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⑤「斜陽」とは。

明日は写真撮影(ジャケットやアーティスト写真)なのに、結局4曲目まで解説を書いている。今日は土曜出勤日で、程よい疲れと解放感から「マネージャーのまゆみんに怒られない程度に幾つか原稿を送ろう」なんて〆切前日にちょこちょこ書き始めた文章。只今23時47分。困った。目が冴えてきた。

純粋な気持ちで死を悼む曲(「3.25」)に対して、4曲目の「斜陽」は愛がこじれて淡い死の匂いを放つ一組のカップルを描いている。

まったく自分のなかにない要素から曲が作れてこそソングライターと思っている僕。

特に、歌詞に関しては想像力を総動員して書いて、ストーリーテリングのためのボーカル録音に臨む。

作ったのは2020年の秋頃だったように記憶している。

ふと思い浮かんだイメージ。
「一組のカップルが、六畳一間のアパートで事後にタバコをふかしている」
倦怠感と紫煙が立ち込める小部屋。

作っている最中は何の迷いもなく旋律と歌詞を紡いでいくため、こういう系統の歌は作り終わった後に悩んでしまう。

「いったいコイツらはどういう関係なのか」

「っていうか暗くない?全体的に」

「こんな恋愛したくないわ!」

自分で突っ込みを入れつつ、レコーディングは非常に楽しいものだった。

呟くように歌い始め、徐々に盛り上がる。しかし、全力でいってはならない。
ピークに行き着く直前の余白を残した歌い方。その方が、二人の物語を伝えられるはず。
なのに、最終的に抑えられなくなり雄叫びをあげてしまった。偶然の産物で仕上がった「斜陽」。

実は、ピアノのタッチも曲ごとに変えている(つもり)。この曲は「ダラダラしてる」「どこかで破綻する」がテーマ。
もしライブをするなら、ベースとドラムと歪みきったエレキギターが欲しい。
自分の想いを綴ってない分だけ、楽しく無責任に唄えちゃう不思議。

ふと、「メメントモリ」という言葉を思い出す。「死を思い生が輝く」的な。 

只今日付が変わりました。

・・・・・
【追記】
アルバムを発表してから一週間が経過した。
どうやら、5曲目の「ハロー・ストレンジャー」に次いでこの「斜陽」が人気らしい。
不思議なものである。
私小説ではなく、完全なるフィクションが愛されていることはとても嬉しい。
自分自身、この歌をレコーディングしたかった衝動があった。
「生まれたがってる」「世に出たがってる」気がして、どうしても1stの4曲目に収録したかったのだった。
ありがたいことです。
より多くの方に聴いて頂けますように。

・・・・・・

山田喜大 1st album 『I Rise』
1.変化の兆し
2020、渦中
3.25
4.斜陽
5.ハロー・ストレンジャー
6.15
7.寸劇

2023年11月9日〜
各種サブスクリプションサービスにて配信中


『変化の兆し』Music Video

https://youtu.be/AUOXiSS40w8?si=OtEcpKXTrQGOByZk

Director 杉澤亜美


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