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 カウンセリングをしていて、いつも思います。

 うつになって苦しみ、クリニックやカウンセリングルームを訪れるのはいつも、会社や学校、家族の中でいちばん心のやわらかな優しい人であり、誰よりも人の気持ちを考えられる賢い人です。

 そんな人だからこそ、誰よりも傷つき、苦しむ。人の痛みが見えるから気をつかう。

 こんなに優しく、やわらかな、美しい魂を持つ人たちが、なぜこんなに苦しまなくてはいけないのか。いつも悔しくてたまらなくなります。

 でも、うつの人たちはいつも自分を責めています。自分のいたらなさを、不甲斐なさを。情け無く、力のないことを。他の誰のことも責めようとはしません。すべての咎が自分にあるとして、重い十字架を背負い、ずっと歩いています。

 なぜこんなに美しい心を持った人たちが、これほど傷つかなくてはならないのか。こんなにも優しく、人のことを自分のことよりも大切に考える人たちが、なぜこれほど苦しまなくてはならないのか。

 親たちは、この子の尊い優しさを、なぜ社会に不適合だと咎めるのか。

 いじめっこたちは、自分が切り捨ててきた弱さや脆さ、傷つきやすさをこの子たちが大切に抱えているからといって、なぜばかにするのか。

 心療内科や精神科、カウンセリングルームに来る人たちこそが正常で、人間らしい優しさを持っていて、周りのひどい人たちのことを大切に思っています。「あんなクソみたいなやつら、どうでもいい」と見捨てられずに、大切にします。その人たちのナイフのような言葉を贈り物のようにしっかりと受けとめます。あなたのその優しさに値しないクソのような人たちのことを愛し続け、愛されたいと願い続けます。

 どうかあなたの周りの人たちが、あなたの美しい魂に気づきますように。あなたの愛と優しさと思いやりに少しでも値する人になろうとしてくれますように。

 そう願わずにはいられません。

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