山雀ぐり

↑ やまがらぐり と読みます。 2020年現在 50歳男、詩を書いています。 所属:ネ…

山雀ぐり

↑ やまがらぐり と読みます。 2020年現在 50歳男、詩を書いています。 所属:ネット詩誌「MY DEAR」,中日詩人会。 趣味は、バードウォッチング。 エリック・クラプトン好きのなぜかベーシストです・・・ ※作品の盗用・無断転載を禁じます

マガジン

  • 詩(2019年~)

    30代前半以降 詩作から離れていましたが、 49歳の 2019年から再開しました。 その詩を掲載していきます。

  • 詩(20~30代の作品)

    私がまだ二十歳の頃の 1990年頃の詩と、30歳過ぎの 2001~2003年頃の作品を掲載しています。

最近の記事

三六六季   2024/5/2

季節の変わり目ですのでご自愛ください というけれど 季節の変わり目っていつだろう 毎日なのではなかろうか 同じ春でも 今日の春は昨日と違う 明日の春もきっと違う 明日はもう春の絵の具に 夏が混ざっているかもしれない 地面の中でセミの子が もうそろそろかなと目をあけて けだるく伸びをするかもしれない 空の上では入道雲が ごしごしと頭をみがいて 組立体操の練習を始めるかもしれない 四つじゃないよ 毎日です 季節 しかり 人生 しかり あっ 今も変わっています

    • 地球儀ゲーム   2024/5/2

      くるくる回す 地球儀 回す 目をつむって 指でストップ さてどこだ? 海だった 海のもくずか… また回す また止める おっ 陸だ ハロー アメリカ! もう一回 また海か ぶくぶくぶく… よし 今度こそ おっ ここは? 你好 チャイナ! しかしあれだね やっぱレアだね 日本の上に止まるのは 大陸でさえ困難なのに いわんやこんな島国じゃ 確率はほぼほぼゼロか いや そうでもないよ 足元をよく見てごらん ほら もう止まってる アメリカでもない チャイナでもない

      • シカとも   2024/4/5

        シカバネちゃんが歩いてく ゆらゆらと 柳のように シカバネちゃんが歩いてく まるで生きてるかのように いや もちろん生きてるんだけどね れっきとしたニンゲンなんだけどね でも彼女はシカバネちゃん まるで生きてる気がしない だって音がしないもの そう 彼女は音をたてない ドアを閉めるときも 階段を降りるときも そういえば話し声も まだ聞いてないかも 世界は音であふれてる でも美しい音はほとんどない 世界は言葉であふれてる でも美しい言葉もほとんどない だからや

        • 幻桜   2024/4/5

          ある春の夜 つきあいで遅くなり タクシーで家に向かった ふと見ると みごとな桜 「すみません 止めてください」 タクシーが路肩に止まる 「ここで待っていてください  すぐ戻ります  かばんを置いていきます」 スマホを持って車を降りた 数枚撮って戻るつもりが 間近で見るとつい見とれた 花びらが淡く光って まるで浮かんでいるようだ 桜に限らず およそ花びらというものは 実はかすかに発光しているのではないか 私はつねづねそう思っているのだが だとしたらこの無数の花は

        三六六季   2024/5/2

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        • 詩(2019年~)
          113本
        • 詩(20~30代の作品)
          45本

        記事

          グリとぐり   2024/3/9

          うさぎは鳴く 知らなかった 鳴かないと思っていた でもグリが教えてくれた うさぎは鳴きます うれしいとき なでられたとき 心が弾んでとまらないとき グッ グッ グッ 小さな声で ごくごくまれに なんてかわいい声だろう 詩かもしれない 心ある者 ずっと黙してきた者が ついに放つ至上の言葉 無垢な歌 そんな詩を ぼくも書けたら グリちゃん ぼくも ぐりになったよ ペンネーム ぐりにしたよ グッ グッ グッ グリが笑った

          グリとぐり   2024/3/9

          巡礼者(ピルグリム)   2024/3/9

          つまずいた 今日もまた 街なかで わずかな段差で 世界は段差で満ちている すきあらば私を転ばせようと 果たせるかな 私はこけた 右手のスマホ 左手のかばん 財布にカギに社員証 一切合切投げだして 腹ばった 大地のうえに 転がった まるで五体投地のように そうか これは巡礼なんだ とするとここはチベットか ビルはヒマラヤ 喧騒は祈りの声か  ころびつつ まろびつつ  すすみゆく わが旅路かな  いざ行かん 聖地ラサへ  いつの日か 安息の地へ 立ちあがる 気をとり

          巡礼者(ピルグリム)   2024/3/9

          夕陽の勇者   20204/2/10

          影がのびる 東へのびる ということは 背後から照るあれは 夕陽だろうか 燃える赤 炎の城だ 影があるく 東へあるく ということは僕はまだ 生きているということか こんなにも満〝心〟創痍というに しぶとい奴だ 心は弱い でも体は案外強い 今日もちゃっかり生きている 交差点 影がずんずん車道へのびる その上をバスが走った 今度こそ万事休すか 再起不能か けれども影は慣れたもの 忍者のようにバスに張りつき すぐまた地面に戻った

          夕陽の勇者   20204/2/10

          朝陽の勇者   2024/2/10

          ぼくは美男子 ではないけれど でもたまにある 図々しくも自分の顔を いい顔だなと思う日が 逆もある 何だ このヘンな顔 鏡の前で落ちこむ日 そう 顔は違う 同じようで毎日違う たぶん動いてるんだろう 大陸みたいにじわじわと 顔プレートがじりじりと 心というマグマを抱いて 鉄面皮という〝顔〟盤が そうか 顔は地球なんだ 目は湖 鼻は山 口は巨大な海溝か ときどきニヤッと裂けて 今日も生きる この顔で はるか地平のおでこから 今日も眩しい朝陽が昇る

