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プレイバック/レイモンドチャンドラー

プレイバック(Play back)/レイモンド・チャンドラー著

村上春樹訳

ある女の尾行を依頼されたが、その女が男に脅迫されているところを目撃する。


今回のマーロウは頭がおかしかった。アムニー(弁護士)からの依頼を引き受けたのに途中で放棄するし、秘書(ヘレン・ヴァーミリア)には手を出すし、自分の性的趣向でベティ・メイフィールド(尾行していた女)を助けるし、やってることが滅茶苦茶でダサかった。滅茶苦茶だからかっこいい時もあるけど、今回はダサい方の滅茶苦茶だった。

ダサいと感じたのは根本の理由は、マーロウに良い奴になろうとしてる感があったからだと思う。尾行してる女が脅迫されてるのを見つけたからって、助けようとするのは阿保だ。相手も助けて欲しいと思ってないんだからより阿保だ。読んでる側から見ると、かっこいいとこ全部、ブランドン(ホテルのオーナー)に持ってかれて、マーロウはそこを飛び回る蝿みたいに見えた。

だからか、クラウド・ブランドンが優しいヤクザって感じでかっこよかった。


If  I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive. の部分は、春樹訳よりも

タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない

の方がシンプルで好き。

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