171.アイスを買いに行きました
冬場に時折訪れる、春めいた気候の日がある。
風は少し冷たいが陽が暖かいという、束の間の穏やかな時間。
寒さというのは生死に直結するせいか、ただ寒いというだけで無意識に背筋が伸び、多少の緊張感を持って生活している様に思う。そんな枷(かせ)が外れた暖かい陽気の日、私は車を運転していた。
時刻は昼過ぎ。暖かさはピークを迎えている。さらに昼食後という事も相まり、私の緊張感はゼロとなっていた。恐らく私の顔面の筋肉は緩み半笑い、目もさほど開かず、人様にお見せできない表情をしていたであ