と、以降の方法です。著作権の徴収分配を止める訳には行きませんから、これまでのやり方を続けながら移行する方法を考えなければいけません。新しい仕組みには反対する人もでてくるでしょう。些末なことも含めて解決していくのが、まさに「社会実装」の作業です。

 資本主義の構造的な課題である、資本家と労働者の経済格差について、DAOは解決できる可能性があると著者は説いています。

「投資家優位という構造はない」「労働者は存在しない(主体的に働く個人がいるだけ)」というのが、DAOのそもそものアイデンティティであることから、ある種の自浄作用が働くはずです

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  あらゆる場面において個人へのパワーシフトが起きるWeb3の時代に、最も大切なのは、コミュニティの存在だというのは僕も感じています。9年かけて作ってきた、作曲家のコミュニティCo-Writing Farmの仕組みはかなり洗練されてきました。プロの作曲家として活躍するという共通のテーマをもった個人が、でも活躍の方法は、それぞれ自由に選びながら、性善説に基づくルールでコミュニティを運営するというのは、これからの組織体が目指す形だというのは、実際に企画から携わっていて、肌感覚で持っています。

 ブロックチェーン技術が、社会の様々な課題を解決することが期待されるWeb3の時代は、まだ遠くにぼんやりしか見えていませんが、テクノロジーの進歩という歴史の必然が呼び起こす「かならず訪れる未来」でもあります。この本を読んで、基本的な考え方と知識を得ておくことをお薦めします。

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モチベーションあがります(^_-)