          朝陽の勇者   2024/2/10

          キヅツキの森   2024/1/10

          きづく きずつく きずつく きづく 似ている 気づくと傷つくは 音だけじゃない 意味も似ている そう 気づくとは 傷つくことだ 何かにふと気づくとき 人はどこかに傷を負う うれしい気づきもあるが 多くの場合気づきは傷だ 優しさの裏にあるもの 愛という利己的なもの 自分を外から見る自分 をまた外から見る自分 きっと心は森なんだ 鬱蒼として昼でも夜の そしてそこにはキツツキがいて 真ッ黒で大きなキツツキがいて 日がな一日 木をツツく ほら 聞こえるよ コツコツ

          キヅツキの森   2024/1/10

          空き缶   2024/1/10

          美しいはこわれやすい たとえばきれいなお花畑に たとえばジュースの空き缶が もしひとつでも落ちてたら こわれる 美がこわれる そもそもお花畑が微妙 きれいでも人工のもの 所詮は人が植えたもの その時点で美にもとる それならと森へ行く 鳥が歌う 木が歌う ああ美しい これぞ自然 天然の美だ と思ったら誰か来た 人がいた その瞬間またこわれる こうなったら山へ行こう 誰もいない山 空の近くへ 天界へ これぞ美だ 究極の美だ でもまた誰か来た と思ったら鹿だった

          空き缶   2024/1/10

          十六夜   2023/12/16

          木はおばけ みんな気づいてないけれど 木はおばけ 夜の公園 夜の歩道で ざらざらの肌 ごつごつの節 百本の腕を伸ばして 一本足で立っている 怖いことにたまに動くよ ざわざわざわ ゆらゆらゆら 風に吹かれて千の手が おいでおいでと僕を呼ぶ 冬になるともっと怖い 葉っぱの服を脱ぎ捨てて ついに本性現すよ これぞガイコツ おばけの骨だ 見上げれば ほら枝の中 生け捕りに絡めとられて なす術もなくかじられて あわれ微妙に欠けた満月

          十六夜   2023/12/16

          宇宙ベッド   2023/12/16

          宇宙は 宇宙だけにあるんじゃない 地球にもある 何ならこの部屋 このベッドにも 今日のわざをなし終えて 毛布の中に深くもぐれば ほら 闇 完全な闇 月もない 星もない でも宇宙 僕の宇宙 目を開ける 目を閉じる どっちも闇 底知れぬ闇 そりゃそうだ 宇宙だもの なら何か 宇宙船か このベッドは さびしいかな ひとり乗りの… やがて僕が眠る頃 宇宙船が離陸する ふわふわと 闇のまにまへ そのときだ 僕は見る 虹よりも オーロラよりも 色鮮やかな 夢

          宇宙ベッド   2023/12/16

          袋の袋   2023/11/17

          ゴミ袋がなくなって 帰り道コンビニで買う ゴミ袋はビニール袋に 束になって入れられていた  袋が袋に入ってる 僕は笑った  まるで親子みたいだね 考える  じゃあ親は父親か母親か 暗い夜道を歩きつつ  たかが袋だ  父も母もあるわけないか 数か月後 またなくなった ビニール袋が空になり 僕は入れた ゴミ袋へと  あれあれ 最初と逆になったね 僕がぷっと笑った瞬間  お袋! 末っ子がくしゃっと泣いた

          袋の袋   2023/11/17

          みいつけた   2023/11/17

          カルガモくん みいつけた セキレイくん みいつけた ジョウビタキ みいつけた 晩秋の朝 川沿いの道 ぼくはみんなとかくれんぼ みんな今日も生きている 薄暗い夜の中から 明るい朝へ飛びだしてくる 元気いっぱい 夢いっぱい 鳥だけじゃない 石 みいつけた 草 みいつけた 空 みいつけた 風 みいつけた ああ 朝は すべてが発見と出会いの旅だ 何だろう この気持ち 次は誰を見つけるだろう そのとき飛んだ 川面の上を 青い背中が みいつけた カワセミくん いや

          みいつけた   2023/11/17

          キス   2023/10/19

          彼の寝顔を見たことがない 彼はいつも起きている 夜は私が眠るまで 髪をなで腕枕をしてくれる 朝目覚めると 彼はもう起きていて おはようのキスをくれる ドライブもそう 運転中も疲れを見せず ちょっとベタな冗談で 私をくすっと笑わせる ねえ いつ寝てるの? 君が眠った3秒後 疲れたりしないの? 人生はね短いんだよ 疲れてるひまなんてない なあんて でも今日初めて 彼の寝顔を見た 悲しいよりも不思議だった 初めて見た彼の寝顔が こんなにも優しいなんて まるで笑

          キス   2023/10/19

          英雄アキレス   2023/10/19

          ついに来たりぬ 我が英雄アキレスに 安息のとき ついに来たりぬ 彼こそは英雄だった かくも細い二本の腱で 我が痩身を支え続けた そして誰より速く走った 人生は果てなきレース されど英雄の名にかけて 誰にも負けはしなかった ただ一人いや一匹を除いては まさかおまえに負けるとは 追いつけど追いこせず また追いつけど追いこせず もう走れぬ もう立てぬ 今地に倒れ伏す我が前を のそりのそりと行く亀よ

          英雄アキレス   2023/10/19