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⑥「ハロー・ストレンジャー 」とは。

5曲目の「ハロー・ストレンジャー」とこの後に出てくるラストの「寸劇」は例外で、今年(2023年)に入って作った曲だ。

偶然見つけた「ポリエチレンテレフタレート」というYoutubeオリジナルドラマを観た後、主人公たちの不器用さに切なくなった。

同性カップルである彼らはある日、立ちはだかる壁に気付く。
“普通”という範疇から逸脱し、それでも夢を見られるほど世の中はまだ成熟してない。
切ない物語には何度かベランダで珈琲を飲むシーンが登場する。

マグカップ、ベランダ、朝焼けを見る二人。

きっと、幾度も繰り返してきた彼らの日常なんだろう。

さて。
彼らの愛と喪失を描くことも出来たはずなのに、どうしてか僕はアコースティックギターを手にして彼らを励ましたくなったのである。
その頃ちょうど、絶対的強者と思っていた女友達が珍しく落ち込んでいたことも相まって、本当に単純に「器用に見えて不器用な友達」に寄り添いたくなった。
以前は、夜更けまで話を聞いて、寝る間際に何度か大笑いしてもらって「ま。いっか」なんて良くも悪くも疲れ果てて眠らせるのが優しさだと信じてた。
けれど、年齢を重ねることで、そういった優しさには期限があることを知った。
だって働いているとそこまで余力が残ってない自分がいる。

今、僕が思う理想の優しさを歌にしたくて歌詞は書きました。

「無防備な君を 無理解な奴が 傷つけて通り過ぎてゆく」

ほんと、そんなんばっかりっすよね。

小器用に立ち回れちゃう自分の薄っぺらさに辟易することもたまにあるけど、そういう自分の特性をじょうずに活かして誰かの役に立ちたいなって思う僕です。

アルバムを作り始めて2時間後ぐらいに「斜陽は四曲目」「ハロー・ストレンジャーは五曲目」と何故か決め込んでいました。
理由は分からないけれど、なんとなく。

「落ち込んでる友達に、ビール片手に会いに行く。ただ黙って二人で外を眺める。一人じゃないよって伝わってくれー。」っていう大人に、僕はなりたい。

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【追記】
前回の斜陽の記事にも書いたのだが、どうやらこの曲がアルバムの中で一番聴かれているらしい。フィクションから影響を受けてやんわりと作った曲が誰かの胸に沁みているのなら光栄である。

単曲やシャッフルで聴かれることが当たり前になっている昨今。
こうして作品集として発表した中からお気に入りを見つけてもらえることは有難いことです。

でもやはり僕はユーミンのような"アルバムアーティスト"に憧れているし、短編小説のようでいてきちんと曲の並びに意味を込めているので繋がりは感じられる、と信じている。

あくまで矜持や信念にまつわる話です。
どんな形であれ聴いて頂けることは僥倖なの。

「変化の兆し」のMVもたくさん観てもらってて、本当に嬉しいです。
亜美ちゃんについてや、MVそのものについて、いずれ長ーい文章で書きます!

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山田喜大 1st album 『I Rise』
1.変化の兆し
2020、渦中
3.25
4.斜陽
5.ハロー・ストレンジャー
6.15
7.寸劇

2023年11月9日〜
各種サブスクリプションサービスにて配信中


『変化の兆し』Music Video

https://youtu.be/AUOXiSS40w8?si=OtEcpKXTrQGOByZk

Director 杉澤亜美

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